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6月18日(木)放送のテレビ朝日系「アメトーーク!」で“読書芸人”が放送されました。5月末に放送された“キングダム芸人”では「放送前に在庫を確保しておいたにもかかわらず市場投入分が売り切れてしまう」という現象を引き起こし、爆発力を見せていました。
とはいえ今回は、コミックスと比べるとお値段が張る上に、近年売上の厳しい文芸書。今回も倉庫に在庫を確保して放送に臨んだのですが、パブリシティの効果については疑問を残したまま放送日を迎えました。
結果として、我々の疑問は杞憂に終わりました。というより、完全に読み誤りました。どの銘柄も翌日以降に売上が急伸。倍増どころか又吉直樹さんの『火花』は16.4倍、西加奈子さんの『サラバ!』は30.6倍に跳ね上がっています。(いずれも日販オープンネットワークWIN調べ)
中でも驚異的なのは中村文則さんの『教団X』。なんと前日比40倍の売上です(日販調べ)。
本体金額1,800円、600ページ弱ある「ザ・文芸書」がこれほどまでに売れるとは!週末を待たずして、まさに店頭から商品がなくなってしましました。
放送前の時点で『火花』は発行部数は40万部、『サラバ!』にしても直木賞受賞作であり、上下巻あわせて累計30万部を突破している大ヒット作で、普通これだけ売れている文芸書だとここまで爆発することはないのですが、恐るべし「アメトーーク!」効果ですね……。
ちなみに“読書芸人”特集は今回が第2回。第1回が放送された3年前は、 寺山修司さんの『少女詩集』が爆発的に売れたそうです。販売会社として、データが残っていなかったことが悔やまれます。
この反響を受け各社とも大重版を行っており、それぞれ7月初旬には店頭に追加在庫が届く予定です。「欲しいけれどお店になかった!」という皆さま、もう少しだけお待ちください。
実は以前にも、芸人さんが推薦することで売上を激増させた本があります。お笑いコンビ・くりぃむしちゅーの有田哲平さんがテレビ番組で紹介して再ブレイクした、乾くるみさんの『イニシエーション・ラブ』です。なんと発売から10年を経て、ミリオンセラー達成となりました。
(日販オープンネットワークWIN調べ)
ここで注目したいのは、テレビ効果もさることながら「芸人さんによる紹介が本の売上を爆発させる引き金になっている」ということ。とある出版社の方も「作家・書評家から書店員さんに移ってきた “本を紹介する人への信頼感” が、お笑い芸人に移ったことが興味深いですね」とおっしゃっていました。要するに、「読者がより身近な存在のレビューを信頼する」ようになってきたということです。
確かに普段あまり本を読まない人にとっては、作家や書評家の方々との距離感が読書家に比べて遠いので、コメントに対する反応は鈍いでしょう。そして、そういう情報はやはり「普段の情報探索の範囲」を超えて探さないと見つからない。書店員さんのおすすめに関しても、実際に書店に行かないと分からない。そこに物理的・心理的ハードルがあるのではないでしょうか。
その点では、普段からテレビで見ていて身近に感じているお笑い芸人さんの信頼感が強いのは、当然かもしれませんね。
いずれにせよ、今回のような出来事は、普段本を読まない人たちに本の面白さを知ってもらえる絶好の機会です。「アメトーーク!」番組内でも又吉さんや光浦さんがおっしゃっていましたが、本屋さんには発見があります。これを機会に、1人でも多くの方が本屋さんで新たな発見をしてもらえると嬉しいです!
それではまた~。