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  • 第24回文化庁メディア芸術祭受賞作決定 マンガ部門大賞は『3月のライオン』、アニメーション部門に「映像研には手を出すな!」、エンターテインメント部門に「音楽」

    2021年03月14日
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    ほんのひきだし編集部
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    3月12日(金)、第24回文化庁メディア芸術祭の受賞作品と功労賞受賞者が決定し、大橋裕之さんの漫画『音楽と漫画』を原作とした長編アニメ映画「音楽」(監督:岩井澤健治)がエンターテインメント部門、大童澄瞳さん原作のTVアニメ「映像研には手を出すな!」(監督:湯浅政明)がアニメーション部門、羽海野チカさんの漫画『3月のライオン』がマンガ部門の大賞を受賞しました。

    功労賞受賞者は4名で、メディアアート・映像文化史研究者でキュレーターの草原真知子さん、新潟県を拠点に同人誌即売会「ガタケット」を運営する坂田文彦さん、「桃太郎電鉄」などで知られるゲームクリエイターのさくまあきらさん、「DRAGON BALL」シリーズの孫悟空ほか、数々の人気キャラクターの声をつとめる声優・野沢雅子さんが受賞しました。

    文化庁メディア芸術祭は、「アート」「エンターテインメント」「アニメーション」「マンガ」の4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品鑑賞の機会を提供する、メディア芸術の総合フェスティバル。

    今回は世界103の国と地域から応募された3,693作品から、部門ごとに、大賞、優秀賞、ソーシャル・インパクト賞、新人賞、U-18賞が選出されました(※)

    ※応募対象:2019年10月5日(土)~2020年9月4日(金)までの間に完成した作品、または、すでに完成してこの期間内に公開された作品

    受賞作品は2021年9月23日(木)から10月3日(日)まで、東京・お台場「日本科学未来館」ほかにて展示・上映予定です。

    大賞受賞作品の詳細、贈賞理由は下記のとおり(贈賞理由は「文化庁メディア芸術祭」公式サイトより)。

    アート部門:『縛られたプロメテウス』(メディアパフォーマンス)小泉明郎[日本]
    【贈賞理由】作者はこれまで現代美術分野で優れた作品をつくってきた。彼の作品を見る体験は(誤解を恐れずに言うと)ホラーに近い。実際には怖いシーンは皆無なのだが、見ているうちに人間の抱える闇やグロテスクさ、しかしその奥にある人間の芯などがないまぜになり、登場人物と自分の距離感を失う。すごい作品を見たという充実感とともに、自分は今、空間識失調に陥ってしまったのではないか、というような不安感も抱かせる。そういう複雑な作用を観客にもたらすことのできる作家は稀有だ。VR演劇作品として発表された本作は、扱う技術はいつもと異なるものの、やはり小泉明郎作品であり、応募されたなかで作品としての力は際立っていた。演劇・VR・美術作品という本来融合させることがきわめて難しいものをひとつにまとめ、人間の持つ業とそれに救いを求める個人、そしてそれを取り巻く社会や未来を作品化した手腕は、今年度の大賞にふさわしいと審査委員のあいだで意見が一致した。(八谷和彦)


    エンターテインメント部門:『音楽』(映像作品)岩井澤健治[日本]
    【贈賞理由】バンドで経済的に成功するまで、あるいは文化的に挫折するまでを描いた作品は、過去膨大にあった。しかし、バンドで最初に音を出したときの、ふっと軽くなる瞬間。生物が魂を宿したような、例えようのない時間をズバリとらえた作品は皆無だったように思う。作者自身が、一人で絵コンテや作画を7年もの歳月をかけてつくり上げたことと、結果として素晴らしいエンターテインメントが生まれたことは、無関係ではない。だが、必然でもない。同じように苦労して生み出された芸術作品は、数多くある。VFXやAR/VRなど多くの技術が点在する現代において、ロトスコープという古典的な手法で生み出されたアニメーションが、例えようもない時間を一番鮮明な形で残しているのが興味深い。驚くべきことに、この作品はまだ商業的に成功していない。審査委員としての任期最後の年、この作品を文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門大賞に選べたことを、誇りに思う。(川田十夢)


    アニメーション部門:『映像研には手を出すな!』(テレビアニメーション)湯浅政明[日本]
    【贈賞理由】制作者あるある。準備中のラフなイメージボードの方が実際の映像よりキマっていて「この絵のまま動かせば良かったのに」とガックリすること。丁寧につくり上げた映像も確かに良い。しかし、思いのままに鉛筆を走らせ、淡彩で色を乗せた絵が動くのを想像するのも楽しい。商業アニメがセルを使用していた当時は不可能に近かったが、デジタル化した今、本作品は実現した。その結果、何を生んだか? キャラクターや美術のルックも相まって作品内の現実と空想がないまぜになり、登場人物たちがイメージを共有していくさまを視聴者は台詞ではなく感覚で理解するという希有な映像体験を味わっていたのではないだろうか。しかもそれは毎週続く。キャラへの愛着、彼女たちの夢想への共感も増していく。全話数で初めて1本の作品であるというテレビアニメの不利を、本作品はむしろプラスに転じている。タイトルとは裏腹に、映像づくりへの愛おしさといざないにあふれているのが素晴らしい。(佐藤竜雄)


    マンガ部門:『3月のライオン』(マンガ)羽海野チカ[日本]
    【贈賞理由】将棋など盤上の競技は、身体的な躍動を伴わないため絵にしづらく、マンガでは対決や成長を心理的に描写する技法が厳しく問われる。本作は、心理描写に関するマンガ史上の豊かな蓄積を生かし、独自の工夫も加えて、日々を静かな闘争に生きるプロ棋士の内面のドラマを活写した。キャラクターの魅力も抜群で、闘争心と仲間意識をないまぜにした奇妙で愛すべき棋士たちの生態を、一級の群像劇に仕立てている。また、月島界隈とおぼしき墨田川の風景が時に温かく時に厳しく、主人公たちの心の動きを受け止め、盛り上げ、まるで川も芝居をするかのようだ。加えて恋愛や家族のドラマも濃密で、和菓子グルメの要素もあり、シリアスとコメディを往還しつつ盛りだくさんに描く欲張りな趣向ながら、煩雑さは皆無で、するりと心に届く。個別の技術の高さと全体のバランスを総合的に評価し、物語が大きな節目を迎えさらなる高みへ向かうこの機に、大賞をお贈りするものである。(表智之)


    ◆フェスティバル・プラットフォーム賞
    ジオ・コスモス カテゴリー:『ちぎる』(映像作品)秋山智哉[日本]
    ドームシアター カテゴリー:『Lʼalter-Monde』(オーディオビジュアル作品)Sandrine DEUMIER/Myriam BLEAU[フランス/カナダ]


    ◆功労賞
    草原真知子(メディアアート・映像文化史研究者/キュレーター)
    坂田文彦(ガタケット事務局代表)
    さくまあきら(ゲームクリエイター)
    野沢雅子(声優)

    この記事では、マンガ部門・アニメーション部門の優秀賞、ソーシャル・インパクト賞、新人賞も紹介します。

    ◆マンガ部門
    大賞
    ・『3月のライオン』羽海野チカ[日本]

    優秀賞
    ・『イノサン Rouge ルージュ』坂本眞一[日本]
    ・『かしこくて勇気ある子ども』山本美希[日本]
    ・『ひとりでしにたい』カレー沢薫[日本]
    ・『塀の中の美容室』小日向まるこ/原作:桜井美奈[日本]

    ソーシャル・インパクト賞
    ・『ゴールデンカムイ』野田サトル[日本]

    新人賞
    ・『スインギンドラゴンタイガーブギ』灰田高鴻[日本]
    ・『空飛ぶくじら スズキスズヒロ作品集』スズキスズヒロ[日本]
    ・『マイ・ブロークン・マリコ』平庫ワカ[日本]

    ◆アニメーション部門
    大賞
    ・「映像研には手を出すな!」テレビアニメーション(湯浅政明[日本])

    優秀賞
    ・「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(劇場アニメーション)石立太一[日本]
    ・「泣きたい私は猫をかぶる」(劇場アニメーション)佐藤順一/柴山智隆[日本]
    ・「マロナの幻想的な物語り」(劇場アニメーション)アンカ・ダミアン[ルーマニア]
    ・「Grey to Green」(ミュージックビデオ)Marcos SÁNCHEZ[チリ]

    ソーシャル・インパクト賞
    ・「ハゼ馳せる果てるまで」(ミュージックビデオ)Waboku[日本]

    新人賞
    ・「海辺の男」(短編アニメーション)森重光/小笹大介[日本]
    ・「かたのあと」(短編アニメーション)ふるかわはらももか[日本]
    ・「À la mer poussière」(短編アニメーション)Héloïse FERLAY[フランス]




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