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5人を助けるか、1人か。有名な「トロッコ問題」の答えとは?『思考実験ドリル』

ロジカルシンキングという言葉をご存知でしょうか。日本語では論理的思考力といい、近年特にビジネスパーソンに重要なスキルとして話題となっています。論理的思考力とは論点を整理して考える力であり、問題解決の際に役立つと言われています。最近は子どもたちにとっても大切な力とされていますが、一体どのように論理的思考力を養ったらよいのでしょうか。そんな悩みを解決してくれる、大人から子どもまで一緒に論理的思考力を鍛えられるドリル『思考実験ドリル』が2023年11月13日に発売されました。

 

有名なトロッコ問題

本書は、常識、未来、命など7つのテーマに合計42篇の短い物語が紹介され、私たちに毎話1つの疑問を問いかけます。私たちはその問いに対してYESかNOかを決め、「なぜ」そう思うのかを言語化するトレーニングをします。
例えば正しさを考えるというテーマでは、暴走したトロッコの先に5人の作業員がいるためアナタは線路を切り替えたいが、切り替えた先には1人の作業員がいます。さてアナタは線路を切り替えますか? 切り替えませんか?
これは「トロッコ問題」と言われる有名な問いなのでご存知の方も多いのではないでしょうか。5人の犠牲を出さないために1人を犠牲にするのか否か……非常に悩ましい問題です。全ての問いに対して解説ページも用意されているので、迷った場合は読んでから答えをだしてもいいと思います。

もちろんこれらの問いに正解はありません。重要なのは正解のない問いに対して、自分の考えや意見を持つことができるかということです。

 

実際に家族でやってみた

実際に私も夫と2人でいくつかの問題に挑戦してみました。やってみるとこれが意外と盛り上がります! あーだこーだといろんな会話が生まれ、話が脱線してしまうこともしばしば……(笑)。
そして、答えが分かれたときに気づくのは「問題に対する視点の違い」です。それが顕著にでた問題はこちら。


100万円の配分が1:99だったとき、承諾するか否かという問いに対して私は断固拒否を選択しました。そんな理不尽は受け入れがたいので、私も0円になるが相手も0円になってしまえ!!と感情を優先した答えでした。

対して夫は、「そりゃあ腹は立つけど、1万円をもらって損はない」という感情を抑えた合理的判断でした。

意見が割れた問題こそおもしろく、相手の新たな一面に気づいたり、自分の視野が広がるきっかけになると感じました。

 

日本人は論理的思考が苦手!?

正直なところ私はこの手の問題は苦手です。なぜかというと、問題に正解がないからだと思います。昭和生まれの方々は覚えがあると思いますが、(私もギリギリ昭和の人間です)勉強の基本は暗記であり、テストでは1つの正解を導かなくてはいけませんでした。なので、こうした質問もどこか「で、よりよい答えはどっちなの?」と正解を求めてしまいます。

だからこそ、子どものころからこうした論理的思考力を鍛えることはとても重要だと思います。論理的思考力が身に付くと、複雑なものを整理しシンプルに考えていくことができるので、説得力のある意見を持てるようになります。また正解がないことから相手の意見を尊重することも覚え、相手の気持ちや考えを理解できる力が身に付くと言われています。

本書は子どもだけでも読めるよう全ての漢字にルビが振ってあり、可愛いイラストも随所に散りばめられています。遊び感覚で盛り上がれる本ですので、ぜひとも子どもたち主導で、ご家族で挑戦をしてみてください。

(レビュアー:Micha)

思考実験ドリル
著者:北村良子 伊藤ハムスター
発売日:2023年11月
発行所:講談社
価格:1,650円(税込)
ISBNコード:9784065335635

※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2023年12月7日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。