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日販の「店頭売上前年比調査(3月期)」が発表されました。
これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。3月は1,787店のデータをもとに作成されています(2月は1,810店)。
2018年度2回目となる前年超え達成に沸いた2月。なんと3月も対前年をクリアし(102.7%)、2か月連続で店頭前年比が100%を上回る結果となりました。
統計を開始した2008年7月までさかのぼっても、単月の店頭売上が2か月連続で前年を超えたことはありません。したがって、少なくとも10年以上ぶりの数字となっています。
さらに喜ぶべきは、苦戦を続けていた書籍ジャンルが101.0%と好調に転じたこと。書籍売上の前年比クリアは2016年2月以来、3年ぶりのことです。
コミックは8か月連続での対前年クリアとなっただけでなく、ここ1年間でもっとも大きな伸びをみせました。
▼2018年度の推移(※クリックすると新規タブで画像が開きます)
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌ジャンルでは2019年1月以降に創刊された分冊百科が好調に動いており、デアゴスティーニ・ジャパンの「隔週刊 ザ・マジック」と、アシェット・コレクションズ・ジャパンの「隔週刊 はじめてのレザークラフト」が売上を牽引。
月刊誌では「Sweet」4月号が大きく売上を伸ばしています(付録は「サマンサタバサ25周年×sweet 20周年記念 ミニ財布&バッグチャームセット」)。
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また“平成31年を作った31人”を特集した「月刊 文藝春秋」4月号が数字を伸ばしているほか、ムックとして発売されている「おとなの週刊現代」も非常によく売れています。
「おとなの週刊現代」の特集記事は、「死後の手続きはこんなに大変です」。2月発売の号ですが、発売から1か月経過してもまだまだ勢いが衰えません。
復活の兆しが見えていた書籍が、101.0%とついに前年超えを達成! なかでもビジネス書と新書が、大きく前年売上を上回る結果となりました。
特徴としては、特定の大型新刊が牽引しているのではなく、既刊の売上水準が全体的に上がっていること。書籍全体において新刊の売上前年比は95.8%、既刊は102.9%となっていました。昨年12月に発売され7週連続で週間ベストセラーのトップを張った『一切なりゆき』をはじめ、樹木希林さんの関連書籍が非常に売れ行き好調です。
『一切なりゆき』は3月27日(水)に累計発行部数100万部を突破し、そのニュースが新しい読者を呼び込んでいます。
ビジネス書では、『FACTFULNESS』と『メモの魔力』が首位を競い合うように売れています。
『メモの魔力』は3月9日(土)に「世界一受けたい授業」、3月17日(日)に「シューイチ」(いずれも日本テレビ系)で取り上げられて大きく売上を伸ばしました。『メモの魔力』については、テレビ放送によって女性客が増加しているのも特徴の一つです。
前年比113.7%と、3月期にこの1年間でもっとも大きな伸びを示したのがコミック。
3月期の売上を牽引したのは、やはり『ONE PIECE』第92巻。このほか、1月からTVアニメが放送されている『約束のネバーランド』『五等分の花嫁』については、最新巻だけでなく既刊も好調に売れています。
また、3月19日(火)には「マンガ大賞2019」の大賞作品・ランキングが発表されました。
定価アップの追い風もありつつ、コミック好調の要因が「1回の購入冊数増加」にもある点は押さえておきたいところ。
たくさんの読者がついている大型新刊だけでなく、各アワードや映像化作品、試し読みといった書店店頭での仕掛けによって、“もう1冊”をいかに作っていくかがポイントです。
コミックや新書といった低単価商品が好調に動いていることもあり、複数冊数のまとめ買いが増える傾向にあります。伸び続けていたコミックが来店客数を増やし、そのお客様が書店店頭で新たな本に出合うことで、書店店頭に活気が戻りつつあるようです。
4月はいよいよ「本屋大賞」の発表を迎えます。そして、新元号の発表を受けて「万葉集」関連書籍も一気に動き出しました。
未曾有の10連休。趣味に読書にと目が向く季節の到来です。4月期はどんな動きを見せるのでしょうか?