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12月1日(木)に2022年の年間ベストセラー(日販調べ)が発表されました(集計期間:2021年11月22日~2022年11月21日)。
さまざまなモノやサービスの価格が高騰していることや世界情勢などを背景に、自身の生活に影響が出ている状況が続いています。そうした状況を反映してか、今回の年間ベストセラーでは、自身の未来に訪れる「老後」、自分らしい「生き方」、そしてそれらを支える「お金」といった、より生活に身近なテーマに関連する作品が関心を集め、多くランクインしました。
加えて、YouTuberが手掛けた書籍の上位ランクインも目立ち、動画コンテンツがより幅広い層の人々の消費行動に影響を与えるようになってきたことが見て取れました。
総合ランキングでは『80歳の壁』が第1位となり、2022年で一番売れた本となりました。80歳を目前に寝たきりや要介護などといった大きな「壁」を乗り越え、長生きするよりも元気でいることを提案し、シニア読者のニーズとマッチしました。
第2位には、2021年の年間ベストセラーで第1位を獲得した『人は話し方が9割』がランクイン。対面での交流機会が減り、職場のみならず友人、家族との対話不足が不安視される中で、コミュニケーションへの関心は依然として高いままであることをうかがわせます。
第3位は『ジェイソン流お金の増やし方』。「日曜日の初耳学」(MBS/TBS系)内で紹介され、番組放送をきっかけに大きく売上を伸ばしました。また第9位には『本当の自由を手に入れる お金の大学』がランクイン。将来のお金に関する不安を持つ人々の高い関心が、ランキングにも表れています。
第4位は、10~20代から支持を受ける作家Fさんのエッセイ『20代で得た知見』で、本書で綴られている著者の考え方や出合った言葉が多くの読者の共感を呼びました。また、ハッシュタグをつけて好きな文章をSNSでシェアするという読者の反応も見られました。
また、コムドットのメンバー・やまとさんのエッセイ『聖域』が第15位となり、YouTuberのエッセイ本が初めて総合ランキング20位以内にランクインしました。2021年11月にサイン本を作成したこと、オンラインイベントの裏側を撮影した2時間超えの動画を公開したことをきっかけに売上が急増しました。写真集ジャンルでも『コムドット写真集 TRACE』が第1位を獲得するなど、出版業界でも大きな旋風を巻き起こしています。
ここからは、部門別ランキングについてご紹介します。
第1位に輝いたのは逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』。デビュー作ながら直木賞の候補作となり、一気に注目の的となりました。2022年4月の第19回本屋大賞受賞、2022年5月の高校生直木賞受賞などを経て、より多くの読者の支持を獲得しています。累計発行部数は48万部(12月1日時点)となり、50万部に迫る勢いとなっています。
第2位は、人気作家・東野圭吾さんのマスカレードシリーズから『マスカレード・ゲーム』が、第3位には又吉直樹さん、ヨシタケシンスケさん共著の『その本は』がランクイン。2022年8月に「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)で紹介されたことで人気が爆発し、その他テレビや著者のYouTube、新聞広告などを中心に広がりを見せました。書店での全文試し読み施策なども売上に結びつきました。
人気料理研究家のリュウジさんによる『リュウジ式至高のレシピ』が、2022年上半期ベストセラーに続き第1位を獲得しました。2021年12月の発売直後から注目を集め、2022年9月発表の「第9回料理レシピ本大賞 in Japan」料理部門大賞を受賞し、累計発行部数は21.8万部(12月1日時点)となっています。
新型コロナウイルスによる観光業への影響で、旅行ガイド本ジャンルの需要が減る中で、「地球の歩き方」シリーズで趣向を凝らした作品が多く発売されています。その中でも異色コラボ本として『地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険』、『地球の歩き方 ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方』がそれぞれ第5位と第10位にランクイン。発売前から大きな注目を集め、各メディアでも大きく取り上げられました。
『人は話し方が9割』が2020年年間ベストセラーから3年連続して第1位となり、累計発行部数は110万部(12月1日時点)を突破しました。
ジャンルの傾向として、コロナ禍でコミュニケーションへの関心が高いままですが、それ以上に物価上昇や円安など経済への不安から資産形成、資産運用への関心も高まったことがわかります。第2位の『ジェイソン流お金の増やし方』は数多くのメディアに取り上げられ、発売から約1年で累計発行部数55万部(※電子書籍含む)となりました。
上位10位の中で唯一2022年に刊行された第4位『数値化の鬼』は、累計発行部数18.5万部(12月1日時点)になり、同著者の第6位『リーダーの仮面』とは異なる新しい読者層を取り込んだことで、大きく売り伸ばしました。
精神科医・和田秀樹さんの『80歳の壁』が、累計発行部数53.5万部(12月1日時点)で第1位となりました。発売後、2022年5月に放送された「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)内での本の紹介で売上が大きく伸び、60~70代の女性読者が急増しています。第2位にも、同著者の『70歳が老化の分かれ道』がランクイン。同作は、累計発行部数36万部(12月1日時点)を突破するロングヒット作となっています。
また、瀬戸内寂聴さんが生前に語ったメッセージをまとめた『寂聴 九十七歳の遺言』、『今を生きるあなたへ』もそれぞれ第5位、第9位にランクインしました。
リストラ、年金生活、格差社会などを題材にした『三千円の使いかた』が、2022年上半期ベストセラーに続き、年間ベストセラーでも第1位となりました。食品やガソリン、電気などの相次ぐ値上げや急速な円安、高齢化などを背景に、生活に必要なお金や老後の生活費工面への関心が高まっていることを反映しています。
第2位の『希望の糸』は2022年7月発売ながらも急速に売上を伸ばし、東野圭吾さんの人気を改めて証明しました。
第3位の『流浪の月』は、2022年2月に文庫化され、5月に公開された広瀬すずさん、松坂桃李さんダブル主演による映画の後押しもあり、発売より一気に売上を伸ばしました。
『898ぴきせいぞろい!ポケモン大図鑑(上・下)』が2022年上半期ベストセラーに続き第1位を獲得。累計発行部数は上・下巻合わせて73.5万部(12月1日時点)となりました。アニメも盛り上がりを見せ、さらにゲーム最新作が発売されるなど人気は衰えず、『ポケモンをさがせ!あたらしいぼうけん』も第9位にランクインしています。
第2位、第3位には「パンどろぼう」シリーズがランクイン。同シリーズから『パンどろぼう』(第2位)、『パンどろぼうとなぞのフランスパン』(第3位)、『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』(第6位)、『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』(第10位)の4作品がランクインしました。見た目のインパクトとタイトルのキャッチーさも相まって、瞬く間に人気シリーズとなり、シリーズ累計発行部数は公称150万部(12月1日時点)を突破。POPUP STOREなどのイベントやフェアも展開されています。
第4位には『ドラゴン最強王図鑑』がランクイン。「最強王図鑑」は、累計発行部数261万部(12月1日時点)となっている人気シリーズです。
男性5人組YouTuber・コムドット初の写真集『TRACE』が、2022年上半期ベストセラーに続き第1位を獲得しました。チャンネル登録者数370万人超え(11月末時点)というファンの多さに加え、メンバー5人の特別版カバーバージョンの発売が話題となり、複数買いに繋がっています。
第2位は、2022年6月に発売された『乃木坂46 賀喜遥香1st写真集 まっさら』。坂道シリーズ所属メンバーは1st写真集の発売が続いた一方で、卒業記念写真集が発売されたメンバーもおり、合計7点がランクインしています。
デビュー10周年の節目に本人が企画段階から参加した『広瀬すず 10周年記念写真集 レジャー・トレジャー』は、「絵本のようなテイスト」でいわゆるグラビア写真集とは違う「本当の広瀬すず」を表現し、3,850円(税込)と高価格ながら第8位となりました。
2021年12月の映画公開に合わせて発売された『呪術廻戦』第18巻が根強い人気で第1位となりました。2023年にはTVアニメ第2期の放送が決定しており、来年以降もこの勢いは止まらないでしょう。
第2位の『SPY×FAMILY』は、TVアニメが2022年4月、10月クールの2期にわたって放送され、スリリングなストーリー、愛くるしいキャラクターの人気も相まってコミックの売上が伸び続けています。
第3位の『ONE PIECE』は2022年7月に連載25周年を迎え、また2022年8月公開の映画「ONE PIECE FILM RED」が記録的大ヒット。『週刊少年ジャンプ』での連載も最終章に突入したことで、新旧ファンの注目度が高まっています。
『HUNTER×HUNTER』第37巻は、2022年11月に約4年ぶりの最新巻刊行で話題となり、発売から2週間余りで第8位にランクインし、作品の人気ぶりがうかがえました。