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  • 万引きは“若者の犯罪”ではない!?書店が頭を抱える「万引きの深刻化・複雑化」と対策のいま

    2018年12月26日
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    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    ここ数年で変わってきた「万引きの目的」

    ――書店の万引き被害は、数年前と比べてどのように変わってきていますか。

    以前は万引きというと、少年の出来心的な犯罪、いわゆる初発型非行の青少年問題として取り上げられていました。

    しかし現在は、自分が読むために万引きするのではなく、換金目的の犯罪がほとんどです。高く売れるコミック全巻セットが狙われるケースなどはまさにそれですね。個人ではなく集団で大量に万引きし、売り捌く手口も巧妙化の一途を辿っています。

    医学書などの高額本を専門に狙う万引き常習者は、日本全国の書店をターゲットにしています。

    たとえば、約1,400冊の医学書をネットオークションで処分していた万引き犯が逮捕されたという2016年の案件。これは被害書店、警察、日本医書出版協会、ネットオークション事業者、万防機構が相互協力し、膨大なエネルギーを使ってついに逮捕に至ったわけですが、犯人は捜査期間中に大阪・名古屋・東京を股にかけて犯行を繰り返していました。

    また、先ほど【図2】とともに述べた通り、高齢者による万引きの増加もここ数年の傾向としてあります。万防機構が主催した「万引対策強化国際会議2017」でアメリカの参加者から指摘を受けたのですが、この現象は日本特有のようです。

    出版業界のこれまでの取り組み

    ――書店様の万引き被害がたいへん深刻な状況にあることがよくわかりました。そんな中で出版業界においては、万引き問題に対してこれまでどんな取り組みが進められてきたのでしょうか。

    出版業界は、他業界よりも熱心に万引き防止に取り組んできました。書店は万引き防止の原点であるとも言えます。約20年前からの歩みを、年数を追って振り返ってみましょう。

    ○2001年 「タグ&パックの会」設立
    換金目的のコミック万引きを防止するため、書店有志が結束して、出版社5社に新刊コミックへのソースタギングとビニールパックを要請しました。

    ○2002年 経済産業省「書店万引調査」
    経済産業省が全国の書店2,530店舗を対象に、万引きに関するアンケート調査を実施しました。それによると年間の万引き被害額は1店あたり約212万円。万引き被害の深刻さが初めて数値化されました。

    ○2003年 東京都万引防止協議会設置
    東京都書店商業組合などからの要請を受けて、東京都が「東京都万引防止協議会」を設置。法曹界、教育界、関連小売団体などが初めて一堂に会しました。

    ○2005年 万防機構設立
    6月23日、東京都万引防止協議会から発展した万防機構が誕生しました(百貨店、ドラッグストア、ホームセンター、書店など23団体が加盟)。

    ○2008年 JPO「書店万引き調査等結果概要」
    日本出版インフラセンター(JPO)が、主要書店の経理データなどを分析した「書店万引き調査等結果概要」を発表。同報告書では、万引きによるロス率を1.41%と推定しています。

    ▲万引き被害をジャンル別で見ると、金額・冊数ともに「コミック」が圧倒的に多く、次に「写真集・高額本等」「単行本(一般書)」と続いている。

    ○2011年 ICタグの実証実験
    経済産業省の補助事業として、JPOを中心に大手書店3店舗でICタグの実証実験を行いました(ICタグのコスト問題が解消できず、プロジェクトは中断)。

    このほかにも、日書連各県組合の活動、書店店主による地域での地道で継続的な防犯活動など、さまざまな取り組みが草の根的に展開されています。

     




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