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転落死の多数はたった2メートル以下の高さから……!家庭にある“アレ”を使わなければ事故は避けられる!

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「3大やめとけ」は2025年8月に、ドクターK@眼科医パパこと、栗原大智さんがSNS「X」でポストした投稿がきっかけで広まったキーワードです。この投稿の呼びかけに他の科の医師が答える形で、さまざまな診療科の「3大やめとけ」が広がっていきました。

ここでは、「救急医」の3大やめとけを紹介します。答えてくれた先生は、三谷雄己さん(踊る救急医X:@houseloveryuki、日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会 集中治療専門医、広島大学救急集中治療医学/株式会社からだ企画代表取締役社長・CEO)です。

※本稿は『#3大やめとけ』(高橋書店)の一部を再編集したものです

 

【STOP1】ノーヘルで自転車に乗る

➡頭部損傷での死者の9割がヘルメット未着用

救急外来で自転車事故の患者さんを診ていると、ヘルメットの有無で結果が大きく分かれる場面を何度も目にします。

警察庁の統計によると、自転車事故で亡くなった方の約半数は頭部に致命傷を負っています。さらに、ヘルメットを着用していない人の死亡率は、着用している人の約1.7~2.4倍に上ります。

2023年に自転車事故で死亡した346人のうち、頭部損傷で亡くなった174人の9割以上がヘルメット未着用でした。

「ちょっとそこまで」「スピードは出していないから大丈夫」という油断が、取り返しのつかない結果につながります。実際、International Journal of Epidemiology という医学雑誌に掲載された6万4000人以上を対象とする研究では、ヘルメット着用により頭部外傷のリスクは51%減少、重症頭部外傷は69%減少、致死的頭部外傷は65%減少すると示されています。コクランのレビュー(医療の質を評価する世界基準の報告書)でも、ヘルメットは頭部外傷を85%、脳損傷を88%減少させると報告されています。

2023年4月からヘルメット着用は努力義務となりましたが、全国平均の着用率は約17%にとどまっています。救急医として伝えたいのは、「転んでからでは遅い」ということです。脳は一度損傷すると元には戻りません。自転車に乗るなら、必ずヘルメットを。

 

【STOP2】脚立に上る

➡労働災害事故の多くは2m以下からの転落

「たった1mの高さ」が人生を一変させる。救急医としてこれを痛感する場面が、脚立からの転落事故です。厚生労働省の労働災害統計によると、毎年約4000件の脚立・はしご関連事故が発生し、年間約20〜30人が命を落としています。墜落・転落による労働災害死亡事故の約23%を占め、その多くは1.2〜1.8mという「低い」高さからの転落です。

国民生活センターの調査では、脚立・はしごからの転落事故433件のうち、半数以上が60〜70代の高齢者で、約半数が入院を要する重傷でした。骨折だけでなく、頭部外傷や脊髄損傷で寝たきりになるケースもあります。

特に危険なのは「天板に乗る」「またがって作業する」「片手で荷物を持ちながら昇降する」といった不適切な使用法です。お盆やお正月に帰省すると、庭先でおじいちゃんがフラフラと天板に立っている光景に出くわすことがあります。その瞬間が、取り返しのつかない事故の入り口かもしれません。

厚生労働省も「はしごや脚立からの墜落・転落災害をなくしましょう!」と注意喚起しています。脚立を使う前に、まず「本当に脚立が必要か」を考え、使うなら設置場所の確認と低くてもヘルメット着用を。家族がいたら、声をかけてあげてください。

 

【STOP3】雨の日に原付に乗る

➡転倒リスク大。骨折や頭部外傷の原因に

「雨でも原付の方が便利だから……」という判断が、救急外来への片道切符になることがあります。原付・二輪車の致死率は0.57%(175人に1人)で、自動車の0.41%(244人に1人)より高く、そもそもリスクの高い乗り物です。そこに雨という悪条件が加わると、危険度は跳ね上がります。

雨天時に特に危険なのは、マンホールのふた、横断歩道の白線、工事現場の鉄板です。これらは濡れると摩擦係数が大幅に低下し、タイヤがグリップを失います。降り始めの雨は路面の油分と混ざり、最も滑りやすい状態を作り出します。

二輪車はタイヤが2本しかないため、四輪車より格段にスリップしやすく、一度バランスを崩すと転倒を避けられません。アメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)の報告でも、路面状況と天候は二輪車事故の重要なリスク因子として挙げられています。

「今日だけは車で行く」「電車にする」「そもそも出かけない」という判断ができるかどうか。雨の日の原付は、急いで出かけるほどの用事がなければ、やめておくのが賢明です。私が診た雨の日に原付でスリップして搬送されてきた患者さんの中には、「ちょっとコンビニまで」という方も少なくありませんでした。その「ちょっと」が、骨折や頭部外傷につながるのです。

 

 

『#3大やめとけ』

表紙3大やめとけ著者:栗原大智
発売日:2026年6月
発行所:高橋書店
定価:1,320円(税込)
ISBN:9784471032050

 

 

「ほんのひとふし」とは

「ほんのひとふし」は、話題の書籍から特に関心の高いトピックや、今こそ読みたい一節をピックアップしてご紹介する「ほんのひきだし」の連載企画です。
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