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  • 大雨にも負けず、猛暑にも負けない、そんな出版人になりたい

    2019年09月24日
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    古幡瑞穂(日販 マーケティング部)
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    ようやく暑い夏が終わりました。

    天気がぐずついた前半と、酷暑続きの8月。「夏の暑さが売上に影響を与えている」という話もあちらこちらから聞こえてきます。

    果たして、気候は売上にどのような影響を与えているのでしょうか? 今回は「天候と売上の関係」を見ていきます。

     

    夏本番化にともない売上は悪化 大雨の日が最低記録に

    まずは、2019年夏季の「書店における売上平均比」と「天候」の変動をグラフにしてみます。

    調査条件
    ・期間:2019年6月1日~8月31日
    ・売上データ:首都圏の書店(一都三県:東京・千葉・神奈川・埼玉)における、書籍・雑誌・コミックの売上冊数
    ・天候:気象庁公式HPに掲載されている気象データから、東京都内のデータを利用

    涼しい日が続いた7月上旬は好調で、7月下旬、最低気温が25度を切ることがなくなってから売上が悪化していることが、グラフから読み取れます。また首都圏のデータということもあってか、都心部に人が少なくなったお盆期間中は、売上の低迷が続いています。

    では続いて「本が売れた日」「売れなかった日」について、もう少し細かく見てみましょう。

     

    曇りの土曜日が狙い目 売上平均比ベスト10

    ベスト10には、土曜日がずらっと並びました。年間の「売れた日・売れなかった日」調査でも紹介していますが、書店店頭にとって、土曜日は1週間でもっとも売上が大きくなる曜日です。

    天候については、10日間のうち半分が雨模様。最高気温が30℃を超えた日も3日入っています。しかし一都三県を対象とした調査ということで、インショップ型店舗など、車や公共交通機関で来店できる店も多く含まれているため、多少足もとが悪くても、土曜はそれほど影響を受けないと見ていいのかもしれません。

    ベスト10のうち金曜だった2日間については、7月5日はジャンプコミックスの発売直後にあたり、『ONE PIECE』の新刊が大きく動きました。コンテンツの強さを再認識させられます。

     

    売上平均比ワースト10

    ワースト10については、6月10日が圧倒的に売上が低かったという結果が出ました。

    この日は終日雨が降っており、降水量も多く、肌寒い一日でした。

     

    「天気」「気温」「曜日」それぞれの切り口で売上を見てみると……

    もう少し傾向を見るために、切り口を変えて平均比を出してみました。

    まずは「天気」から。日中に細かく天候が変わった日を除いて、終日天気が一定していた日の売上を見てみました。

    やはり大雨・雨の日は、数字が悪くなっています。また、はっきりした晴れの日より、曇りのほうが売上はよい傾向にあるようです。

    続いて「気温」です。最高気温に着目して分類してみました。

    32℃を超えるとぐんと数字が落ちていますが、30~32℃の日が、もっとも売上平均比は高くなっています。

    ただしこの「30~32℃群」には土曜日が3日含まれており、それが数字を牽引しているとも考えられます。

    最後に「曜日」です。

    実のところ、もっとも顕著に数字が割れたのが、曜日別の数字でした。「月~木」と「金~日」で大きく差がついており、売上を左右する要素としては、天候より曜日のほうがより大きいようです。

     

    参考までに……

    参考までに、ジャンプコミックスの発売日を見てみました。

    今回の調査期間内に、ジャンプコミックスが発売されたのは3日。この3日分の平均売上は、期間全体の売上平均に対して106%となっていました。特に『ONE PIECE』の新刊発売日(7月4日)は、木曜日にもかかわらず売上平均比112%となっています。

    気温や天候と、店頭の売上には一定の相関関係はあると考えるのが妥当でしょう。過去の調査から見ても、特に豪雨や台風の日は、軒並み悪化しています。

    しかしその一方で、酷暑による影響はそこまではっきりと表れていません。確かに、32℃を超えると人々の活動が停滞し、売上が減少してはいるのですが、それよりも曜日による落ち込みのほうが大きいのです。

    実際には、さまざまな要素が絡みあい関係しあった結果が、最終的な売上となっていることには違いありません。しかし今回の調査でわかったのは、ジャンプコミックスの発売日に売上が跳ね上がっていたことからもわかるように、「キラーコンテンツ以上に書店店頭売上に影響を及ぼすものはない」ということです。

    今回の調査では、「曇りで、あまり気温が高くない土曜日」に本が最も売れるという結果になりました。土曜日の天気・気温に注意し、好条件が重なりそうなら思い切った企画・店頭展開をすべきかもしれません。

    10月4日(金)には、『ONE PIECE』最新94巻の発売が予定されています。翌日は土曜日。天気を味方につけ、大いに売り伸ばしましょう。




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