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「重版決定」「品切れ店続出」「発売前重版」……このところ嬉しいニュースが相次ぎ、月刊誌によい流れがきているのを感じます。注目の付録をメディアが取り上げることも多くなりました。
というと、やはり女性ファッション誌や幼児誌の印象が強いかと思うのですが、実は雑誌ジャンルにおいて大きな伸びを見せているのが「パズル誌」です。
雑誌全体の売上は苦戦が続くなか、パズル誌は2018年度累計で前年比107.1%という高い実績を出しています。
▼パズル誌および月刊誌全体の売上前年比(%)
書店売上の16%程度を占める月刊誌。コミック単行本に次ぐシェアの大きなカテゴリであり、売上規模は週刊誌の3倍以上となっています。
しかし先ほどのグラフからも推察できるように、月刊誌全体の売上前年比は下落傾向にあります(2018年度の実績で前年比94.6%)。
そのなかでプラス成長をみせているのが、「TV・ラジオガイド」「ヤング誌」「パズル誌」の3つ。特にパズル誌は、月刊誌売上の6~7%を占めており、さかのぼることのできた過去のデータ(2009年度)と比較しても、売上構成比が3ポイント以上伸びています。
この傾向がどれくらい続いているのか調べてみると、パズル誌は2016年9月以降、一度も前年売上を下回ったことがありませんでした。
▼月刊誌の分類と、POS売上前年比・売上構成比
実際にはどんな雑誌が売れているのか、2019年6月の売上ランキングを集計してみました(上位20タイトル/日販POS調べ)。
・第1位「クロスワードOn!」(マガジン・マガジン)
・第2位「文字の大きなクロスワード」(マガジン・マガジン)
・第3位「漢字メイト」(マガジン・マガジン)
・第4位「ナンクロメイト」(マガジン・マガジン)
・第5位「超難問ナンプレ&頭脳全開数理パズル」(学研)
・第6位「アローメイト」(マガジン・マガジン)
・第7位「スケルトンメイト」(マガジン・マガジン)
・第8位「最高段位認定 難問ナンプレ252題」(白夜書房)
・第9位「特選漢字100問」(コスミック出版)
・第10位「SUPERナンプレメイトMini」(マガジン・マガジン)
・第11位「ナンクロ大満足100問」(マガジン・マガジン)
・第12位「ナンパラSpecial」(学研)
・第13位「絶品ナンクロメイト」(マガジン・マガジン)
・第14位「漢字太郎SP」(コスミック出版)
・第15位「季節の漢字道」(マイナビ出版)
・第16位「ロジックパラダイス」(学研)
・第17位「ペイントロジック」(アイア)
・第18位「難問漢字館」(ワークス)
・第19位「超特大版漢字ナンクロ」(学研)
・第20位「お絵かきタイム」(マイウェイ出版)
出版社を見ると、マガジン・マガジンの強さが圧倒的。パズルの種類としては、クロスワード、漢字パズル、数字パズル、お絵かきパズルが主だったところでよく動いているようです。
どの雑誌も読者の7~8割が女性で、60~70代が読者の中心となっています。ただ、お絵かきパズルについてはほかと比べて購入者層が広く、30~40代の読者にもよく買われているようです。
(例)「クロスワードOn!」の読者クラスタ(日販 WIN+調べ)
そして、パズル誌の大きな特徴が「併読率の高さ」。「クロスワードOn!」の購入者のうち、約2割は1か月以内にほかのクロスワード雑誌を買っていました。
3冊、4冊と複数買いしている人も多いのですが、「同じ種類のパズルを買い続ける」というのが特徴で、漢字なら漢字、数字なら数字のパズルを複数購入する傾向が見られました。
それでは、ここからが本題。パズル誌はなぜ好調なのでしょうか?
売上ランキング上位タイトルの6月期の前年比を見てみると、前年よりも売上が伸びている商品はほとんどありませんでした。2016年以降前年超えを続ける“好調のジャンル”ということで、参入が増え、発行点数が増加しているのがその背景にあると考えられます。
過去3年間を見てみると、年間発行点数は145誌、148誌、そして2018年度には160誌と急増。競争が激化しても、結果的に市場が拡大しているのです。またパズルものは雑誌だけでなくムックや書籍でも刊行されているので、関連商品まで含めるとさらに拡大傾向にあるといえそうです。
これを受け、書店店頭ではどんな売り場をつくっていくとよいのでしょうか。
売上を伸ばしている付録つき雑誌との違いに、パズル誌には「懸賞」の魅力があります。
どんなプレゼントが用意されているのかは、購入雑誌を選択するうえで重要なポイントとなります。しかしその一方で、プレゼント応募の締切があるため、長期的な販売が難しいという側面もあります。
全体的に発行点数が増加しているという状況も踏まえると、特定の商品を長く売るよりも、関連誌まできちんと揃え、複数買い・リピート買いを促すことが重要だと考えられます。ムック・書籍とあわせ、パズルコーナーを見直して、客単価アップを図っていきましょう。
※売上前年比・売上構成比は日販POS調べ。月刊誌の分類も、日販によるものです。
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