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  • 今や28万部を突破!『応仁の乱』を読んでいるのは、どんな人たちなのか?

    2017年03月24日
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    古幡瑞穂(日販 販売企画部)
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    読者は60代男性がトップ。2割超を60代男性が占める状況になっています。

    構成比からだけでは読み解きづらいですが、普段それほど歴史系の新書を購入しない40代読者が一定数いらっしゃるのがこの作品の特徴でしょう。新聞広告がSNSなどで拡散されて、普段リーチしない層にも届いた結果が、このグラフだと思われます。

    なお、この読者が過去2年以内に購入した本を見てみると、以下のようになっています。

    順位 分類  書名 著者  出版社
    1 新書 京都ぎらい 井上章一 朝日新聞出版
    2 文庫 村上海賊の娘(1) 和田竜 新潮社
    3 新書 言ってはいけない 橘玲 新潮社
    4 新書 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる エマニュエル・トッド 文藝春秋
    5 文庫 村上海賊の娘(2) 和田竜 新潮社
    6 文庫 村上海賊の娘(3) 和田竜 新潮社
    7 文庫 村上海賊の娘(4) 和田竜 新潮社
    8 新書 蘇我氏 倉本一宏 中央公論新社
    9 新書 人口と日本経済 吉川洋 中央公論新社
    10 文庫 一路(上) 浅田次郎 中央公論新社
    10 文庫 無私の日本人 磯田道史 文藝春秋

    第1位の『京都ぎらい』が断トツ。京都人に読まれていた『京都ぎらい』の併読率が高いことから、『応仁の乱』の京都人読者の多さが推測できそうです。

    それでは、読者の併読書から注目の作品を紹介していきましょう。

    織田信長の家臣団
    著者:和田裕弘
    発売日:2017年02月
    発行所:中央公論新社
    価格:990円(税込)
    ISBNコード:9784121024213

    応仁の乱に興味を持っている人は、当たり前ですが「歴史好き」。本書では柴田勝家・羽柴秀吉・明智光秀らと周辺人物たちの人間関係を分析し、各軍団の特性が明らかにされています。

    人脈がどれほどの影響を与えるものなのかが、しみじみわかる作品。中公新書つながりで売れています。

    大奥 第1巻
    著者:よしながふみ
    発売日:2005年09月
    発行所:白泉社
    価格:628円(税込)
    ISBNコード:9784592143017

    男子だけが罹る奇病によって、男子の人口が急減した江戸時代。これに対応するために女性が権力を持たざるを得なくなったという奇抜な設定が、この『大奥』の特徴です。

    しかし男女の性差が逆転した以外の歴史的事実は、驚くほど的確。『源氏物語』を『あさきゆめみし』で学んだごとく、江戸時代を漫画で勉強できる感動的なシリーズとなっています。

    だまされたと思って一度読んでみてほしい作品です。

    日本ー喪失と再起の物語 上
    著者:デイヴィッド・ピリング 仲達志
    発売日:2017年02月
    発行所:早川書房
    価格:968円(税込)
    ISBNコード:9784150504885

    「日本は相次ぐ『災い』をチャンスに転じてきた」と説くのが本書。フィナンシャル・タイムズの元東京支局長が、自ら集めた声とデータをもとに日本の姿を描き出します。

    この本が生まれたきっかけは3.11。それが年数を経て文庫になりました。

    日本がこれまで立ち向かってきた災いと、そこから生まれた変化を忘れないためにも、手に取ってみたい一冊です。

    一九八四年 新訳版
    著者:ジョージ・オーウェル 高橋和久
    発売日:2009年07月
    発行所:早川書房
    価格:946円(税込)
    ISBNコード:9784151200533

    トランプ政権発足以降、「ディストピア」本が好調です。

    中でも売れているのがこの『一九八四年』。〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する全体主義的な近未来を舞台に、歴史の改竄を仕事にしていた主人公の姿を描いた古典的名作!

    村上春樹の『1Q84』をあわせて読むと、さらに面白いかもしれません。

    父と私
    著者:田中眞紀子
    発売日:2017年03月
    発行所:日刊工業新聞社
    価格:1,760円(税込)
    ISBNコード:9784526076763

    『天才』が大ベストセラーになったのが、今からちょうど1年前のこと。石原さんが別件で話題を集めているなか、まさに“究極”の田中角栄本が発売されました。

    娘から見た政治家、田中角栄はどういう人だったのか。彼女は父から何を学び、どう育ってきたのか。

    歴史を振り返るためにも役立つ話題の一冊です。

    昨今、新書市場は減少の一途にあり、読者の声を聞いても「点数が多すぎる」「お店で探しづらい」「テーマ別になっていない」といった課題が語られます。

    この『応仁の乱』は、そのように沈みつつあった新書市場に、新しい風を吹き込んでくれました。

    新聞広告がきっかけでブレイク、SNSで拡散、若年層にも拡大、さらには他の歴史系新書への影響……などなど。

    売上はまだまだ上昇基調、どこまでの動きになるのか楽しみでなりません。


    (「HONZ」で2017年3月15日に公開された記事に、一部編集を加えています)
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