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【Vol.1:荒木あかね】編集者が注目!2023年はこの作家を読んでほしい!

新しい年が始まりました。ほんのひきだしでは今年も皆様の読書ライフの充実をお手伝いすべく、人生を豊かにしてくれる、さまざまな魅力あふれる本をご紹介していきます。

まずは、1月1日より12日間にわたり、各出版社の文芸編集者の皆さんが【いま注目の作家】を紹介する「編集者が注目!2023年はこの作家を読んでほしい!」をお届けします。

ぜひ、今年の“初読み”にふさわしい一冊を見つけて、書店に足を運んでみてください。

 

講談社編集者 大曽根幸太さんの注目作家は「荒木あかね」

荒木あかね(あらき あかね)
1998年福岡県生まれ。九州大学文学部卒。『此の世の果ての殺人』で第68回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。

 

スマホで掴んだ栄光 史上最年少、満場一致のすごい受賞作

68年という長い歴史を誇る江戸川乱歩賞で、史上最年少、選考委員満場一致の受賞で大きな話題を呼んだ荒木あかねさんの『此の世の果ての殺人』。どの候補作が受賞してもおかしくない、とまで言われたハイレベルな選考会で、圧倒的な支持を集めての受賞となりました。

選考委員の綾辻行人さんに「本格ミステリの骨法を心得ている」と評された本作は、2023年3月7日、熊本県阿蘇郡に小惑星「テロス」が衝突して世界が滅亡することが確定した世界が舞台。少しでも衝突地点から離れようとすることで、社会は大混乱に陥っているのに、物語は静かに始まります。

衝突地点に近い福岡県に暮らす主人公の小春は、ひとり淡々と教習所に通っている(!?)のです。そんな平穏な日々を送っていたはずなのに、年の瀬、教習車から女性の滅多刺し死体が発見されます。滅びる世界で誰が、何のためにこんなことを。警察も機能不全を起こした世界で、小春と教官で元刑事のイサガワ先生による、地球最後の謎解きが始まるのでした。

荒木さんは、中学3年生の時に読んだ有栖川有栖さんの「探偵、青の時代」に魅せられてこの道を志すことを決められたそうです。それ以来主にミステリ小説の面白さに目覚め、家族には秘密で小説を書き始めました。

ご自身は社会人になる前の教習所通いが嫌で嫌で、「これは小説の取材なんだ」とこの作品を思いつき、通勤の途中や休憩時間にスマホを駆使して書き上げたといいます。ちなみに、免許は無事に取得されたそうです(ただし、ペーパードライバー)。

『此の世の果ての殺人』は多くの読者の手に届き、すでに4刷、累計5万部を突破!

荒木さんの快進撃はまだまだ続きます。

(講談社 文芸第二出版部 大曽根幸太)

 

此の世の果ての殺人
著者:荒木あかね
発売日:2022年8月
発行所:講談社
価格:1,815円(税込)
ISBN:9784065289204