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一昨年からずっと続いてきた生き物ブームに、変化の兆しが見えてきました。
皮切りとなったのは、Twitterでのバズによって予約が殺到し、全国的に品薄となった『リアルサイズ古生物図鑑』。これに続いて、今度は『わけあって絶滅しました。』が大ブレイク中! この夏は“ざんねん”を通り越して、絶滅しちゃった生き物たちの季節になりそうです。
今回は、そんな『わけあって絶滅しました。』について見ていきたいと思います。
まずは売上の推移から。
『わけあって絶滅しました。』が書店店頭に並び始めたのは7月20日(金)頃からで、そこから1週間程度で一気にブレイクしています(日販 オープンネットワークWIN調べ)。
火付け役となったのは、7月27日(金)放送の「NEWS ZERO」(日本テレビ系)でした。
今は若干の品薄状態となっていますが、この後重版が投入されれば、さらに売上が伸びていくと思われます。
では次に、どんな方が購入しているのかを見てみましょう(日販 WIN+調べ)。
書店店頭では児童書売り場に並ぶことが多いため、やはり読者は母親世代が目立ちます。またお孫さん向けの買い物でしょうか、それに続いて年輩の購入者も多くなっています。
続いて、この方たちが何を購入しているのかを見ていきましょう。下記は『わけあって絶滅しました。』の購入者が、過去2年間に購入したものの上位10タイトルです(日販 WIN+調べ)。
上位はやはり「ざんねんないきもの事典」シリーズ。それに続いてダイヤモンド社の「せつない動物図鑑」シリーズが並んでいます。
こういった児童向け書籍の場合、普段は「コロコロコミック」や「ちゃお」「少年ジャンプ」といった雑誌が上位になることが多いのですが、そのいずれも入っていません。それに代わって上位に並んでいるのが、図鑑や歴史の本といった学習系の読み物です。複数冊購入している方も多いようでした。
それでは最後に、読者の最近の併買商品から注目のタイトルを見ていきましょう。
絶滅種の代表格である「恐竜」の関連本は、やはり人気。恒例の「夏休み子ども科学電話相談」でも、恐竜トークが盛り上がっているようですね。
回答者としても人気の高いダイナソー小林先生による『やりすぎ恐竜図鑑』は、「なんでこんなに進化しちゃったんだろう?」という疑問に答える図鑑。確かに「角こんなにいっぱいいるの?」「なんのために?」「なんでこんなところまでトゲトゲなの?」などなど、不思議な恐竜は多いです。お子さんと盛り上がること間違いなし!
続いては『世界を変えた100の化石』。イギリスの大英自然史博物館で人気だった展覧会を、書籍にまとめたという贅沢な図鑑です。
恐竜などの定番化石にとどまらず、不思議な化石、驚きの歴史をもった化石が盛りだくさん。夢のある一冊です。
豪雨、迷走台風、猛暑……と、この夏は大変な異常気象が続いています。そんななか注目を集めているのが、子ども向け図鑑として発売されたこちら。なぜ異常気象が発生するのかを知るために、まず身近な天気の仕組みを解説し、それが組み合わさって発生する異常気象について説明しています。
大人が読んでもわかりやすく面白いというのが、最近の子ども向けの図鑑。子ども向けと侮るなかれ、です。
子どもは危険生物・毒性生物が大好き。怖いもの見たさとはよく言ったものです。
見るからに毒々しい劇画調の本も多いなか、この本は表紙からわかるように“細密画”を使って生き物を紹介しています。飾っておきたいような美しい絵で、毒生物を紹介しているというのはなんとなく皮肉な話。会いたくないけどそっと見ていたい、そんな毒生物を堪能してみてはいかがでしょうか。
「北欧の生活・暮らしを生活に取り込む」というのは、数年前からずっと人気。ライフスタイルジャンルでも「北欧」は人気キーワードですし、北欧ミステリが話題になった時期もありました。それに加えて、今度は「数学」の本が登場し話題になっているようです。
公式を覚えるのではなく、手足を動かして数の論理を学んでいくというのが“北欧式”の特徴。だから眠くならないんですね。
数学が苦手な人、苦手になりそうなお子さんをお持ちの方に手にとってほしい作品です。
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もともと夏休みは図鑑がよく売れる時期ですが、『ざんねんないきもの事典』がベストセラーとなってから、図鑑をめくるだけでなく〈周辺の情報・面白さ〉に注目した見方をする本が増え、売り場もバラエティに富むものになりました。
まずは読み物で「見どころ、読みどころ」に触れ、くわしく知りたくなったり、もっといろんな種類を知りたくなったりしたら図鑑を買うという流れもいいのかもしれません。なにより最近の図鑑には最新の学説が盛り込まれているので、大人が知識を簡単にアップデートするためにも使えます。
子どもも、かつて子どもだった大人も。この夏“生き物”に目を向けてみてはどうでしょうか?
(「HONZ」で2018年8月4日に公開された記事に、一部編集を加えています)