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朝のダルさは「体内の炎上」のサイン!睡眠不足で細胞がゴミ屋敷化する恐怖

gomiyashiki

「体にいいこと」を知っているのに、なぜ行動に移せないのか? 食事、運動、睡眠––健康のために必要な知識は、すでに世の中にあふれています。それでも生活習慣を変えるのは簡単ではありません。

本書は、リウマチ・膠原病内科医として20年以上、診療の現場で患者と向き合ってきた著者が、「知識」を「行動」に変えるための技術を伝える一冊です。

※本稿は『わかっているのに、なぜ体にいいことが続かないのか』(かんき出版)の一部を再編集したものです

 

慢性炎症を生み出す火種とその正体

なぜ、普通の一日が「炎症の火種」になるのか

体内で静かにくすぶる慢性炎症の火種は、特別なところにあるわけではありません。
多くの場合、私たちの毎日の生活の中に潜んでいます。
特に重要なのが、「食事」「運動」「睡眠」「ストレス」の四つです。

ここではまず、典型的な現代人の「普通の一日」を追いかけながら、私たちの何気ない行動が体の中でどのようにしてボヤを生むのかを見ていきましょう。

あなた自身の日常と重なる部分が、きっとあるはずです。

 

▶朝。スマートフォンのアラームで目を覚ますと、体がだるい。

昨夜も結局、布団に入ってからSNSをだらだら見てしまい、眠りについたのは深夜1時過ぎ。睡眠時間は5時間ほど。
私たちの体は、眠っている間に傷ついた細胞を修復し、老廃物を掃除する「夜間の修理工事」を行っています。
ところが睡眠が足りないと、この修理工事の時間が削られてしまいます。

修理されるはずだった細胞。
片付けられるはずだったゴミ。
落ち着くはずだった自律神経。

それらが中途半端なまま朝を迎えると、免疫細胞は「異常事態」と判断し、体の中で小さな炎症を起こし続けます。さらに、本来なら夜の間に戦闘モードから回復モードへ切り替わるはずの自律神経も、興奮したままになりやすくなります。

体内イメージでいえば、睡眠不足は、修理途中の建物をそのまま使い始めるようなものです。壁のひびは直りきらず、床のゴミも残ったまま。
その状態でまた一日を始めるため、体の中のボヤは鎮まりにくくなります。

 

▶朝食の時間はない。通勤途中のコンビニで菓子パンと甘いカフェラテを手に取る。

忙しい朝には、よくある光景です。
けれど体の中では、血管や腸にじわじわと負担がかかりはじめます。

余分な糖は、タンパク質と結びついて「コゲ」のような物質を生みます。これが糖化です。また、質の悪い油は、細胞に「サビ」のようなダメージを与えます。これが酸化です。

コゲとサビが増えると、免疫細胞はそれを「異常事態」と受け取り、炎症という小さな火を起こしやすくなります。

さらに、糖の多い食生活や加工食品に偏った食事は、腸内細菌のバランスを乱す一因になります。腸の壁を守るバリアが弱まると、本来は血液中に入りにくいはずの物質が体内に入り込み、全身のボヤにつながることがあります。

体内イメージでいえば、菓子パンや甘い飲み物は、血管の内側に小さなコゲをつけ、細胞にサビを増やし、腸のバリアに細かなひびを入れていくようなものです。

もちろん、これは「菓子パンも甘いカフェラテも絶対に食べてはいけない」という話ではありません。一度の食事で体が決まるわけではありません。
ただ、体の中で起きていることが見えてくると、次の一口、次の一食の選び方が少しずつ変わっていきます

 

▶オフィスに着くと、一日中デスクに張りつく。気づけば昼休みも座ったまま。

移動はエレベーター、帰宅後はソファでスマートフォン。
現代人にとって、座りっぱなしは特別なことではなく、むしろ日常です。
けれど、体の中では大きな変化が起きています。

私たちの筋肉は、ただ体を動かすための部品ではありません。筋肉は動くたびに、「マイオカイン」と呼ばれる、ボヤを鎮める天然の抗炎症薬を放出しています。

ところが、座りっぱなしの生活が続くと、この抗炎症薬の供給がほとんど止まってしまいます。使われない筋肉は痩せ細り、代わりに内臓脂肪が増えていきます。
内臓脂肪は単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、炎症を促す物質を出すことがあります。
体内イメージでいえば、運動不足は、体の中の消火装置を止めたまま、火種を増やしているような状態です。反対に、少し歩く、階段を使う、軽く筋肉を動かす。
それだけでも、消火装置は再び動き始めます。

 

▶夕方。上司からのプレッシャー、終わらないタスク、帰り道の渋滞・満員電車。帰宅しても、仕事のこと、子育てや家庭のこと、頭の中はやることでいっぱい。体は休んでいるのに、脳だけが休まらない。

ストレスは「心」だけの問題ではありません。
脳がストレスを感じると、体はそれを危険信号として受け取ります。
その時、分泌される代表的なホルモンが、コルチゾールです。

コルチゾールは本来、体を守るために必要なホルモンで、炎症を抑える働きも持っています。病院で炎症の過剰反応を抑えるために使われるステロイド薬は、このコルチゾールの仲間です。
しかし、ストレスが慢性的に続くと、話は変わります。
コルチゾールが出続けることで、免疫細胞がそのブレーキに慣れてしまい、炎症を抑える力が効きにくくなることがあります。

体内イメージでいえば、ストレスは、脳の中の「警報のスイッチ」が入りっぱなしになっているようなものです。サイレンが鳴り止まない限り、体は「まだ危険だ」「戦闘態勢を続けろ」という指令を受け取り続け、自律神経やホルモンのバランスが乱れ、免疫のブレーキが効きにくくなります。
本来なら鎮まるはずの小さな炎症が残りやすくなり、体の中のボヤがくすぶりやすい状態になっていくのです。

 

四つの火種が絡み合う悪循環

お気づきでしょうか。
この「普通の一日」の中で、四つの火種はバラバラに燃えているのではなく、互いに影響し合いながら炎症を悪化させる悪循環を生み出しています。
たとえば、こんな流れです。

ストレスが続く
↓
眠りが浅くなる
↓
睡眠不足で食欲やホルモンのバランスが乱れる
↓
甘いものや高カロリーなものが欲しくなる
↓
血糖値が乱れ、だるさや眠気が出る
↓
動く気力が落ちる
↓
筋肉の消火装置が働きにくくなり、内臓脂肪も増えやすくなる
↓
体調不良や体型の変化が、さらにストレスになる
↓
ますます眠れなくなる

一度悪循環に陥ると、抜け出すのは容易ではありません。
けれど、ここで大切なことがあります。
すべてを一度に変える必要はないということです。

就寝時間を30分早める。
朝食を少し変える。
10分だけ歩く。
夜にスマートフォンを置く時間を少し早める。

どこか一つの火種が弱まるだけで、他の火種を抑える良い影響が広がり始めます。
質の高い睡眠が取れれば、食欲は整いやすくなります。
少し体を動かせば、気分が軽くなり、ストレスも和らぎやすくなります。
食事が整えば、だるさや眠気が和らぎ、動く気力も戻りやすくなります。

食事は、体を作る材料を選ぶこと。
運動は、筋肉という消火装置を動かすこと。
睡眠は、夜間の修理工事の時間を確保すること。
ストレス管理は、脳から出続ける警報を鎮めること。

こう考えると、健康習慣は「やらなければならない義務」ではなく、体の中のボヤを鎮める具体的な手段として見えてきます。

 

『わかっているのに、なぜ体にいいことが続かないのか』

wakatteirunonikaradaniiikoto著者:前島圭佑
発売日:2026年7月
発行所:かんき出版
定価:1,980円(税込)
ISBN:9784761278823

 

「ほんのひとふし」とは

「ほんのひとふし」は、話題の書籍から特に関心の高いトピックや、今こそ読みたい一節をピックアップしてご紹介する「ほんのひきだし」の連載企画です。
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