人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

  1. HOME
  2. 本と人
  3. ほん
  4. 天涯孤独の少女が、勇気と魔法で運命を切り拓く!『魔法練習生 リリ・ラズベリー』

天涯孤独の少女が、勇気と魔法で運命を切り拓く!『魔法練習生 リリ・ラズベリー』

子どもの頃に夢中になった“魔法少女マンガ”のワクワクが、ここにある

子どもの頃、毎月発売される少女マンガ雑誌を心待ちにしていた記憶はありませんか。
1話読むたびに胸が高鳴り、続きが気になって仕方ない。かわいい衣装や不思議なアイテムに憧れ、物語の世界へ飛び込むようにページをめくっていたあの感覚。

そんな“少女マンガを好きになった原点”を思い出させてくれたのが、遠山えま先生の最新作『魔法練習生 リリ・ラズベリー』(通称:マホリリ)です。

読み終えた今の率直な感想はひとつ。
「ああ、こういう作品を待っていた!」

令和の今だからこそ、この王道の魔法少女マンガが生まれたことがとても嬉しい。そして、これをリアルタイムで読める子どもたちが少し羨ましくなりました。

 

「なかよし」の王道をまっすぐ受け継ぐ魔法学園ストーリー

本作の舞台では、人間の内側にあるエネルギー「魔法」によって世界が支えられています。
子どもたちの憧れの職業は魔法使い。その才能を育てるための魔法学校も存在する――。

設定を聞いただけで胸が躍るような、まさに王道の世界観です。

主人公は、魔法使いになることを夢見る14歳の少女、リリ・ラズベリー。

孤児院育ちで天涯孤独という境遇ながら、明るく前向きで、理不尽な相手にも物怖じしない芯の強さを持っています。唯一の家族は、幼い頃から一緒に育ってきた黒猫のシュシュ。

そんなリリが入学した魔法学校スキエンティアでは、生徒たちは「スワン」と「クロウ」の2つのクラスに振り分けられます。

優秀な生徒が集まるスワン。対して、落ちこぼれ扱いされるクロウ。

クロウの生徒たちの中には劣等感や諦めを抱えている子もいますが、リリはそんな空気さえも持ち前の明るさで吹き飛ばしていきます。

読んでいて気持ちがいいのは、この主人公がどこまでも前向きなこと。

困難があっても下を向かず、自分にできることを探して進んでいく。その姿は王道主人公そのものであり、読んでいてとても清々しい気持ちになります。

 

「人を幸せにするのが魔法」

本作を象徴する言葉が、リリの持つこの価値観です。
「人を幸せにするのが魔法」
強くなりたいから努力するのではない。誰かを見返したいからでもない。

誰かを幸せにしたいから頑張る。
その純粋な想いが、リリ自身を成長させ、周囲の人たちにも影響を与えていきます。

最近は複雑な設定やダークな展開の作品も多くなりました。もちろんそうした作品も面白い。けれど本作を読んで改めて感じたのは、王道には王道の強さがあるということです。

まっすぐな主人公がいて、友情があって、憧れがあって、乗り越えるべき試練がある。そのひとつひとつに心を動かされる楽しさを、久しぶりに思い出しました。

 

女の子の“好き”がぎゅっと詰まっている

そして何より、遠山えま先生の安定感はさすがの一言です。登場する女の子たちはとびきりかわいく、表情豊かで、ときにはハッとするほどかっこいい。

魔法アイテム、占い、香水、変身シーン――。
女の子が「好き!」と思う要素が丁寧に詰め込まれていて、ページをめくるたびにワクワクします。

特に変身シーンの高揚感は、魔法少女マンガならではの醍醐味。

「こういうのが見たかった!」
そんな気持ちが自然と込み上げてきました。

さらに、なぜ校長はリリを特別視するのか。亡き母親にはどんな秘密があるのか。次々と訪れる試練の意味とは何なのか。

第1巻の時点で気になる謎もたっぷり用意されており、物語としての引きもしっかりしています。

 

今の子どもたちにこそ読んでほしい

本作を読んでいて何度も思ったのは、「今の子どもたちにぜひ読んでほしい」ということでした。きっと彼女たちは、リリに憧れたり、お気に入りのキャラクターを見つけたりしながら、この物語を楽しむのでしょう。

そして何年後かに、
「マホリリ懐かしい!」
と語り合う日が来るのだと思います。

私たちが子どもの頃に夢中になった作品を、今でも大切に覚えているように。

王道だから古いのではない。王道だからこそ、人の心に残る。『魔法練習生 リリ・ラズベリー』は、そんなことを改めて感じさせてくれる作品でした。

あとがきで遠山先生は「アニメ化できたら嬉しい」と語っていますが、この世界観はきっと映像とも相性抜群です。

だからこそ今は、まずマンガでこの魔法の始まりを見届けたい。
そしていつかアニメ化されたとき、「1巻から追いかけていたんだよ」と胸を張って言いたくなる。

そんな予感に満ちた、これからが楽しみな一作です。

(レビュアー:Micha)

魔法練習生リリ・ラズベリー 1
著者:遠山えま
発売日:2026年05月
発行所:講談社
価格:792円(税込)
ISBNコード:9784065434918

 

おすすめ記事

「私の人生…こんなはずじゃなかったのに…」呪いで老婆にされた少女と謎の男の運命!『千年の花嫁』

 

女王様と5人の王子に「恋」を命令されました。未来が視えるメイドが知った女王の秘密!? 

 

男装女子×溺愛吸血鬼のキケンな同居。「チューしてやろうか?」

※本記事は、講談社|今日のおすすめ(コミック)に2026年6月11日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。