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まだまだ残暑が続く中、書店店頭では早々に年末年始商戦が始まりつつあります。
年末年始商材の中で、売上への影響が大きいのが「日記・手帳」。
特に今年は元号の変更もあり、いつも以上に注意が必要です。今回は手帳について見ていきます。
※記事中のグラフ・表はクリックすると別窓で開きます。
そもそも、書店店頭における手帳の売上動向はどうなっているのでしょうか? いわゆる“出版社系手帳”の過去5年間の実績を追ってみました。
上のグラフは、2015年版以降の手帳の刊行点数を示したものです(※出版社系のISBNコード付き手帳。2020年版のデータは、大手3社【高橋書店、日本能率協会マネジメントセンター、博文館新社】の見込み刊行点数)。
刊行点数は大きな変動なく推移しています。店舗数の増減があるため市場規模の推移を見るのが難しいのですが、2019年1月始まりの手帳のPOS売上は、前年比99.5%となりました。
近年、百円均一や他小売での販売が増え、メーカー系手帳の存在感が大きくなっていることを考えると、堅調な推移といえるでしょう。
昨年(2019年1月始まり)の商戦では、どんなものが売れたのでしょうか?
年間で手帳の売上が大きくなる期間(2018年9月~2019年1月末)の、手帳の売上ランキングを作成してみました(※すべて2019年1月始まりの手帳販売実績)。
慣れたものを使い続ける傾向もあって、上位には定番商品が並びました。手帳のカラーについても黒・ネイビー・茶といった定番色が上位に並んでいます。
一方で、近年は女性ユーザーを狙ったカラフルな手帳も増加傾向にあります。「ポピーレッド」「シャンパンピンク」「フレッシュイエロー」といった色味の手帳もよく動きました。
発売開始が残暑厳しい時期ということもあって、毎年「こんなに早くから手帳を展開する必要はあるのか」という声も聞かれます。
それでは、手帳はいつ売れているのでしょうか? 2019年1月始まりの手帳の月別POS売上を見てみましょう。
当たり前ではありますが、ピークは2018年12月。ただ、年明け1月にもかなりの売上がとれており、新鮮な驚きがありました。冊数的には11月とそれほど遜色ありません。
さらに、2月に入っても9月と並ぶ程度の売上実績があります。9月の出足がそれほどよくないため、書店においては展開の規模に悩むところですが、1月以降に展開を継続する意味は大きそうです。
続いてもう少し細かく、昨年最も売れた『デスクダイアリー 黒』の週別POS売上を見てみましょう。
最も売れているのは12月最終週、次いでその前週でした。売れ行き良好タイトルは、これとほぼ同じ動きをしています。
ただ、前述した「女性ユーザーの多い商品(ポピーレッドやシャンパンピンクといった色の手帳)」は、ピークが12月前半になっているものが多いようです。おしゃれな手帳をこだわって買う層は、定番商品に比べると出足が早いのかもしれません。
逆に、定番であればあるほどギリギリまで売上が伸び続けますので、在庫の補充や陳列の工夫が必要です。売れ筋商品は年によってトレンドが異なりますので、売上アップの秘訣は「早期に販売を開始して売れ行きを見ながら、12月のピーク時期に向けて、欠品を最小限にできるように早めの追加発注をかけていくこと」といえそうです。
それでは続いて、来年2020年版の手帳の販売ポイントについて考えてみましょう。
2020年は区切りのいいメモリアルイヤー。そして「令和」初の手帳でもあります。5年・10年といったスパンの連用手帳(複数年使うことを前提とした手帳)をつけ始める人も多いので、例年以上の“押し出し”が必要です。
ラインアップについては、高橋書店、日本能率協会マネジメントセンターそれぞれ拡充予定のようです。特に日本能率協会マネジメントセンターは、ノートを含めると40点程度の新商品を予定しているとのこと。それぞれの特徴・売りを押さえた展開が必要になります。細かい販売情報が各社から出ているので、必ずチェックしたうえで売り場展開を行ないましょう。
それ以上に重要な要素が、消費増税です。
来店したお客様に「必ず購入するものは増税前に購入を!」と強く呼びかけ、9月中に販売することが必要です。ほかのジャンルの商品と売り場を奪い合うのではなく、「手帳の場合はほかの小売店・文具店などが競合である」と強く意識しましょう。
手帳だけでなく、カレンダー、家計簿、年賀状関連本なども、9月中に発売されます。年末にかけて売れる商材を早期に展開し、強いメッセージを添えて売り伸ばすことが肝要です。