今回の文庫ランキング第1位は、3週連続で湊かなえさんの『カケラ』でした。美容整形をテーマに、容姿をめぐる固定観念をあぶり出す長編ミステリーで、ひとりの少女の死をめぐり、人びとの証言が食い違うなか、真実を求めて主人公の美容外科医が謎に迫ります。
美容外科医の橘久乃は幼馴染みの志保から「痩せたい」という相談を受ける。カウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と、その娘の有羽が自殺したという情報だった。少女の死をめぐり、食い違う人びとの証言と、見え隠れする自己正当化の声。有羽を追いつめたものは果たしていったい――。
（集英社公式サイト『カケラ』より）
第2位は、2月17日（金）に実写映画が公開された池井戸潤さんの『シャイロックの子供たち』でした。単行本が発売されたのは2006年で、銀行の支店で起こった現金紛失事件をめぐる物語です。池井戸潤さんの銀行小説でおなじみの「東京第一銀行」を舞台にしており、池井戸さんも自身の原点であると語っている作品です。
映画は、原作とは展開が異なるオリジナルストーリーのため、原作小説との読み比べも楽しめるようになっています。
ランキング集計期間中に発売された新刊では、第4位に『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア』第13巻、第5位に『京都寺町三条のホームズ』第19巻、第6位に『オフマイク』、第7位に「辻番奮闘記」第5巻『絡糸』、第10位に『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結』第2巻が初登場しました。
『オフマイク』は、警察小説の旗手・今野敏さんの「スクープ」シリーズ第5弾で、報道番組「ニュースイレブン」所属の遊軍記者と、警視庁捜査一課刑事のコンビが活躍する物語です。
継続捜査を担当する黒田は同期から20年前の大学生の自殺について聞かされる。その死に大物政治家の贈収賄が関わっているという。同じくこの事件を追う「ニュースイレブン」の報道記者・布施の情報から、黒田はカギとなる人物はIT長者の藤巻だと目算する。一方、番組キャスターの香山が突然の失踪。その背後にはテレビ業界や警察組織でさえも迂闊に手を出せない、闇が――。
（集英社公式サイト『オフマイク』より）
※日販調べ。
※トップ10のみ前回との順位比較を記載。★印は集計期間中（2023年2月13日～2月19日）に発売された新刊です。
人生にあるいくつかの大事な分岐点。そして私は今ここにいる――8作からなる村上春樹の短篇小説集『一人称単数』が初登場｜週間文庫ランキング（2023年2月14日調べ）
