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今年に入って、新書売り場が絶好調です。
理由は、なんといっても樹木希林著『一切なりゆき』の大ブレイク。関連新刊の発売も続々予定されており、このブームはさらに盛り上がりそうです。
そして今回注目したいのが、同じく新書ジャンルで非常によく売れている『妻のトリセツ』。「妻の~」とあるので夫のほうの購入率が高いとは思いますが、どういった年代の方が購入しているのか気になります。
実際の読者クラスタを見てみましょう。
男女比率は6:4で男性読者が多め。もっと男性が多いかと思っていたのですが、こんなにも「妻」の読者が多かったとは!
世代別に見ると、50・60代が男女ともほかの世代を圧倒。もっと細かく見てみると63歳の読者が最多で、53〜65歳の読者が一つの山を形成しています。
子育てが一段落し、夫婦二人になった時に「相手をどう見ればいいのか」「どう見られているのか」に悩む夫婦像が見えてきます。
そもそも、その世代の方々はどんなものを読んでいるのでしょう?
気になったので、53歳〜65歳読者が2月に読んだもののランキングを作ってみました。
いろいろ思うところはありましたが、コメントは控えます。
気を取り直して『妻のトリセツ』購入者の併読本を見てみましょう。『妻のトリセツ』購入者が2018年10月以降に購入したもの上位10タイトルがこちら。
新書を中心に、ベストセラーが並びました。
時期的なものもあって、『一切なりゆき』との併読が多い結果となっています。
それでは最後に、『妻のトリセツ』読者の併読本から注目作品を紹介していきます。
『妻のトリセツ』以前も、「脳や体の違いから生じる男女間のギャップ」は、両者にとって永遠のテーマでした。ということで、似たテーマの本は多く出版されています。
新しいものでは、これがその一つ。こちらも中心テーマは「妻」ですが、職場や社会においても活躍しそうな一冊です。
これ以外に『妻と正しくケンカする方法』『パパのための娘トリセツ』なんていう本もありました! しかし、トリセツフェアが開けそうな刊行状況ですね。
天皇陛下の譲位を目前にし、関連本の出版が増えてきました。
『天皇陛下のプロポーズ』の著者は、あの有名なテニスコートでの出会いから、プロポーズ、ご成婚までを支えたキューピッド役。当時の日記をもとにした純愛秘話となっています。
皇室自体への注目度も高くなっており、漫画『昭和天皇物語』などもよく売れています。
地政学ブームは今も継続しており、そのなかでこの世代によく読まれていたのがこちら。
「青山・渋谷・表参道の開発と軍用地」というサブタイトルのとおり、流行最先端の地でもあるこのエリアは、過去の痕跡が多く残っているのだそう。新国立競技場は幕府の火薬庫だったんですね。
地形と軍事がどう地域社会に影響を与え、どうやって山の手が近代に向かったのかを、地政学の視点で読み解く一冊です。
コンパクトシティへの取り組みはどうなったのか? 都心部ではタワーマンションや商業施設が続々オープンしているけれど、地元の商店街の閉店は止まらない。マンションの修繕は進められるのか、空き家はどうなる? ……と、都市を取り巻く問題は山積しています。
日経新聞が各方面への大がかりな調査を行ない、それをもとに実態と危機を明らかにしました。
新書はこれまでどちらかというと、「年輩の男性に多く読まれているもの」というイメージがありました。しかし今回の新書ブームは、女性読者に支えられている側面が大きいようです。
リカレント教育、生涯学習への熱が高まる昨今において、新書は「学ぶことの入り口」を担うのに適したものでもあります。
また新書コーナーの面白さは、さまざまなジャンルの知識がミックスされているというところ。普段なかなか気づかなかった分野との出合い・発見もあるかもしれません。
売れ行き良好書盛りだくさんの新書コーナー、ぜひ足を運んでみてください!
※「HONZ」で2019年2月25日に公開された記事に、一部編集を加えています。