藝大卒という異色の経歴を持つ変人刑事・南雲士郎が美術の知識を駆使して謎を解く警察小説シリーズ、第2弾登場! 因縁の連続猟奇殺人犯の正体は……?
数多くのシリーズものを手がける著者が、新たに創造した探偵役の南雲刑事は、東京藝術大学美術学部卒という経歴の持ち主で、事あるごとに尊敬するレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を引用することから、「ダ・ヴィンチ刑事」とあだ名されている。
赴任先の楠町西署でコンビを組むことになった小暮刑事とは、12年前に警視庁捜査一課で同じ事件を担当した仲だ。未解決に終わった連続殺人「リプロマーダー事件」については第1巻でも触れられていたが、この第2巻では、ついに犯人が再び動き出すのである。
死体を使って絵画や壁画の描写を模すことから、リプロダクション(再現)殺人と呼ばれた4件の猟奇事件は、いずれも被害者が悪人であることから、現代の仕置人として注目を集めたが、犯人はまったく痕跡を残さなかった。
新たにルーベンスの絵画「メデューサの頭部」を模した殺人事件が発生、かつての事件と同じ薬物が使用されていたことから、同一犯の可能性が高いと判断された……。
第1話「虚飾」では、南雲が警視庁OBの白石から、ある事件の捜査を依頼される。看護師の男性が婚活サイトで知り合った女性に母親の手術代として一千万円を渡したところ、まったく連絡がつかなくなったというのだ。
単純な結婚詐欺事件かと思われたが、女性の行方を追った南雲と小暮は、彼女が隠し持っていた恐るべき執念を知ることになる──。
第2話「皺襞(しようへき)」では、遺伝医学研究所の所長が何者かに殺害される。スーツの皺から被害者が土下座を強要されていたことを見破った南雲だったが、動物実験に苛烈な抗議を繰り返していた動物愛護団体のメンバーはアリバイが成立した。犯人と動機は、果たして何か──?
第3話「衝撃」では、小暮の長女・波瑠が事件に巻き込まれる。誘われて参加したイベントで主催者の大学生が倒れ、その尿から違法薬物のMDMAが検出されたのだ。薬物の入手ルートは、いったいどこなのか?
この巻でも、各話の事件に絡んで随所で「リプロマーダー事件」が影を落とし、その強烈なサスペンスにページを繰る手が止められないはずだ。特に第3話には、まさに衝撃としか言いようのないショッキングな結末が待ち受けていて、かなりミステリを読み慣れた読者でも唖然とすること間違いなし。来年2月発売予定の第3巻が、今から楽しみでならない。
- 刑事ダ・ヴィンチ 2
- 著者:加藤実秋
- 発売日:2023年10月
- 発行所:双葉社
- 価格:803円(税込)
- ISBNコード:9784575526820
双葉社文芸総合サイト「COLORFUL」にて『刑事ダ・ヴィンチ2』の試し読みが公開されています。
『刑事ダ・ヴィンチ2』の試し読みはこちら
『小説推理』(双葉社)2023年12月号「BOOK REVIEW 双葉社 注目の新刊」より転載
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