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先生、本当にこれで治るんですか?
生まれる時代が違ったら、あなたも受けていたかもしれない――。
科学を知らない人類が試みた、ぞっとする医療の数々!・リンカーン……水銀入りの頭痛薬を服用、重金属中毒になって症状はさらに悪化
・ダーウィン……強壮剤としてヒ素を飲み続け、肌が浅黒くなるもやめられない
・ヒトラー……猛毒ストリキニーネでできた整腸剤を9年間服用し、危うく致死量に
・エジソン……コカイン入りワインを愛し、ハイになりながら徹夜で実験を重ねる
・モーツァルト……体調不良の最中2リットルもの血を抜かれ意識喪失、翌日死亡
・ルイ14世……生涯に2000回も浣腸を行ない、フランスに浣腸ブームをもたらす現代医療を生み出した試行錯誤、その“危険な”全歴史!
(文藝春秋BOOKSより)
発売した瞬間にHONZメンバーがどよめく、というか「おおっ!」と沸くことが最近頻発しています。面白いノンフィクションが次々と世に送り出されていることの証左でしょう。この『世にも危険な医療の世界史』もそんな一冊でした。
エビデンス、エビデンス!と耳にタコができるくらい聞かされている世の中に、目をむくような医療、治療法が語り尽くされています。
さて、これを読んでいるのはどんな方なのでしょうか。まずは読者層から。
まだ読者が少なくサンプルがじゅうぶん集まっていませんが、ノンフィクション本は一般的に50代以上に読まれる傾向が強いなか、『世にも危険な医療の世界史』は若年層の読者も多め。男女比は4:3といったところでしょうか。
続いて併読本を見ていきます。『世にも危険な医療の世界史』を買った人が、過去2年間に購入したものの上位はこちら。
『こわいもの知らずの病理学講義』をはじめ、医療関連のノンフィクションや、HONZで話題になった本が上位に並んでいます。
『感染症の世界史』『歯痛の文化史』など、ニッチなジャンルの歴史読み物もずらり。「『○○の歴史』だけを揃えて書店フェアをやったら、なかなか面白い景色が広がるだろうな……」とつい思ってしまいました。
それでは最後に、『世にも危険な医療の世界史』読者が最近購入した本から、気になったタイトルをいくつか紹介します。
「ペンは剣より強し」ともまた少し違いますが、書物がこの世に生まれて以降、「世界を変えた」書物はいくつかあります。
『論語』『アラビアン・ナイト』『ノストラダムスの予言集』『ガリヴァー旅行記』『サミュエル・ピープスの日記』『スポック博士の育児書』『一九八四年』『沈黙の春』『悪魔の詩』『ハリー・ポッターと賢者の石』『21世紀の資本』……。すべて挙げようとするとキリがありませんが、これらをいくつもの図版とともに紹介した、本好きにはたまらない一冊です。
著者は元税務調査官。「ローマ帝国の崩壊、宗教改革、南北戦争などなど、歴史の転換期の背景には『脱税』が絡んでいた」と著者は説きます。
金持ちの税金逃れが大増税を引き起こし、民衆の不満が高まって国が乱れる……というのがその理由。今に始まったことではなく、世界はずーっと昔から税金問題に苦しめられていたようです。
宗教学者と霊長類学者が「人類史と宗教」について真剣に語り合い、「文明の誕生とともに生まれた」といわれる宗教の起源についてさらに踏み込んで、チンパンジーやゴリラの世界にその思考が存在していたのか?ということまで議論を戦わせています。
過去にとどまらず、IT社会との関係も。刺激的な一冊です。
マッドサイエンティストに憧れる人は、「変人」と名のつく本がお好きなようです。
こちらは、京大で実際に行なわれている公開授業を書籍化したもの。先ほど紹介した『人類の起源、宗教の誕生』の著者・山極先生の授業のほか、注目を集める教授陣がさまざまなジャンルについて、一般人にもわかりやすく語っています。
「学ぶ」とはどういうことなのか、じっくり考えてみてはいかがでしょうか?
危険な医療に興味がある人は、医療関係者、歴史好き、そしてトンデモ本好き。今回の調査でそんな読者像が見えてきました。
生涯学習の重要性が説かれ注目を集めるなか、大人向きの教養本や、学び直しの本の刊行が増えています。教科書を読み直すだけでも面白いですが、興味をもったテーマについて深く掘り下げてみるのもおすすめ。特に歴史ジャンルには、面白い新刊がたくさん登場しています!
※「HONZ」で2019年5月30日に公開された記事に、一部編集を加えています。