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日本文学振興会は7月16日、第153回芥川賞・直木賞の選考会を東京・築地「新喜楽」で開き、芥川龍之介賞に羽田圭介さん「スクラップ・アンド・ビルド」(「文學界」3月号掲載)と又吉直樹さん「火花」(「文學界」2月号掲載)、直木三十五賞に東山彰良さん『流(りゅう)』(講談社)をそれぞれ選出した。
受賞者が発表されたのは午後7時半すぎ。まず芥川賞のダブル受賞が発表され、会見会場の東京・帝国ホテルに控えていた報道陣からはどよめきが起きた。
続いて直木賞が発表されると、受賞作の名前が貼り出されたホワイトボードに多くのフラッシュが焚かれた。
そして約1時間後、受賞した羽田さん・又吉さん・東山さんが登場し、記者会見が行なわれた。
羽田さんは作品について「書きたかったのは人間の距離感について。世の中で起きている妬みや憎しみによる対立は、見えない相手のことを想像できていないから生まれる。立場の違う相手の顔が見えたとき、人がどういう行動を起こすかを考えたかった」と語った。
又吉さんは、敬愛する太宰治が遂げられなかった芥川賞受賞を自身が果たしたことに、「時代が違うから……」と言いつつも感無量の様子。自著がベストセラーとして話題になり、「文學界」が異例の大増刷となったことを受け、「多くの方が読んでくれているのは嬉しい。そこから別の作品を読んで、読書を好きになってもらえたら。100冊読んだら絶対に本が好きになる」と読書の魅力を語った。
東山さんは「台湾が舞台で、主人公も台湾人。それでもこの物語を読んで日本人の読者がノスタルジーを感じるのは、それが普遍的な感情であるからだと思う。小説は作者の意図よりも読み手の受け止め方が大切だと考えている。主人公の成長を読者がそれぞれ自分に置き換えて受け止めてくれたら嬉しい」と語った。
▲喜びの表情の受賞者たち。左から東山さん、又吉さん、羽田さん
例年を大きく超える多くの報道陣が詰めかける中、質疑応答が行なわれ、熱気のこもった受賞会見となった。
なお、芥川賞作品は「文藝春秋」9月号(8月7日発売予定)に全文が、直木賞作品は「オール讀物」9月号(8月22日発売予定)に抄録が掲載される。
羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」(「文學界」3月号掲載)
1985年東京都生まれ。明治大学商学部卒業。2003年「黒冷水」で第40回文藝賞受賞。2008年「走ル」で第139回芥川賞候補、2009年「ミート・ザ・ビート」で第142回芥川賞候補、2014年「メタモルフォシス」で第151回芥川賞候補。
〈主な作品〉
・『盗まれた顔』(幻冬舎文庫/2014年10月)
・『メタモルフォシス』(新潮社/2014年7月)
・『ワタクシハ』(講談社文庫/2013年1月)
・『隠し事』(河出書房新社/2012年1月)
・『不思議の国の男子』(河出文庫/2011年4月)
・『走ル』(河出文庫/2010年11月)
・『御不浄バトル』(集英社/2010年7月)
・『ミート・ザ・ビート』(文藝春秋/2010年2月)
・『黒冷水』(河出文庫/2005年11月)
又吉直樹「火花」(「文學界」2月号掲載)
1980年6月2日大阪府寝屋川市生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。コンビ「ピース」として活躍中。受賞作『火花』は、3月に文藝春秋から発売されている。
笑いとは何か、人間が生きるとは何なのか。売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩神谷に出会った。そのお笑い哲学に心酔しつつ別の道を歩む徳永、ふたりの運命は……。「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。
〈主な作品〉
・『芸人と俳人』(集英社/2015年5月)※堀本裕樹氏との共著
・『新・四字熟語』(幻冬舎よしもと文庫/2015年1月)
・『まさかジープで来るとは』(幻冬舎文庫/2014年4月)※せきしろ氏との共著
・『オイコノミア』(朝日新聞出版/2014年3月)
・『カキフライが無いなら来なかった』(幻冬舎文庫/2013年10月)※せきしろ氏との共著
・『東京百景』(ワニブックス発売、ヨシモトブックス発行/2013年9月)
・『第2図書係補佐』(幻冬舎よしもと文庫/2011年11月)
東山彰良『流』(講談社)
1968年台湾台北市生まれ。2002年「タード・オン・ザ・ラン」で第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞を受賞。翌年、本作品を改題した『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でデビュー。受賞作『流』は5月に講談社から発売されている。
1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。無軌道に生きるわたしには、まだその意味はわからなかった。大陸から台湾、そして日本へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。
〈主な作品〉
・『NARUTO カカシ秘伝』(ジャンプjブックス/2015年2月)
・『ファミリー・レストラン』(実業之日本社文庫/2014年12月)
・『ミスター・グッド・ドクターをさがして』(幻冬舎文庫/2014年10月)
・『キッド・ザ・ラビット』(双葉社/2014年10月)
・『テラフォーマーズ LOST MISSION 1』(ジャンプjブックス/2014年8月)
・『ラブコメの法則』(集英社/2014年8月)
・『ブラックライダー』(新潮社/2013年9月)
・『ライフ・ゴーズ・オン』(双葉文庫/2013年3月)
・『NARUTO 迅雷伝』(ジャンプjブックス/2012年11月)
・『NARUTO 鬼燈の城』(ジャンプjブックス/2011年7月)
・『NARUTO ド根性忍伝』(ジャンプjブックス/2010年8月)