スペインに伝わる“本のバレンタインデー”
文化の日を含めた読書週間や「文字・活字文化の日」など、本にまつわる記念日はいろいろあります。また「読書の秋」とよくいいますが、これは韓愈の書いた詩「符読書城南」がもとになっており、夏目漱石の作品『三四郎』に登場したことで、広く知られるところとなったそうです。
このように日本の記念日や風習は私たちにとって馴染み深いものですが、「サン・ジョルディの日」をご存じの方は、あまり多くないのではないでしょうか?
「サン・ジョルディの日」は、スペイン・カタルーニャ地方に古くから伝わる伝統行事。
中世から“愛の守護聖人”としてたたえられてきた騎士、サン・ジョルディの命日にちなんでおり、カタルーニャでは毎年4月23日に、男性は女性に花を、女性は男性に本を“愛する気持ち”のしるしとして贈るのだといいます。
またバレンタインデーでいう“友チョコ”のように、友人同士で贈り合うこともあるのだそうです。
なぜ「花と本」なのか?
サン・ジョルディの伝説には、こんな一説があります。
「サン・ジョルディは、竜の生贄になった王女を救うため、剣で竜を刺した。彼の一刺しで竜の血が地面に流れ、そこには赤いバラが咲いた」
このことから、サン・ジョルディの日のプレゼントには、バラが選ばれることが多いのだそう。
一方で「なぜ本が選ばれたのか?」という疑問が残りますが、これはサン・ジョルディの命日が『ドン・キホーテ』で知られる近世スペインの作家、ミゲル・デ・セルバンテスの命日でもあったことが由来となっています。
また4月23日は、イギリスの劇作家・詩人、ウィリアム・シェイクスピアの命日でもあります。
とはいえ、プレゼントに本を選ぶのはなかなか難しい……
そうはいっても、本を誰かにプレゼントするのはハードルが高いと思っている方も多いはず。
それはおそらく、相手の好みをよく知っていなければならないからでしょう。
自分の好きなものを贈っても、喜んでもらえるとは限らない。その人の好きなジャンルであっても、その人が読んでみるまで「面白い本」かはわからない。
しかしサン・ジョルディの日は、「あなたを大切に思っています」という気持ちを伝える日です。
例えば「愛」「恋愛」に関する本、また、スペイン発祥の行事ということで「スペイン」にまつわる本を選んでみるのもいいかもしれませんね。
今年も「サン・ジョルディの日」のイベントが開催!
日本でも各地で行われる「サン・ジョルディの日」のイベント。今年は当日の4月23日(日)に、東京・恵比寿と名古屋でイベントが行われます。
それぞれ朗読や読み聞かせ、ミニコンサート、ワークショップ、展覧会などが実施される予定ですので、気になる方はぜひチェックしてくださいね。
恵比寿
http://www.ajac.ne.jp/img/20170423tokyo.pdf
名古屋
http://www.ajac.ne.jp/img/20170423nagoya.pdf
(協力:日本・カタルーニャ友好親善協会)