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  • 感謝と使命を再確認する日/【連載】3.11から10年「本を届ける人々」の道のりと思い

    2021年03月10日
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    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    2011年3月11日の東日本大震災から10年。未曾有の災害は多くの命を奪い、さまざまな傷跡を残しました。

    そんななかでも本を届け続けてきた人々は、いまどんな思いを抱いているのか。震災を乗り越え、被災地域のために尽力されてきた書店の皆さまのこれまでの道のりについて、ご寄稿をいただきました。

    今回お届けするのは、日本出版販売 元・東北支店長(現・首都圏支社長)萬羽励一氏による寄稿「感謝と使命を再確認する日」です。

     

    感謝と使命を再確認する日

    2011年3月11日、その日は書店さんとの商談のため青森に入っていました。急ぎ支店のある仙台に戻らなくてはと思ったものの、レンタカーを含む全ての移動手段が麻痺しており、その日は止む無く電気もつかないホテルで一泊。

    翌日、運航再開の情報を得た北海道支店が機転を利かせ確保してくれた、青森→羽田の飛行機を使い東京の御茶ノ水まで移動。さらに一泊して翌日、東北支店の同僚と合流後新幹線で新潟へ、新潟からはレンタカーを利用し、山形経由で仙台に戻れたのは地震発生から3日後の20時過ぎでした。

    東北支店に出社すると、皆が見える場所にお取引先一覧とその安否状況が張り出されていました。水道・ガス・電気といったライフラインが崩壊し、誰もが自分自身や家族の生活に大きな不安を抱く中、パートさんを含む支店のメンバーは、地震直後からお取引先の安否確認に奔走してくれていたのです。

    書店名の横には「明日から営業見込み」「商品整理に応援必要」「商品落下は激しいが復旧可能」など、いち早く営業再開に向かって立ち上がっていることを示す書き込みが見られる一方で、多くの書店欄に「店舗被害大」「津波による浸水有」「書棚全倒」「壁亀裂・天井落下」といった厳しい情報が日々追記されていきました。

    残念なことですが、三陸沿岸を中心に依然として確認がとれず、そこだけがしばらくの間空白になっていたことを覚えています。

    書店さんの「待っていてくれるお客様、そして地域のために何としてでも再開したい」という強い想い。それに応えるべく行われた、出版社・運送会社はじめ業界全体での支援、加えて日販グループ全社を挙げてのバックアップもあり、少しずつですが、着実にお店の再開は進んでいきました。

    「お店を再開してくれて本当にありがとう」「この日をずっと待っていたよ」「お待たせしました。またよろしくお願いしますね」。店内やレジ前で、涙ぐみながらこんな会話が数多く交わされていたことを、今でも鮮明に覚えています。

    「本屋をやっていて良かった」「本を売ることを誇りに思う」。多くのお取引先からこの言葉をお聞きしました。

    「生きていくだけなら本は必要ないかも知れない。でも、衣食住だけでは満たせない力を本は持っている。私たちが扱っている商品はそういったものなんだなと、改めて感じたよ」。ある書店さんが話してくれました。

    あれから10年が過ぎました。報道で震災が取り上げられる機会も減り、三陸や福島など一部の地域を除けば、被害の痕跡も視覚的には見え難くなっています。

    そんな時だからこそ3・11は「街に書店があること」、「普通に本を手に取れる日常生活を過ごせていること」に感謝し、「書店に本を届け続けるという使命」を再確認する日にしたいと思っています。

    ▲CCC、MPD、日販は3社共同の「こころ+プロジェクト」で被災地の避難所100箇所に書籍をはじめとする支援品を届けた

    (「日販通信」2021年3月号【特別企画:東日本大震災10年に寄せて】より転載)

    ▼連載内容
    1.東日本大震災の影響と、出版業界の動き
    2.特別寄稿:東日本大震災10年に寄せて(「日販通信」2021年3月号より)
    ・日本出版販売 元・東北支店長(現・首都圏支社長)萬羽励一氏感謝と使命を再確認する日
    ・みなとや書店ブックボーイ大船渡店 代表取締役 佐藤勝也氏人と人との繋がりに支えられて10年
    ・MEDIA PARK MIDORI白河店 店長 鈴木郁夫氏震災から10年を振り返る
    ・MEDIA PARK MIDORI桑野店 主任 岡田州平氏東日本大震災から10年に寄せて
    3.東北で起きたこと、いまできること 思いを寄せる一冊




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