'); }else{ document.write(''); } //-->
今年3月以降、ほんのひきだしでは毎月「店頭売上前年比調査」の結果を解説とともに公開してきました。
6月には売上全体の前年比が100%に肉薄、翌月落ち込んだものの8月には復調し、以降好調に推移しています。
そのなかでも、とりわけ好調なのが「ビジネス書」。今回は11月末に発表された年間ベストセラーランキングの内容とあわせて、ビジネス書好調の理由を簡単に振り返ってみます。
※本記事のデータはいずれも「日販調べ」です。
上のグラフは、「店頭売上前年比調査」2018年1月以降のビジネス書の推移を「全体」「書籍全体の合計」と比較したもの。
3月までは低調だったものの、4月に逆転し、それ以降好調に推移しています。
ここで、過去の解説をざっくり振り返ってみましょう。
4月…『10年後の仕事図鑑』『AI vs.教科書が読めない子どもたち』が売上を牽引。
5月…『10年後の仕事図鑑』が好調。それにともない、著者である落合陽一氏・堀江貴文氏の著書も売れている。
6月…『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』が「王様のブランチ」(TBS)をきっかけにブレイク。
7月… やや落ち込むものの、他ジャンルと比べて堅調。
8月…『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』『スタンフォード式 疲れない体』が大きく売上を牽引。
9月…『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』『学びを結果に変えるアウトプット大全』が牽引。
11月…『学びを結果に変えるアウトプット大全』『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』が引き続き好調。
売上冊数をもとにした「月間ランキング」でもおなじみの顔ぶれが並んでいます。
あらためて、11月30日に発表された「2018年 年間ベストセラー」のランクイン作品はこちら。
・第1位『大人の語彙力ノート』(齋藤孝/SBクリエイティブ)
・第2位『10年後の仕事図鑑』(落合陽一、堀江貴文/SBクリエイティブ)
・第3位『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』(デイヴィッド・S・キダーほか/文響社)
・第4位『お金2.0』(佐藤航陽/幻冬舎)
・第5位『1分で話せ』(伊藤羊一/SBクリエイティブ)
・第6位『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎、古賀史健/ダイヤモンド社)
・第7位『スタンフォード式 疲れない体』(山田知生/サンマーク出版)
・第8位『AI vs.教科書が読めない子どもたち』(新井紀子/東洋経済新報社)
・第9位『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑/サンクチュアリ出版)
・第10位『SHOE DOG 靴にすべてを。』(フィル・ナイト、大田黒奉之訳/東洋経済新報社)※2018年年間ベストセラー 単行本ビジネス部門より
注意したいのは年間ベストセラーは「売上冊数」、店頭売上前年比調査は「売上金額」を集計したものだという点なのですが、この「売上冊数の多かった上位10冊」からも、前年比連続クリアの理由が読み取れます。
それがこちらです。
2017年・2018年の年間ベストセラーランキングトップ10(ビジネス書部門)に、価格記載を加えてみました。
全体的に前年よりも価格帯が高く、2,500円を超える『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』が第3位を獲得していることも大きく影響しているように思います。
また前年に比べて、30万部以上のヒット作が多かったことも理由の一つになっているようです。
もう一つ、まだはっきりとしたカテゴリとして確立されているわけではありませんが、今注目したいキーワードとして「ビジネスライフ」を挙げておきます。
ここ数か月に限らず、近年、ビジネス書ジャンルに属する商品のバリエーションが非常に豊かになってきています。
たとえば『スタンフォード式 疲れない体』や『スタンフォード式 最高の睡眠』などは、直接的にビジネススキルを伝授する内容というよりも、「ビジネスマンの生活を支える知恵」というべきもの。
こういったビジネスマン向けのライフハック本、実用書的なビジネス書が、テレビ番組に取り上げられるなどしてブレイクする傾向にあります。
これによって「ビジネス書」というジャンルそのものの裾野が広がっており、これからの動向に注目したいところです。