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約100万人のユーザーを抱え、2,700万件以上の感想・レビューが投稿されている「読書メーター」。
このランキングでは、そんな読書メーターで「今注目が集まっている本」を紹介します! “次に読む一冊”を見つける参考にどうぞ。
第1位は、窪美澄さんが描く「決別」と「再生」の物語、『朔が満ちる』です。
主人公の文也は、中学1年の時に、酒を飲む度に荒れる父親に手を焼き、斧で殴りかかって殺そうとした過去があります。
心に傷を負ったまま家族とも離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也でしたが、荒んだ生活の中で看護師の千尋との出会います。それをきっかけに、自身の過去と向き合うようになります。
本書を読んだ読書メーターユーザーからは、次のようなレビューが寄せられました。
深紅の背景、血痕が染みついた斧。装丁を目にした瞬間から不吉な予感が脳裏を過り怯んでしまう。
父親の暴力に苦しむ家族がいる。そして少年は自分の中に黒い炎を噴き出す龍を飼い慣らす。実父を憎悪し殺意をも抱かざるを得ない僅か13歳の少年の境遇があまりにも不憫だ。行動を起こさない母に対しても怒りが募る。暴力は身体と同時に心も破壊し、どれ程の年月を重ねても受けた傷は永遠に残る。親だから絶対ではない。親を憎む事に罪悪感を感じる必要もない。
ラスト五行の美しい筆致は圧巻。人の痛みを知る彼らなら未来を恐れず生きていけるはずだ。(ユーザー名:よつば)
家庭内暴力……弱い者にしか手を上げられない弱い男。されるがまま子供を夫の暴力から守ることが出来ない母と言う女。
13歳の時、母と妹を守るため父を殺そうとした史也。生まれて間もなく母親に遺棄された過去を持つ梓。2人が出会い、互いの過去に向き合い、寄り添いながら生きていくと言う再生の物語。体の傷は治ると言うが跡は残るのだ。心の傷なら尚更深いだろう。
それぞれの悲しみと苦しみをこの作品を読むだけで知った風に語る自分が情けないが、多くの史也や梓の明日に幸あれ!(ユーザー名:いつでも母さん)
自分の過去を引き摺りながら過去と向き合う史也と梓。重いものを抱える2人はお互いを支え合いながら親に会うことに。失われた時間は決して戻らないし親を許すのは簡単なことではない。
それでも先へ進むために越えなければならない親という高い壁。苦しみもがきながら生きてきた2人の境遇が胸に迫ってくる。田舎の価値観、子供を自分の思い通りにしたい親、子供を守れない母親、そんな親を反面教師に子供は自分の道を進む。
駐在さんの存在と優しさに救われる。(ユーザー名:きょん)
第2位は川瀬七緒さんのミステリー『うらんぼんの夜』。
片田舎での暮らしを厭う高校生の奈緒は、東京から越して来た亜矢子と親しくなります。しかし、それを境に村の空気は一変し、亜矢子の口数も少なくなります。疑念を抱く奈緒は、密かに彼女の自宅に忍び込もうとしますが……。
第4位と第5位には、第165回芥川賞受賞作の『貝に続く場所にて』と『彼岸花が咲く島』がそれぞれランクインしました。
※集計期間:2021年8月1日(日)~31日(火)
期間中の本の登録数・レビュー投稿数を集計。
第1位『朔が満ちる』(窪美澄/朝日新聞出版)
第2位『うらんぼんの夜』(川瀬七緒/朝日新聞出版)
第3位『追憶の烏』(阿部智里/文藝春秋)
第4位『貝に続く場所にて』(石沢麻依/講談社)
第5位『彼岸花が咲く島』(李琴峰/文藝春秋)
第6位『ヒトコブラクダ層ぜっと(下)』(万城目学/幻冬舎)
第7位『雨夜の星たち』(寺地はるな/徳間書店)
第8位『黒牢城』(米澤穂信/KADOKAWA)
第9位『予言の島』(澤村伊智/KADOKAWA)
第10位『原因において自由な物語』(五十嵐律人/講談社)
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