「2026年本屋大賞」は朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』
4月9日(木)、東京・元赤坂の明治記念館において、2026年本屋大賞の順位が発表され、朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP/日本経済新聞出版)が大賞を受賞しました。
本作は、朝井リョウの作家生活15周年を記念した長編小説です。
アイドル運営に関わる男、推しに救いを求める大学生、かつて熱中していた女性という立場の異なる3人の視点から、“推し活”の熱狂とその裏側を描く群像劇で、「物語」が人の心を動かし、時に救い、時に支配する様が、高いリアリティで浮き彫りにされています。
発売直後から各メディアやSNSでも取り上げられるなど大きな話題になり、現在の累計部数は増刷中も含めると累計23万部となっています。
朝井リョウさんの受賞コメント

『正欲』『生殖記』につづいて今回は3回目のノミネートになります。3作品は共通のテーマを描いていると思っています。そのテーマが「生きる推進力」です。もう少し説明すると、“生と死が隣同士に並んでいたとして、生のほうを選びとる理由やきっかけ”を探りたくて描いた作品です。
自分にとって、「生きる推進力」を探る作業というのは、共同体の構造や仕組みを考える作業に近く、「こういう仕組みだから、こういうことが生きる推進力に成り得るんだな、ということを考えながら小説を書いてきました。つまり、私が3作品で書きたかったのは人間というよりは構造とか、現象とかそういうものだったのかなと思っています。
「この感情を紙の上に引きずり出してもいいのか」「(読者に)届けるものはこの感情でいいのか」「一番売りたいという『本屋大賞』という冠の上においてもらうものが自分の作品でいいのか」という不安はあります。ただ、たった一人で書く小説というものは偏りがあってこそなのではとも思います。
本屋大賞はジャンルレスな作品が揃っています。他の文学賞と比べてもそれぞれの「偏り」や「極端」が並んでいると思います。自分が絶対書けない作品や絶対書かない作品が隣に並んでいるからこそ、自分の中の「偏り」を大切にできるんだなと感じました。
たくさんの「偏り」が並ぶ本棚、そして本棚がたくさん並ぶ書店という場所を守っている皆さんにあらためて感謝申し上げたいと思います。これからも「偏り」を大切にしながら、その本棚の一部になっていければいいなと思います。
【プロフィール】
朝井リョウ(あさい・りょう)。1989年、岐阜県生まれ。2009年、『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。『何者』で直木賞、『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞、『正欲』で柴田錬三郎賞を受賞。ほかの著作に『スター』『そして誰もゆとらなくなった』『生殖記』など多数。
「2026年本屋大賞」授賞式の様子


書誌情報

著者:朝井リョウ
発売日:2025年9月
発行所:日経BP/日本経済新聞出版
定価:2,200円(税込)
ISBN:9784296121045
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」(日経BP公式サイト『イン・ザ・メガチャーチ』より)
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2026年本屋大賞順位
本アワードは、全国の490書店、書店員698人の投票により一次投票が行われ、ノミネート10作品が決定しました。その後、二次投票を経て決定した順位は以下の通りです。
| 順位 | 書名 | 著者名 | 出版社 |
| 大賞 | 『イン・ザ・メガチャーチ』 | 朝井リョウ | 日経BP/日本経済新聞出版 |
| 第2位 | 『熟柿』 | 佐藤正午 | KADOKAWA |
| 第3位 | 『PRIZE―プライズ―』 | 村山由佳 | 文藝春秋 |
| 第4位 | 『エピクロスの処方箋』 | 夏川草介 | 水鈴社 |
| 第5位 | 『暁星』 | 湊かなえ | 双葉社 |
| 第6位 | 『殺し屋の営業術』 | 野宮有 | 講談社 |
| 第7位 | 『ありか』 | 瀬尾まいこ | 水鈴社 |
| 第8位 | 『探偵小石は恋しない』 | 森バジル | 小学館 |
| 第9位 | 『失われた貌』 | 櫻田智也 | 新潮社 |
| 第10位 | 『さよならジャバウォック』 | 伊坂幸太郎 | 双葉社 |
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