とびっきりキュートな夫婦が誕生!
妻に好かれたいがために、妻の推しキャラ(超塩対応男子)を演じ続ける夫と、その事実をすべて知りながら見守っている妻。
単行本の帯には「そんなあなたが愛おしい。」とありますが、読了後には思わずこう言いたくなります。
――そんなあなた(この夫婦)が愛おしいかよ!
演じるキャラと素のギャップが愛おしい夫
橘花螢太は、夢中になると朝まで仕事をしてしまう真面目な研究員。ある日、社長直々に社長令嬢・澪央とのお見合いを持ちかけられ、断れない状況に追い込まれます。

うまくいかなければ解雇かもしれない――そんな不安を抱えた螢太は、同僚の助言を受けて澪央の好きな少女マンガを研究し、その推しキャラクター・和泉くんを“演じる”ことに。

研究職らしく、やると決めたら徹底的に分析する姿がまず愛おしい。
そして自分と正反対のキャラを演じるがゆえに、自分の発したセリフにいちいちダメージを受けてしまう不器用さもまた愛おしいのです。

必死に“演じていること”を隠しながら、日々ヒヤヒヤと過ごす螢太。その健気さに、気づけばこちらも見守る側になってしまいます。
そんな夫を愛でる妻もピュアすぎる
一方で、螢太に助言した同僚は、実は澪央の元家庭教師。つまり澪央は、螢太が和泉くんを演じていることを最初から知っています。
見えないところでマンガを読み返し、セリフを確認する螢太。その努力を知ったことで、澪央の好感度は一気にアップ。螢太の一挙一動に萌え、思わずニヤニヤしてしまう姿がとにかくかわいいんです。


ただし、彼女もまた“知っていること”を隠して生活しています。

お互いに秘密を抱えたまま、それでも距離を縮めていくこの関係性がたまりません。
少女マンガでは通用しない現実にぶつかる
お見合いがまさかの成功を収めたことで、螢太はさらに“和泉くん”を極めていきます。澪央との会話も、すべて少女マンガの中に答えを求め、キャラクターとしての最適解を選び続ける日々。
しかし当然、現実にはマンガ通りにいかない場面も訪れます。
その代表が「初夜」。
螢太は必死に参考シーンを探しますが、和泉くんが生きるのは“少女マンガの世界”。つまり、肝心なシーンは描かれていないのです。


どうすればいいのか分からずあたふたする螢太と、その様子をすべて理解した上で悶絶する澪央。
――いや、もう本当にお似合いすぎる夫婦なんですが!と、こちらまでニヤニヤが止まりません。
“素の彼”にこそ心が動く理由
ここまで読むと、澪央はすべてを分かった上で楽しんでいる、少しあざとい人物にも見えるかもしれません。
でも実際は違います。
彼女もまた、社長令嬢として決められたレールの上を歩んできた人物。恋愛経験が少なく、少女マンガの世界に心の拠り所を見出してきた過去があります。
だからこそ、クールでいじわるな“和泉くん”ではなく、ふとした瞬間に見える螢太の素の優しさに、本当の意味でドキッとしてしまう。


「1人の男性」として意識し始めるその変化が、とても愛おしく映るのです。
本当の自分を知ってもらうステップアップラブ
1話15ページほどのショートラブコメでありながら、テンポの良いやり取りに毎話クスッとさせられる本作。
お互いの“かくしごと”がすれ違いを生みながらも、それを乗り越える中で少しずつ距離を縮めていく二人の関係性が描かれています。
結婚している大人同士なのに、驚くほどピュア。
そのギャップこそが、この作品のいちばんの魅力です。
きっと気づけば、この夫婦を“推したくなる”。
そんな予感に満ちた一作。
これから二人がどのように本当の自分を見せ合い、夫婦としての距離を縮めていくのか。
その歩みを、ぜひ見守っていきたい作品です。
*
(レビュアー:Micha)
- 橘花夫妻のかくしごとな新婚生活 1
- 著者:我楽谷
- 発売日:2026年03月
- 発行所:講談社
- 価格:792円(税込)
- ISBNコード:9784065429037
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※本記事は、講談社|今日のおすすめ(コミック)に2026年4月18日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。

