'); }else{ document.write(''); } //-->
『10年後の仕事図鑑』が売れています。
大ブレイクした『未来の年表』をはじめ、“未来のために今やるべきこと”を語る本の出版点数は増えており、いま最も注目を集めるジャンルとなっています。
新たな知識や技術が次々に発表されるため、売り手も読み手も気を抜けません。そして、ちょうどいまは就職活動のピーク。将来の仕事を考える本は、どんな人に読まれているのでしょうか?
まずは読者層から見てみましょう。
※本記事の読者クラスタ・併読書はすべて日販 WIN+調べです。
ビジネス書ですが、40%超が女性読者です。さらに1歳刻みで見ていくと、20代前半、20歳〜23歳に読者の山ができており、まさに就職活動〜新入社員世代によく読まれているということがわかります。
続いて多かったのが、40代〜50代。この世代に限っていうなら、女性読者の率は他世代よりずっと高く、就職活動中または就職活動を控えた子どもの、親世代に注目されていることがわかります。
続いて併読されている本を見てみましょう。
『10年後の仕事図鑑』の読者が過去2年間に購入した本の、上位10作品は下記の通りとなりました。
「落合陽一」「堀江貴文」の2人の人気の高さがよくわかります。また普通は、ビジネス・ノンフィクションジャンルの併読本リストはどうしても新書が多くなるのですが、今回は単行本が多かったのも特徴的でした。
年代を絞って見ていくと、20〜23歳は就職活動時期だけあって『会社四季報 業界地図』『日経業界地図』が上位に入っています。また40代〜50代の読者に限定してみると、最も読まれている雑誌は「週刊ダイヤモンド」でした。
さて最後に、併読されている本のなかから注目のタイトルを紹介していきましょう。
マツダをデザイン面から復活へと導いた、前田育男さんの初著作。そのデザインとものづくりの哲学が語られています。
併読本にはアートをテーマにした本も多く、「ビジネスの場における美意識の必要性」に対して認識が高まっていることを感じさせられます。
LINE執行役員による生存戦略。新旧の企業が激突する時代において生き残るために必要なことは何か、を解説しています。落合陽一さんがオビの推薦コメントを書いていることから、落合さんの著書の読者によく読まれています。
ビジネス書ランキングで急上昇、首都圏での交通広告……といった急激な露出で、出版業界内でも話題騒然となっているのがこちら。本の内容は仮想通貨とそれが作り上げる未来を語ったものなのですが、人気YouTuberのラファエルさんを動画広告に起用したことで、高校生がこの本を買っていくことも多いのだとか。今後も目を離すことができない一冊です。
『応仁の乱』以降、新書ジャンルでの日本史ブームが続いています。『陰謀の日本中世史』『日本史の内幕』『日本史のツボ』に続き、ベストセラーになりそうな勢いでスタートを切ったのがこの『武士の日本史』です。長年武士を研究してきた著者が、武士についての常識を検証していきます。
岩波新書の“赤版”ですが、この本の読者は内容問わず、同時に発売されたほかの岩波新書も買っている方が多いのが特徴です。岩波ファン、すごい。
***
6月1日(金)に2018年上半期ベストセラーランキングが発表されましたが、2018年のビジネス書業界を引っ張ってきたのは、名実ともに落合陽一さん・堀江貴文さんの両人でしょう。年輩層だけでなく、若い世代をも取り込んだこの2人の勢いは衰えをみせません。
一方で皮肉なことに、文芸小説で描かれる未来はディストピアのほうが主流です。未来予想については、フィクションをノンフィクションが超えていく時代がきたのかもしれません。
(「HONZ」で2018年5月28日に公開された記事に、一部編集を加えています)