2026年6月1日(月)に「2026年 上半期ベストセラー」(日販調べ)が発表され、『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)が総合第1位となりました(集計期間:2025年11月19日~2026年5月20日)。
ハーバード、スタンフォード、オックスフォードといった世界の研究機関による科学的エビデンスをベースに、ラクに、自然に、習慣化できる112個のテクニックが紹介されています。2025年7月の発行後、SNSでバズったことで話題を呼び、着実に売上を伸ばしました。「2026年 上半期ベストセラー」(日販調べ)ではビジネスジャンルでも第1位となっており、累計発行部数も62万部(電子版を含む)を突破するなど、今なお多くの読者の支持を集めています。
今回は、自身を“エビデンス職人”と語る、著者の堀田秀吾さんに制作の裏側からおすすめの習慣まで、たっぷりとインタビューにお答えいただきました!
購入者の6割が女性! 執筆時には想定していなかった「最大の勝因」
――『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』が2026年上半期ベストセラー総合第1位となりました。今のお気持ちをお聞かせください。
ありがとうございます!著者の力というのは本当にほんの少しなので、出版社のみなさんが頑張ってくださったおかげです。
――本書のどのような点が、もっとも読者に支持されたとお考えですか? また、寄せられた反響についても教えてください。
見開きでページが完結して忙しい方でもさっと読める点、112ものTIPSが一冊に凝縮されていてコスパが良い点、そして科学的なエビデンスに基づいているため情報の信頼性が高いことなどが、好評をいただいている大きな要因だと考えています。本当に多くの方々が「読んで良かった」とおっしゃってくださるのが、とても励みになっていますね。
また、それ以上に大きいのが「女性受け」したことだと思います。
実は購入者の約60%が女性だそうなんですよ。本屋さんでもビジネス書売場だけでなく、基本的に女性がよく通る動線に展開されていたこともポイントだったのかなと思います。制作に携わったスタッフも担当編集、ブックデザイナー、広報が全員女性で、カバーの色も女性が手に取りやすい“アボカドグリーン”だったりと女性向けに作りこまれているんです。
執筆する際には特に女性をターゲットにしていたわけではなかったのですが、最終的には女性に支持されたことが今回の勝因だと思っています。
――本書のどういったところが女性に刺さったと思われますか?
先日も60代の女性とお話ししたのですが、「パッと読めるところ」だとおっしゃっていました。
働く女性は特に忙しく、ゆっくりまとまった読書時間をとることが難しいですし、長編のビジネス書は敬遠されがちです。でも、この本なら気になるところだけを2〜3分で読み切ることができるので、女性の時間の使い方に合っているのだとお話しされていました。

▲見開きで1つのテクニックが完結しており短時間でも読みやすい/イラスト:若田紗希(『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』より)
3,000近い膨大なネタに一つひとつ目を通した担当編集の情熱と厳選された112のTIPS
――本書に掲載されている「112個のテクニック」は、具体的にどのような方法で選定されたのでしょうか。
私が日々見かける論文をストックしている何百ページにもわたるネタ帳があるのですが、今回はそれをそのまま当時の担当編集にお渡ししました。
こうした本を書き始めたのは14、15年前のことなので、ストックしていたネタは2,000から3,000ほどあったと思います。その膨大なネタの中から、担当編集が一つひとつ丁寧に目を通し、おもしろいものを集めて最終的に112個に絞り込んでくれました。
私は自らを「エビデンス職人」と称していますが、編集者こそがプロデューサーであり、映画監督であり、演出家だと思っています。彼らが作りたい作品に対して、私は求められるエビデンスを集めて演じる、というスタンスです。もちろん議論には参加しますが、最終的には担当編集がしっかりと軸を持って進めてくれたので、私はその基本軸に沿って執筆していきました。この選定に関しては、本当に担当編集の努力の賜物です。
――3,000もの候補から手作業で選ぶのは、並大抵の労力ではないですよね。
そうなんです。最近はAIを使うケースも多いですが、当時の担当編集は、すべてのネタに目を通し、わざわざ印刷して並べて確認してくださったそうです。
編集者がこれだけ情熱を持って作った本がきちんと売れたというのは非常に良い話で、まさに「血肉の結晶」だと感じます。どれだけ情熱を込めるかというのは本作りの基本だと思いますし、その結果が今回の総合第1位につながったことは、AIが台頭する今の時代においても、とても夢がある、温かい話だなと思います。
一番実践するのは「背筋を伸ばす」――エビデンス職人が実践する「行動の自動化」と「集中の力」
――先生ご自身が実践されているテクニックや、日々の生活に役立っている習慣はありますか?
たくさんありますよ。
背筋を伸ばすこともやりますし、笑顔を作ることも意識しています。言葉であれば「私はワクワクしている」と口に出すようにしていますし、最近では台本を覚えるときにボールを握るメソッドも取り入れています。
なかでも一番多いのは「背筋を伸ばす」ことでしょうか。これは自分の学生たちにも実践させています。また、「残り時間を知らせる」というテクニックは、大学の授業などにもすごく応用していますね。

――ご自身の生活や仕事のあちこちに、科学的な仕組みを取り入れられているのですね。
そうですね。あらゆることの「仕組み化」を進めていて、特に「決まった時間にやる」ということは強く意識しています。
いま朝のジムに通っているのですが、毎朝6時半に起きて7時のクラスに出席しているんです。ただ、自分でもどうやってジムまで行ったのか、道中の記憶がほとんどないんですよ(笑)。朝起きたら歯を磨いて、運動着を着て、そのままジムに向かうというシステムを作ってしまっているので、目が覚めて5分後にはもう家を出ています。
習慣化において、行動の前に考えちゃいけない。考えたら負けなんです。このように仕組み化して自動で動けているおかげで、一日の活力も自然と生まれていますね。
――「考えずに動く仕組み」が活力を生むのですね。一方で、どうしても日々の生活の中で悩みや不安に囚われて、行動が止まってしまうこともあると思います。そうしたときはどうされているのでしょうか。
悩んでいるときは、あえて他のことに集中するようにしています。
そもそも、人間が悩んでしまう理由は、ある意味で「暇だから」なんです。考える時間があるからこそ、余計なことまで考えてしまう。しかし、何かに没頭しているときは、人間の脳は今やっていることに集中するため、他のことを考える余裕がなくなります。
ですから、まずは自分が集中できることを見つけ、それだけを考えるようにする。目の前のことに没頭していれば、それが結果的に成果につながりますし、自分自身の糧にもなります。私自身も、日頃からこれを強く意識しています。
生きていくうえで大切なのは「考えない力」。心を楽にする“リセット言葉”とは?
――最後に、「まずこれだけやればOK」という最小の習慣を1つ選ぶなら、どのようなことでしょうか。
私は、生きていくうえで大事なのは「考えない力」だと思っています。
今の時代は情報が多すぎるため、どうしてもついつい考えすぎてしまいますよね。だからこそ、考えないための“リセット言葉”を自分の中に持っておくと良いんです。
心理学では「メンタル・ディスタンシング(ストレスや疲労から心を解放するために、物理的または心理的に距離を置くこと)」などと言いますが、私は自分で2つのリセット言葉を持っています。
1つ目は、「ま、そんなもんでしょ」という言葉。
「人間なんてそんなもんでしょ」「社会なんてそんなもんでしょ」と考えると、理想と現実を切り離すことができるので、すごく楽になるんです。悩みや怒りの原因というのは、実はいつも決まっていて、「こうでありたい」「こうあるべきだ」という理想・義務と、目の前にある現実の状態がマッチしていないときに起こります。
例えば、子どもに「こうしてほしい」と思っても、なかなかその通りには動いてくれません。そこでイライラしてしまいますが、本能で動いている子どもを変えるのは、正直難しいです。
それなら、「子どもなんてそんなもんだから、まあいいか」と現実を受け止めて、代わりに「仕組み」を変えてあげる。本書でも心理学的なアプローチである「ナッジ(自発的に望ましい行動を選択させる仕掛け)」を紹介していますが、仕組みでアプローチすれば物事がだいぶ楽になります。
――理想に囚われすぎず、一歩引いて「そんなもの」と受け止めるのですね。では、2つ目の言葉は何でしょうか。
2つ目は、「このことを、明日覚えているかな? あるいは10年後も覚えているかな?」という問いかけです。
例えば、道端で見知らぬ人とぶつかったときなど、その瞬間はイライラすると思います。でも、「じゃあ、10年後もこのぶつかってきた人のことを覚えているか?」と自分に聞いてみる。すると「絶対に覚えていないな」と思えて、一気に気が楽になります。
こうした“手放す言葉”を持っておくだけでだいぶ救われますし、「嫌なことがあったらこういう考え方をしよう」といった「イフ・ゼン・プランニング」や、「メンタル・ディスタンシング」などを応用すると、できるだけ余計なことを考えずにすみます。
本の制作は「舞台公演」。関わるすべての人の思いをつなぐ一冊に
――最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いいたします。
書籍の制作というのは、「舞台公演」に似ていて、作家は俳優、編集者は監督・演出家、ブックデザイナーさんは魅力的な舞台を創り出してくれる美術、そして出版社の営業や広報の方、書店員のみなさんは集客担当です。そして読者のみなさんが観客であり、その作品の評価をしてくださる存在です。
このチームプレーは、関わる人々の思いが一つになったときにヒットとなり、より愛される作品になると考えています。本書は今、まさにそんな人々をつなぐ一冊になりつつあると感じています。
これからも、この本を愛していただけたら嬉しいですし、より多くの方々のお手にとっていただけるように、みなさまと一緒にこの作品を育てていけることを願っています。
――まずは自分なりのリセット言葉を決めることから始めてみようと思います。本日はありがとうございました!
書誌情報

著者:堀田秀吾
発売日:2025年7月
発行所:SBクリエイティブ
定価:1,760円(税込)
ISBN:9784815633417
仕事、ダイエット、健康管理、勉強、目標達成…すべて成功のカギは「習慣化」にあります。
しかし間違った習慣を身につけてしまったらその代償は大きくなってしまいます。
何をどう習慣化すればいいか、そのために重要になるのが「エビデンス」です。・もし「A」をしたら「B」をすると、あらかじめ決めておく
・選択肢は必ず「3つ」用意しておく
・常にポジティブな言葉を使う―つらさに対する耐性が高まる
・52分間作業して、17分休憩する―生産性が高まるetc.本書は、ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…などの研究機関において証明されたテクニックを112個紹介。見開き図解入りでわかりやすい。気になったテクニックからはじめられ、情報収集のためにも役立ち、また読みものとしても楽しめる一冊です。
(SBクリエイティブ公式サイト『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』より)
堀田秀吾さんプロフィール

ほった・しゅうご。言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D. in Linguistics、言語学博士)。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2008年、明治大学法学部准教授。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションに関して、社会言語学、心理言語学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。また、研究以外の活動も積極的に行っており、企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。
