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最近よく耳にするけど、「BL」って何?―ー本稿をご覧になっているみなさんの中には、そんなふうに思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
BL(ボーイズラブ)とは、男性同士の恋愛を題材にした小説や漫画などのジャンルのこと。その市場規模は200億円以上といわれています(ただ、私の体感的にはもっと売上が大きい印象です)。そんなわけで、大手のコミック出版社も近年次々と参入。BLコミックスは現在、月間平均100冊以上が発売されています。コミック全般の売上が厳しい状況にある中、BLは大いに健闘しているジャンルなのです。
私ども株式会社サンディアスは、BL専門レビューサイト「ちるちる」を運営している企業です。本稿では、BLコミックの現状や今後の可能性について述べてみたいと思います。
「ちるちる」とは?
サンディアスが運営する、BLカルチャーのオンラインポータルサイト。現在5万点以上のBL関連作を取り扱っており、ユーザーによる掲載レビューは10万件超にのぼる。BL専門のレビューサイトとしては国内最大級。ファン同士が交流を深めることもできる。
http://www.chil-chil.net
最近の話題になりますが、「おっさんずラブ」というドラマをご存知でしょうか。2018年4月~6月に放送され、多くの女性ファンを獲得した“男同士”の恋愛ドラマです。優柔不断な30代の会社員(男性)、彼に恋する会社の後輩(男性)、そして50代の上司(男性)の三角関係を描いていました。
男女モノ恋愛ドラマの視聴率が苦戦しているのはわかるけど、男同士の恋愛ドラマが人気になるってどういうことだ?と首を傾げたくなりますよね。しかも、おっさん……。最近はこのようにテレビドラマでもBLジャンルが取り上げられるようになっています。
実はこのドラマ、ネット上で大きな話題になりましたが、男性にはまったく受けませんでした。視聴者層を見ると、10代~30代女性から高い評価を得ているのに対して、男性にはほとんど視聴されていません。
また、SNSを積極的に活用してマーケティングを展開していたことも、このドラマの特徴です。番組の公式ツイッターでドラマの裏情報や俳優さんのオフショットが発信されたり、隠し撮り風の画像がインスタグラムにアップされたりして、ネット上で大変な盛り上がりを見せました。さらにBL作家さんをはじめとしたファンが、出演者の仲良さそうなイラストを次々にネットに公開することで、女性ファンをどんどん取り込んでいきました。
現代は、情報が身の回りにあふれている“情報過剰社会”。にもかかわらず、コミュニティから少し外れてしまうと、途端に情報が届かなくなる。「おっさんずラブ」の視聴者層の男女差には、そうした社会状況がきれいに映し出されているのではないでしょうか。
BLコミックの人気についても、このことが当てはまるのではないかと思います。潜在的な需要は昔からありました。ただ、情報伝達のコミュニティから外れてしまっていたために、需要に気付いてもらえなかったのです。しかし昨今、コミック全体の売上が大きく前年割れをしている中で、BLコミックの売上は前年とほぼ同じ水準を保っています。コミックを取り巻く環境が変化してきたことで相対的に注目されてきたのが、BLなのです。