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2月期の店頭売上前年比調査が、100.5%と前年を超える結果になりました。書籍はもう一歩の結果でしたが(99.1%)、新書(117.0%)、学習参考書(104.2%)、ビジネス書(103.6%)、専門書(100.1%)は前年をクリア。
特に学習参考書(以下「学参」)は、前年「うんこドリル」シリーズが堅調だったことから苦戦が続いていましたが、ここにきて復活の兆しが見えてきています。
今回はこの学参ジャンルを支える商品群と、新学期シーズンに向けてやるべきことについて考えていきたいと思います。
2月期の学参の売上は、単品でみると『英単語の語源図鑑』が牽引しています。また、英検関連書が全体的に伸びていることも好調の要因の一つです。
上のグラフは、学参・英検関連書それぞれについて、この1年のPOS売上前年比を示したものです。上半期は『うんこドリル』の影響で苦戦する一方、英検関連書が高い水準で売れていたことがわかります。
そもそも英検は、大学入学試験での活用や、低年齢層の英語学習熱の高まりによって、受験者数が増加傾向にあるといわれています。これを受けて書店店頭の売上も好調が続いており、英検関連書を学参売り場で展開している店舗は、特に良い実績が出ているようです。
英語学習熱の高まりは、NHKテキストの売上にもつながっています。
NHKテキストの4月号(3月発売)~1月号(12月発売)の実績を2017年と2018年で比較してみると、ジャンル別に見たとき、英語講座の売上冊数は前年比98.5%。
前年からは落ちていますが、月刊誌全体の売上前年比が95%程度であることを考えると、そのなかで踏みとどまっている状態といえます。
面白いのは、それをさらに細かく見ていったとき。
NHKテキストの英語講座には難易度が設定されているのですが(C→B→Aの順に難しくなる)、難易度別に売上前年比を出してみると次のようになりました。
難易度C1・B1の売上が前年を上回っており、なかでも難易度B1が大きく数字を伸ばしています。
難易度B1の講座は、「ラジオ英会話」「入門ビジネス英語」の2つ。「社会生活での身近な話題について理解し、自分の意志とその理由を簡単に説明できる」というレベルの英会話です。
特に「ラジオ英会話」は、115.9%と高い伸び率を見せています。
続いて、「ラジオ英会話」の読者像を見ていきましょう。
下のグラフは、「ラジオ英会話」3月号(2月発売)読者のクラスタです。
60代・70代が突出しており、実はこの傾向は、「入門ビジネス英語」についても変わりません(ラジオという媒体の特性が反映されているものと考えられます)。
一方で、2月期の売上を牽引した『英単語の語源図鑑』の読者は40・50代が中心。参考書としてだけでなく、読み物としても多くの世代に読まれているのが特徴です。
では次に、「ラジオ英会話」『英単語の語源図鑑』読者の併読本を見てみましょう。この2つを購入した人が、2019年2月以降に購入したものの上位10点がこちらです。
「『ラジオ英会話』の読者はほかのテキストもあわせて購入している」という面白い結果が出ました。一方でこのクラスタについては、今発売されている英語の話題書にほとんど手が伸びていないという面も。
『英単語の語源図鑑』のほうは、NHKテキストに手を伸ばしつつ、『FACTFULNESS』や『一切なりゆき』といった最近の話題作も読んでいるようです。
いよいよ新学期。学参や学習法関連書の売上が伸びる時期です。
特にNHKテキストは、4月号・5月号が定期購読獲得の大きなチャンスになります。書店店頭の定期購読比率も上がってきており、今年の商戦は特に注目すべきといえるでしょう。
伸びているこのジャンルの売上を拡大するために、まずはNHKテキストの定期購読者を確実に獲得し、リピーター客を確保することが必要です。そのために売り場構成の見直しを図っていくといった手を打つ必要もあるでしょう。
学習要領の改訂、リカレント教育の市場拡大など、世の中は大きく動いています。
本格的に動き始める2020年に向け、大きく売り場を変えていくべきでしょう。
(文化通信BB 2019年3月25日増刊より転載 ※一部編集)