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「そんなの“常識”だよ!」と言われてイラっとしたあなたに!常識を振りかざす人をギャフンと言わせるマジックワードとは!?【ほんのひとふし】

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※本稿は知的生きかた文庫『グズを直す本』の一部を再編集したものです。

“常識家”よりも“冒険家”であれ―― もっと「無為の世界」に浸ってみる

アイキャッチ※画像はイメージです

「世間の常識」をどう乗り越えるか?

「そんなことは常識的に考えればわかるじゃないか」とバカにされたり、「そんな常識はずれなことをして、世間さまに笑われるぞ」と非難されたりした時に、反抗して「じゃ、常識って何さ」とムキになったことはありませんか。

あるいは現在進行形で、見えない「常識」や「世間さま(世間体)」に対してモヤモヤし、対抗意識を燃やしている人もいるかもしれません。この、あるような、ないような、不思議な「常識」について少し掘り下げて自分なりの結論を出しておけば、この先モヤモヤが高じて、他人にいちいち嚙みつかなくて済むようになります。

「常識」という言葉は、明治時代に英語の“common sense” の訳語として誕生したものです。

『広辞苑』では[普通、一般人が持ち、また、持っているべき知識。専門的知識でない一般的知識とともに、理解力・判断力・思慮分別などを含む]と定義されています。

この定義に反抗するというのは、自分が一般人のような知識や思慮分別がないという批判に対する憤りの表れなのかもしれません。

しかし同時に、「何かの専門家を自称すれば常識にとらわれなくてもいい」という抜け道も見えてきます。

ユニークな解説で有名な『新明解国語辞典』(第七版)を見ると、[健全な社会人なら持っているはずの(ことが要求される)、ごく普通の知識・判断力]とあります。ここからは、“健全な社会人”という枠が見えてきます。その枠からはみ出た人が“常識はずれ”に分類されるのです。なるほど、犯罪者は常識を逸脱した行為をした人で、そのまま社会に居つづけられると周囲がとても迷惑するので、刑務所に隔離されます。

それでも、常識を振りかざす人をギャフンと言わせたければ、こう反論できそうです。

「何も閃ひらめかず、冒険もしない人を“常識家(人)”と言うけれど、私は閃きに従うこともあれば、冒険だってする。その意味では、なるほど私は常識を重んじる常識家ではありません。それでいいと思っています」

また“常識的”は、「だれでも知っていて、特に鋭いとか、優れているとか、変わっているといった印象を与えない」という意味です。少し乱暴ですが、「常識的な人=凡人」という図式が成り立ちそうです。

これらの解説をもとにすれば、これまで“常識知らず”や“常識はずれ”と揶揄やゆされ、世間の常識に縛られているとモヤモヤしていた人の反論材料は出そろっている感があります。もし私が“常識はずれな坊主”と言われたら、こう言うでしょう。

「褒めていただいて、ありがとうございます。鋭いところもなく、優れていそうでもなく、特に変わったところもないような人を常識的と言いますが、私はそんな人にはなりたくありません。だから、私にとって“常識はずれ”は褒め言葉なのです」

どうですか。「常識」に過剰に反応する坊主の大人げなさが、おわかりいただけたでしょうか。

2024年夏、常識と類似している「世間」について、一つの気づきがありました。

夏の朝、犬の散歩をしているとベンチにいたご婦人が「犬を飼っている人は毎日散歩をさせないといけないから大変ですね」とおっしゃったのです。

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私自身は、しなければならないから犬の散歩に出るのではなく、当たり前のことをしているだけです。
いろは歌の中に「有為ういの奥山今日越えて」があります。

有為は、「すこと有り」という私たちの世界。右のご婦人にとっての犬の散歩です。やらなければならないことに振り回されているのが、有為の人生です。仏教はそのような有為の心のあり方を乗り越えて「無為(為すこと無し)」の心おだやかな境地を目指せと説きます。

仕事も家事も犬の散歩も、有為の価値観で「やらなければならない」と考えるか、無為の世界に浸って「ただやっているだけ」と思っているかで、心の負担は大きく異なります。

趣味も無為の範疇です。趣味を仕事にしないほうがいいと言われるのは、せっかく無為でやっていることを、「しなければならない」という有為にしないほうがいいというアドバイスなのです。

犯罪者にならないように注意しつつ、常識や世間を乗り越えたあなたらしさが、自然に発揮できたら素晴らしいですね。

※本稿は知的生きかた文庫『グズを直す本』の一部を再編集したものです。

 

『グズを直す本』

書影
著者:名取芳彦
発売日:2026年3月
発行所:三笠書房
定価:847円(税込)
ISBN:9784837989608

「ほんのひとふし」とは、話題の書籍から特に関心の高いトピックや、今こそ読みたい一節をピックアップしてご紹介する「ほんのひきだし」の連載企画です。
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