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日販の「店頭売上前年比調査(7月期)」が発表されました。
これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。7月は1,791店のデータをもとに作成されています(6月は1,806店)。
大型連休の反動によって5月期は大幅ダウンとなりましたが、6月期はトレンドを変えるまでは至らなかったものの、若干の回復基調にありました。
7月期はさらに回復し、前年比98.6%で着地。コミックは昨年『SLAM DUNK 新装再編版』が発売された影響を受けながらも、定価アップや既刊の売れ行きが好調だったこともあり、ついに12か月連続で前年クリアとなっています。
雑誌ジャンルでは、女性誌を中心に平均定価が上がっており、大きく売上に貢献。月刊誌は101.3%と、約10年ぶりの前年クリアとなりました。雑誌不況といわれるなか、これは大変嬉しいニュースです。
書籍も少し回復し、前年比97.9%。これまでも好調だったビジネス書(105.8%)、学参書(100.4%)だけでなく、今回は文芸書が前年比102.3%に! 文芸書の対前年プラスは、2018年11月以来のことです(2018年11月期の記事はこちら)。
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌は前年比97.8%。月刊誌が9年10か月ぶりの前年クリアとなりました(前年比101.3%)。
これには宝島社刊行の女性誌で、定価が上がったことが大きく影響しています。
前回話題にした「リンネル」8月号も引き続き好調に売れており、9月号も上位にランクイン。8月号の付録は「ムーミン×Samantha Mos2 ひんやり北欧風デザインの保冷バッグ 3点セット」、9月号の付録は「kippis 北欧柄・多機能キルティングショルダーバッグ&ポーチ」です。
ほかにも「InRed」「大人のおしゃれ手帖」など強力付録がついた女性誌や、映画「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」公開のタイミングで発売された「ポケモンファン」8月号も売上に大きく貢献しています。
6月期から好調が続く「anan」は、BTSが表紙の7月3日(水)発売号、および増刊「BTS LA SPECIAL EDITION」が売れ行き好調。「旬のアーティストを取り上げて売れる → 増刷」という流れは、まだまだ続きそうです。
6月期から売り場の動きがよくなっていた文芸書。
東野圭吾さんの『希望の糸』、池井戸潤さんの『ノーサイド・ゲーム』、矢部太郎さんの『大家さんと僕 これから』といった大型新刊の発売を受け、冒頭で触れたとおり、2018年11月以来、8か月ぶりの対前年プラスとなりました。
文芸書 7月期売上金額トップ5
・『希望の糸』(東野圭吾/講談社)
・『ノーサイド・ゲーム』(池井戸潤/ダイヤモンド社)
・『大家さんと僕 これから』(矢部太郎/新潮社)
・『夏の騎士』(百田尚樹/新潮社)
・『三体』(劉慈欣/早川書房)
ビジネス書では、依然売れ行き好調の『FACTFULNESS』『Think clearly』などに加えて、稲盛和夫さんの『心。』がランキング上位争いに参戦。それぞれ異なる客層を掴み、売り場を盛り上げています。
前年超えとはなりませんでしたが、児童書でもベストセラーシリーズの新刊が続々発売。「ざんねんないきもの事典」シリーズの最新刊『おもしろい!進化のふしぎ もっとざんねんないきもの事典』が6月27日(木)に発売され、シリーズ既刊の売上が復調しています。
さらに「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書も、ここ数年と比較してよく売れています。
『ONE PIECE』第93巻、『ワンパンマン』第20巻、『鬼滅の刃』第16巻など、ジャンプコミックスが売上を牽引しました。
特に『鬼滅の刃』はTVアニメの放送を受け、既刊すべてが好調に売れています。
8月は酷暑でスタートしました。暑さが続くと書店店頭は勢いを失いがちですが、7月末から大物新刊の発売が続いており、8月に入ってからも『M 愛すべき人がいて』をはじめ、メディアを賑わす本が続々登場しています。
特に今は、好調に転じた月刊誌の勢いをさらに加速し、雑誌不況からの脱却を狙いたいところ。「話題の絶えない書店店頭」を演出していきましょう。