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『AI vs.教科書が読めない子どもたち』が、HONZのレビューをきっかけに大きく売上を伸ばしています。
この本をはじめとして、昨年末ごろからAI関連本の刊行が急増。成長著しい分野のため読者は最新情報を求めており、やはり新刊への注目度が高い模様です。
それでは実際にどんな本が売れているのか、どんな方が買っているのか? 今回はAI関連本について見ていきたいと思います。
一概に“AI関連本”といっても、新書から読み物、専門家・研究者向けの本格的な技術書まで、ジャンルはさまざまです。オールジャンルでどんな本が売れているのか、2018年1月から2月13日までの売上ランキングを抽出してみました。
※日販 オープンネットワークWIN調べ。書名に関連ワードが入っているものを抽出しています。
この分野はプログラミングや技術書も多く出版されていますが、新書のような一般の方も手に取りやすいフォーマット、価格帯のものが増えたことで、上位には読み物が並びました。
太字にしているのは2018年に入ってから発売されたもの。それらの売れ行きも好調で、今後も新刊点数は増えていきそうです。
ちなみに上記15タイトルの、今年1月以降の購入者クラスタがこちら。
※日販 WIN+調べ。
大きな特徴は2つ。50代男性が突出している点、20代男性に比較的売れている点です。経営者やビジネスパーソンの購入が目立ちますが、子育てをしている世代(特にお母さんたち)も多く手に取っているようです。
併読本は、その本によってさまざま。落合陽一ファンに支持されていたり、将棋ファンに買われていたりと、著者の影響が色濃く見られます。
参考までに『超AI時代の生存戦略』『人工知能と経済の未来』の併読本を比較してみました。
※日販 WIN+調べ。1月以降の購入分に絞って調査しています。
▼『超AI時代の生存戦略』の併読本
▼『人工知能と経済の未来』の併読本
働き方について考えるような本も多く読まれているほか、今同じく話題となっているビットコイン、ブロックチェーン関連本の併読も目立ちました。
ここからは、AI関連本読者の併読本リストから、注目本を紹介していきます。
戦争の不安がつきまといながらも、世は世界的バブル。この世界はどこに向かって行くのか、エマニュエル・トッドをはじめとする世界の知性たちが今後の世界を読み解く、という内容の一冊。
イーロン・マスクの研究本や自伝の数が増えているなか、1月25日(木)に発売された最新刊がこちらです。
先日自らが起業した「space X」がロケットの打ち上げに成功し、注目が集まっています。どんな人物なのか、何を目指しているのか、どんな思考法を取っているのか。それらすべてがわかる“イーロン・マスクの入門書”です。
2012年に単行本、翌年に新書版が刊行されていた『脳には妙なクセがある』の文庫版です。脳は妙に「酒が好き」「ゲームにハマる」「自分が好き」といった、読んで自分が納得したくなるようなキーワードが並ぶ、気になる一冊です。
このほかにも、AI関連本の読者が併読しているものには、中野信子さんの著書など“脳について考える本”も多く見られました。
これに限らず、藤井本・将棋本にはこれまでにないほどの注目が集まっています。
本の売れ行きについても、羽生永世七冠と藤井六段が人気を二分。新刊の発売予定も続々決まっているようです。
『弟子・藤井聡太の学び方』は、〈師匠から見た藤井六段〉というちょっと趣向の変わった一冊。子育て世代が参考に購入していくケースも多いようです。
脳のしくみがわかってきたら、応用したいのはその特性や効率を考えた勉強法です。AI関連本の点数が増えるなか、そういった本も増えてきました。こちらは中野信子さん推薦。ちなみに2015年末に刊行された『脳が認める勉強法』は、池谷裕二さん推薦です。
「ちょっと待てよ」「勉強法があるなら、ダイエットも絶対あるよなあ」と思って調べてみたら、あるわあるわ……。脳を騙したり、ダイエット脳を作ったり。脳の研究の進化は、ほかの問題にも多くの影響を及ぼしているようです。
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AIは、驚異的なスピードで私たちの生活に入ってきました。それを楽しみに感じる人、不安に感じる人、興味を持つ人、感じ方はいろいろですが、誰もが気になるのは「AIが拓いていく未来の姿」でしょう。
またこの技術の発達は、私たちに脳や心について深く考える機会を与えることになりそうです。
技術進化はもちろん、今後どんな切り口の本が発売されるのかも楽しみですね。
・AIには何ができ、何ができないのか?正しくAIを恐れるための一冊が話題に:本屋で今検索されている本ランキング(2018年2月13日~2月19日)
・AIにふなっしーは作れない!?羽生善治×山中伸弥 対談『人間の未来 AIの未来』
(「HONZ」で2018年2月19日に公開された記事に、一部編集を加えています)