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『PUNKS△TRIANGLE』沖田有帆さんインタビュー:注目作家が語る創作のこだわりとは? 「“キャラクターらしさ”を大切に、読者の“見たい”に応える作品を」

B+LIBRARY_vol.19_表紙

3月31日(火)より順次、全国約600書店にて配布が開始されたBLコミックガイド「B+LIBRARY(ビープラスライブラリー)」vol.19。

vol.19の表紙は、憧れの“推し”と同級生の間で揺れる恋心を描いた“擬似”三角関係ラブストーリー、『PUNKS△TRIANGLE』が飾りました!

今回は特集として、作者の沖田有帆さんにBLへの想いや『PUNKS△TRIANGLE』の創作秘話などについて、インタビューしました。本記事では、冊子に掲載しきれなかった内容も含めて、インタビュー全文を公開します。

PUNKS△TRIANGLE
著者:沖田有帆
発売日:2023年07月
発行所:ホーム社(千代田区)
価格:880円(税込)
ISBNコード:9784834265361
PUNKS△TRIANGLE stitch 1
著者:沖田有帆
発売日:2025年06月
発行所:ホーム社(千代田区)
価格:880円(税込)
ISBNコード:9784834265620

 

沖田有帆
2022年に『イラつく素肌』(双葉社)でコミックスデビュー。BLアワード2024では3作品が同時にノミネートされ、早くも注目を集める。代表作『PUNKS△TRIANGLE』(ホーム社)は、続編『PUNKS△TRIANGLE stitch』とあわせて、紙・電子の累計発行部数35万部を突破し、2025年にTVドラマ化を果たした。

 

気づけば好きになっていたBL、きっかけは……?

――BL作品を描き始めたのはいつ頃ですか? きっかけがあればお聞かせください。

中学2年生とかそのあたりでしょうか。あまり覚えていませんが、好きなアニメがきっかけだったと思います。でも思えばなぜBLを知っていたんでしょう……? 姉がきっかけだったかもしれません。

――商業BL作家としてデビューするに至った経緯をお聞かせください。

創作BLをちゃんと描いたことがなかったので、「描いてみたいな」と描いてみて、その作品でイベントに出た際にお声がけをいただけました。
自分ひとりではなく、人と作るBLに興味があったのでお受けさせていただきました。

――もともと漫画はお好きでしたか? 漫画に限らず、お好きなもの・こと、ご自身の創作の源泉や、影響を与えていると思うものについて教えてください。

最近まで漫画が読めない状態にあったのですが、去年それを克服して、やっぱり漫画は面白いなと改めて思えるようになりました。まわりくどい返答で恐縮なのですが、漫画好きだと思います!
それ以外だと音楽や映画からは影響をいただいているなと思います。

――作品を描くにあたり、大切にされていることは何でしょうか。

キャラクターの言動をそのキャラが本当にやるのかを考えることと、読者の皆さんが見たいものを描けているのかどうか、喜んでいただけるかどうかです。

――キャラクターを描くにあたって「ここは外せない!」というこだわりポイントはありますか?

表情でしょうか……!? あとは輪郭とか、地味にキャラごとに設定しています。

 

B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像① B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像②

B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像⑧

 

――原稿作業中に欠かせないもの(お菓子や飲み物、音楽など)はありますか?

長時間配信やゲーム実況です……! 『先輩、ナカみせて』という漫画を描くことをきっかけにVTuberも見始めました。ノベルゲームの実況は画面を見なくても聞けるので大変助かっています。

先輩、ナカみせて 1
著者:沖田有帆
発売日:2023年05月
発行所:リブレ
価格:922円(税込)
ISBNコード:9784799762486

 

――原稿作業の気分転換にされていること(ストレッチや映画鑑賞、ゲームなど)はありますか?

ないので探しているんですよね……。そもそも気分転換をしている余裕がある原稿作業の想像がつきません。ハムスター観賞用のサブアカウントがあるのでそれを見たりとか……?

 

時間をかけて何度も描き直したのは……冒頭のあのシーン!

――『PUNKS△TRIANGLE』と、その続編『PUNKS△TRIANGLE stitch』を描くことになった経緯についてそれぞれお聞かせください。

パントラは完全にキャラクターデザインからできた漫画です。パンク系ファッションの男の子同士ってかわいいなとぼんやり思っていて、その二人が登場するなら服飾系学校を舞台にするといいんじゃないかという感じでできました。

stitchは、二人が二人だけの世界ではなくて、クラスメイト含めたコミュニティの中での二人も見てみたいという点、そして二人の将来みたいな人生を描きたくて描き始めました。

――『PUNKS△TRIANGLE』または『PUNKS△TRIANGLE stitch』で、特に力を入れたシーンや描いていて印象に残ったシーンについて教えてください。

いちばんはじめのアイ君が歩くシーンでしょうか。普段1ページに1時間くらいしか時間をかけないのですが、1日以上時間をかけて描いたうえに、単行本を出すときにまた修正したおぼえがあります。

 

B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像③

 

――『PUNKS△TRIANGLE』では「アイ」と「江永」が同一人物であることを、『PUNKS△TRIANGLE stitch』ではアイと千明が恋人同士であることを秘密として描いています。シリーズ全体のテーマに一貫して“秘密”を据えた理由をお聞かせください。

パントラ無印では二人のすれ違いの要因になった秘密が、続編では二人のものになっているのは、関係性も含めて恋人同士っぽくて良いなと思ったからです。

――本シリーズの攻め・江永歩は、カリスマモデルの「アイ」と超絶不器用男子の「江永」のふたつの顔を持ち、一方で受けの千明も尖ったパンクファッションに身を包みながら非常にピュアな一面をのぞかせています。こうしたふたりの外見と内面のギャップを設計するうえで、どのようなことを意識していましたか。

どちらもかわいいギャップ、というか、完全ではないからこその萌えみたいな……。弱さにつながる部分が描けたらいいなと思っていたと思います。

――『PUNKS△TRIANGLE』では、アイと江永の間で心が揺れ動く千明と、千明に自分の正体を明かせず葛藤する歩が描かれています。こうしたふたりの複雑な心情を表現するうえで意識していたことや工夫していたことについてお聞かせください。

千明の場合は「自分でも無自覚に」惹かれている、というところを、行動を先に出すことで表現したかったです。モノローグで明確に江永に惹かれているとは書かないようにしていました。

歩はとにかくウジウジしていないように見えるよう、隠すことに正当性があるように見せるのに苦労をしました。きちんと千明君のためを想ったからこそ行動できなくなってしまったように描きたかったです。

――『PUNKS△TRIANGLE stitch』では晴れて恋人同士となったアイと千明ですが、ふたりの関係性を描くにあたって前作から変わらず引き継いでいる要素や、あるいは本作から取り入れた新しい要素はありますか。

千明がアイを推していることはずっと変わらずそうであってほしいですね!

 

B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像➃

 

セリフもファッションも、常に「キャラクターらしさ」を大切に

――作中には、アイが千明にピアスを開けるシーンや煙草の吸い方を教えるシーンなど、フェティッシュな演出が随所に登場します。こうした印象的なシーンを挿入する際のねらいと、描くうえで特にこだわった点を教えてください。

普段は省略するような動作をゆっくり描くことにはこだわっているかもしれません。
あわせて二人の心境や情事の暗喩のようなニュアンスをもたせられると、ただの動作を描いているだけにならずに意味がうまれるなと思います。

B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像⑤

 

B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像⑥

 

――アイと千明をはじめ、キャラクターたちの個性的で多様なファッションが非常に魅力的ですが、彼らのファッションを考える際に参考にしているものや工夫していることがあればお聞かせください。

動きやすいかどうかとか、そのキャラが本当にそれを選ぶのかとか、描く側として楽しい・見たいというより普段のキャラクターが出るような衣装選びができたらと思ってはいます。千明は学校に行くときは結構カジュアルですし、アイは、普段着はそこまでパンクじゃなくて抜け感がある感じにしたいな、とか。

――作中では「勇気の背骨になる服」や「安全ピンを使ってでも繋ぎ止めたい」など、読んでいて印象に残る言葉が多く出てきます。キャラクターのセリフや心情を言葉で表現するにあたり、意識していることや工夫していることはありますか。

絵が浮かぶような比喩になればいいなと思ってはいます。ただ、これもできるだけそのキャラがちゃんと言いそうなセリフになってほしいな、というのは考えています。

――アイと千明の関係はもちろん、文化祭の成否やサブキャラクターである凛の恋の行方、謎めいた新キャラクター・美月の登場など、気になる展開が続く『PUNKS△TRIANGLE stitch』ですが、今後の見どころや注目ポイントを教えてください。

服作りを通して、二人やクラスメイトの距離が近づいていくところを楽しんでいただけたらとても嬉しいです。

B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像⑧

B+LIBRARY沖田有帆先生インタビュー_コマ画像⑦

 

BLは奥深くて楽しい! 魅力は「萌え」にひたすら向き合えること

――ご自身にとっての「BL」の魅力をお聞かせください。
また、これから挑戦してみたいジャンルや、BLに限らず今後挑戦していきたいことがありましたらお聞かせください。

自分、あるいは読者の方々と共有している「萌え」というめちゃくちゃ抽象度の高いものに腰を据えて向き合えるという点で特殊なジャンルだと思います。男同士だからこその関係性のパワーバランスや、行為に生じるフェチ、属性など、まだまだ奥深いジャンルだと感じています……!
挑戦したいことは……エロがなくても満足度の高い漫画とかでしょうか。私がエロ好きなので難しそうですが……!

――最後に「B+LIBRARY」読者へのメッセージをお願いいたします!

ここまで読んでいただけたということは相当BLが好きな方なんだろうなと思います。BL楽しいですよね!
私も皆さんの楽しさの一部になれたらとても嬉しく思います。ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!

 

「B+LIBRARY」について
「B+LIBRARY」は、キャラ属性や萌え度、ジャンルといった切り口から好きなBLコミックを探すことのできるガイドブックです。BLポータルサイト「ちるちる」に投稿された10万件以上のレビューや、BLコンテンツを扱うサイトで収集されたデータをもとに作品を厳選し、「スパダリ攻め」「メガネ受け」といった設定別で掲載。「好きなジャンル」「好きな作家」「絵柄」などさまざまな切り口で作品を選ぶことができるので、新たなBLコミックと出合ったり、見逃していた作品を見つけたりするのに役立ちます。

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「B+LIBRARY」に関するお問い合わせ

日販 プラットフォーム創造事業本部 IPソリューションチーム
[E-mail]bpluslibrary@nippan.co.jp