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日販の「店頭売上前年比調査(11月期)」が発表されました。
これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。11月は1,845店のデータをもとに作成されています(10月は1,906店)。
全体としては97.7%と、残念ながら前年に及びませんでしたが、11月はメディア化作品も好調に推移し、文庫ジャンルに復調の兆しが見えてきました。
またコミック・文芸書・ビジネス書は、4か月連続での前年超えとなっています。
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌が低迷するなか、ムックが好調に動いています。特に11月21日(水)に発売された欅坂46のファースト写真集『21人の未完成』が売れ行き好調。一方で年賀状や家計簿の出足は前年に比べて低調で、そのため12月の巻き返しに期待がかかっています。
主要タイトルの落ち込みが目立つなか、「新春すてきな奥さん 2019年版」が発売初日から完売店続出、8日目にして1万部の緊急重版が決定するなど絶好調のスタートを切っています。ぜひご注目を。
書籍ジャンルでは、文芸書・ビジネス書が4か月連続の前年比クリア。また冒頭で触れたとおり、久しぶりに文庫の復調が見えた月となりました。
文芸書の売上を牽引したのは『日本国紀』と『新・人間革命(30・下)』。またビジネス書では、『学びを結果に変えるアウトプット大全』や『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』が引き続き好調です。
文庫の数字を牽引したのは、11月16日(金)に映画が公開された『人魚の眠る家』と、11月2日(金)より映画公開中の『スマホを落としただけなのに』。
昨年はノーベル文学賞受賞によってカズオ・イシグロ関連書がよく売れましたが、それにもかかわらずこの実績を出しているというのは明るいニュースです。
コミックジャンルは、4か月連続での前年超えとなりました。
11月に関して特筆すべきは、昨年同月に『ONE PIECE』の新刊発売があったにもかかわらず前年比を上回っており、勢いがまだまだ持続しているということ。これは非常にいいニュースです。
また、10月の記事で「コミックの値上げによる影響」に触れましたが、ここでもう一つ、コミックの売上を支えている要素が見えてきました。【既刊の復調】です。次の項でくわしく解説します。
上のグラフは、今年4月から11月まで8か月間のコミック売上前年比を「新刊」「既刊」「コミック全体」の3つの切り口で示したものです。
※新刊は当月/前月発売を対象とする。対象店舗数は毎月の調査店。
これを見ると、8月以降、既刊が大きく復調傾向にあり、それがこのところの好実績を支えていることが見えてきました。なかでも好調なのは、10月よりアニメが放送されているタイトルです。
昨年も『ブラッククローバー』などが売れていましたが、今年は『転生したらスライムだった件』『ゴブリンスレイヤー』など、やや上の価格帯の作品が特にヒットしています。
アニメ放送中の作品については、『転生したらスライムだった件』『寄宿学校のジュリエット』の新刊が12月に発売予定。前年比連続クリアの記録が更新されるか、注目です。
12月は、年間で最も本が売れる月となります。すでに『ONE PIECE』の新刊発売を迎え、その盛り上がりは始まっていますが、おそらく今年の売上のピークは12月22日(土)~24日(月・休)の3連休、次いで今年最後の新刊発売日である29日(土)となるのではないでしょうか。
平成最後の年末商戦がどう動くか、今から楽しみでなりません。