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  • 『夫のちんぽが入らない』は、どんな人に読まれているのか?

    2017年02月24日
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    古幡瑞穂(日販 販売企画部)
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    夫のちんぽが入らない
    著者:こだま
    発売日:2017年01月
    発行所:扶桑社
    価格:1,430円(税込)
    ISBNコード:9784594075897

    このコーナーの読者、何名かの方から「あれはどんな人に読まれているの?」という質問を受けました。この1か月、そういった興味を一身に集めているのが「おとちん」こと『夫のちんぽが入らない』です。

    「広告をうっているのに肝心なタイトルが書かれていない」「お客様が問い合わせをしてきているのだけれど、あまりに口を濁しすぎてタイトルが言われたことがない」など、話題が尽きる気配を見せません。

    さあ、この注目書、いったいどんな方に読まれているのでしょうか?

    まずは読者層です(日販 WIN+調べ)。

    読者層を見てみると、著者のこだまさんと同世代の30代~40代女性がトップに。書店店頭で購入するのはちょっと恥ずかしいタイトルなれど、女性から人気を集めています。

    一方の男性購入層からも、面白いデータが出てきました。ダントツは60代、続いて40代、50代。「不通」に悩む世代が買い求めているようです。色モノ企画に見られがちですが、読者はいたって真摯のようでした。

    続いては、この読者の併読本を見てみましょう。下記は「おとちん」読者が今年1月以降に購入した作品となります(日販 WIN+調べ)。

    順位 分類 書名 著者 出版社
    1 コミック 東京タラレバ娘(7) 東村アキコ 講談社
    2 コミック 僕だけがいない街(9) 三部けい KADOKAWA
    2 コミック キングダム(45) 原泰久 集英社
    4 コミック ONE PIECE(84) 尾田栄一郎 集英社
    5 書籍 蜜蜂と遠雷 恩田陸 幻冬舎
    5 書籍 沈黙 遠藤周作 新潮社
    7 雑誌 ダ・ヴィンチ KADOKAWA
    8 コミック 鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!(2) 鴻池剛 KADOKAWA
    8 コミック 宇宙兄弟(30) 小山宙哉 講談社
    8 書籍 ダーリンは71歳 西原理恵子 小学館

    バリエーションに富む読者層は、ここに影響を及ぼしていました。コミック、雑誌が上位を占有。通常の「ノンフィクション」読者とは大きく異なった層に手に取られたことがよくわかります。

    発売してすぐに話題になり、ベストセラーになったため、他のベストセラー商品との併読が目立っています。

    それでは併読されているものから、注目の作品をいくつか紹介します。

    うつヌケ
    著者:田中圭一
    発売日:2017年01月
    発行所:KADOKAWA
    価格:1,100円(税込)
    ISBNコード:9784041037089

    併読読者の多かったのがこちら。著者が実際にうつを経験しており、その経験をきっかけに他のうつ経験者の実体験を学ぶという異色のレポートです。ネットなどでも話題になっており、注目度が急上昇中しています。

    日本列島100万年史
    著者:山崎晴雄 久保純子
    発売日:2017年01月
    発行所:講談社
    価格:1,100円(税込)
    ISBNコード:9784065020005

    『ブラタモリ』の読者にもよく読まれているこちら。地政学もそうですが「地形」に多くの興味が集まっています。

    身近な地形からプレートテクトニクスの話まで、足下にある日本列島により興味を持てる作品。日本地図とあわせてお楽しみください。

    量子革命
    著者:マンジット・クマール 青木薫
    発売日:2017年02月
    発行所:新潮社
    価格:1,155円(税込)
    ISBNコード:9784102200810

    量子の謎に挑んだ科学者たちの100年史。単行本は税込3,000円以上と値が張っていましたが、文庫になってぐっと手に取りやすくなりました。

    単行本発売時には成毛眞さんをして「本書は絶版になる前に買っておくべき本の筆頭であろう。じっさいに読むのは数十年後でも良いかもしれない」と言わしめた作品。買っておくのを忘れた方、買うなら今ですよ。

    狂うひと
    著者:梯久美子
    発売日:2016年10月
    発行所:新潮社
    価格:3,300円(税込)
    ISBNコード:9784104774029

    名作「死の棘」の裏にあった事実を白日のもとにさらした、話題の書。夫婦のあり方を考える、見つめ直すというテーマが「おとちん」とは共通しているのでしょうか?

    ちなみに、この『狂うひと』の読者は60代以上が70%を占めており、あわせて『死の棘』を購入している方が多いようです。

    昔読んだ一冊を再評価しなおしている、といったところでしょうか。

    「誰が読んでいるのか?」の次に多く寄せられているのは、「いったいみんなどこで読んでいるのか?」という問いです。夫の前では読めないし、子どもの目に触れるところには置けないし、かといって通勤電車の中では……と、読みたいと思っている人たちの悩みは深い模様。

    手元にそれを確認できるデータがないのが残念でなりません。まだ「色モノ本」と思っている方も多い作品ですが、その話題はじわじわと、波紋のように広がってきています。


    (「HONZ」で2017年2月17日に公開された記事に、一部編集を加えています)

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