「3大やめとけ」は2025年8月に、ドクターK@眼科医パパこと、栗原大智さんがSNS「X」でポストした投稿がきっかけで広まったキーワードです。この投稿の呼びかけに他の科の医師が答える形で、さまざまな診療科の「3大やめとけ」が広がっていきました。
ここでは、「消化器内科」の3大やめとけを紹介します。答えてくれた先生は、和田蔵人さん(医学博士/日本消化器病学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医/日本肝臓学会専門医/日本医師会認定産業医、わだ内科・胃と腸クリニック院長)です。
※本稿は『#3大やめとけ』(高橋書店)の一部を再編集したものです
【STOP1】痛み止め(鎮痛剤)の使いすぎ
➡胃潰瘍や十二指腸潰瘍、腎機能障害の原因に
痛み止め(鎮痛剤)は、発熱、頭痛、筋肉痛などで最もよく使われる薬です。このうち非ステロイド性抗炎症薬(以下NSAIDs:イブプロフェン、ロキソプロフェン、ジクロフェナクなど)の乱用や過剰使用は、重大な健康リスクを伴うことがあります。
NSAIDsは、発熱や痛み、炎症を引き起こす「プロスタグランジン」という物質の産生を抑えることで症状を和らげます。ただしこの物質は、胃や腸の粘膜を守る重要な役割も担います。そのためNSAIDsを過剰に服用すると粘膜の防御力が低下し、胃や十二指腸の潰瘍、吐血や下血などの消化管出血を引き起こすことがあります。
予防策としては、内服期間を必要最小限にとどめることです。空腹時の服用を避け、必要に応じて胃薬(酸分泌抑制薬など)の併用が推奨されます。対策しない場合、胃潰瘍は約10~15%、十二指腸潰瘍は約2%、消化管出血は約1%に起こるとされています。
また、プロスタグランジンには腎臓の血管を広げて血流を保つ働きもあるため、NSAIDsの使用により腎機能障害が生じることがあります。特に高齢者や脱水状態、持病のある方では注意が必要です。
「痛み止めだから安全」と軽視せず、体調や併用薬、服用期間を意識し、必要に応じて医師や薬剤師に相談しましょう。
【STOP2】感染性腸炎に下痢止め
➡病原菌や毒素が体内にとどまり症状が長引く
下痢が続くと、症状を早く何とかしたいと感じる方も多いでしょう。ただし、すべての下痢に「下痢止め」が向いているわけではありません。特にウイルスや細菌が原因の感染性腸炎では、使い方に注意が必要です。
下痢は、体が腸の中の病原体や毒素を外へ出そうとする働きの一つです。下痢止めは腸の動きを抑えて下痢の症状を和らげますが、その一方で、原因となる菌や毒素を体の中にとどめてしまうことになります。その結果、治りが遅れ、症状が長引くことがあります。
実際、海外の医療現場でも、発熱や血便、強い腹痛を伴う下痢がある場合には、下痢止めの使用を避けるべきとされています。こうした状態では腸の炎症が強く、腸の動きを無理に抑えることで、まれではありますが重い合併症につながるおそれもあります。
治療の基本は、下痢を無理に止めることではなく、脱水を防ぐことです。水分や電解質を十分に補給し、下痢止めを使うべきか迷う場合や、発熱・血便がある場合、症状がなかなか良くならない場合には、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
下痢は不快な症状ですが、感染性腸炎では体を守るために起きている場合があることを、ぜひ知っておいてください。
【STOP3】毎日のエナジードリンク
➡脂肪肝を誘発し、睡眠の質も下がる
エナジードリンクや栄養ドリンクは、疲れたときや忙しいときに手軽に頼れる存在です。「何か体にいいものを入れているつもり」で飲んでいる方も多いでしょう。
しかし、飲みすぎが習慣になると、思わぬ健康リスクにつながることがあります。
これらの飲み物には、砂糖や果糖ブドウ糖液糖など、糖分が多く含まれているものが少なくありません。中でも果糖は、主に肝臓で処理される糖で、摂りすぎると肝臓に脂肪がたまりやすい特徴があり、脂肪肝を引き起こすことがあります。「お酒はほとんど飲まないのに脂肪肝と指摘された」人の中には、エナジードリンクや栄養ドリンクを日常的に飲んでいるケースも少なくありません。
また、エナジードリンクや栄養ドリンクにはカフェインが多く含まれるものもあります。摂りすぎると、不眠や動悸、血圧の上昇などを引き起こすことがあり、睡眠の質が低下すると、疲れが取れにくくなる悪循環に陥ることもあります。
飲みすぎの目安としては、ほぼ毎日のように飲む習慣(週に5本以上)です。疲れたときこそ、エナジードリンクや栄養ドリンクに頼るのではなく、十分な休息と水・お茶を摂るようにしましょう。
『#3大やめとけ』

発売日:2026年6月
発行所:高橋書店
定価:1,320円(税込)
ISBN:9784471032050
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