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12月1日(火)に2020年の年間ベストセラー(日販調べ)が発表されました(集計期間:2019年11月24日~2020年11月23日)。
【総合ランキング】で年間第1位を獲得したのはJUMP j BOOKSの『鬼滅の刃 しあわせの花』。第2位も『鬼滅の刃 片羽の蝶』と小説版「鬼滅」がワンツーフィニッシュを飾り、『鬼滅の刃 風の道しるべ』も第4位に。ベスト5の3作品が小説版「鬼滅」作品となりました。
コミックスが史上最速で累計1億冊(電子版含む)に到達し、12月4日に発売される最終23巻(初版395万部)をもって、累計発行部数が1億2,000万部を突破。「劇場版『鬼滅の刃』 無限列車編」の映画も公開6週目にして歴代第3位(約259億円)となる興行収入をたたき出す(※)など、社会現象を巻き起こしている「鬼滅の刃」。
本編で描かれていないエピソードを収録した小説版は、「副読本」としても人気で、いずれもロングセラーとなっています。11月30日現在の累計発行部数は、『しあわせの花』が18刷108万部、『片羽の蝶』も13刷107万部。今年7月にJUMP j BOOKS史上最大規模の初版部数で発売された『風の道しるべ』は80万部です。
※(2020/12/1追記)「劇場版『鬼滅の刃』 無限列車編」は、公開7週目・公開45日で興行収入275億円を突破(275億1,243万8,050円)。「タイタニック」(1997年公開)を抜いて歴代第2位となり、興収308億円の「千と千尋の神隠し」に迫っています。
第3位と第5位には、Nintendo Switch用ゲーム「あつまれ どうぶつの森」の攻略本『あつまれ どうぶつの森 完全攻略本+超カタログ』と『あつまれ どうぶつの森 ザ・コンプリートガイド』がランクイン。
ゲーム「あつまれ どうぶつの森」は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために外出自粛を要請された期間に発売されました。ゲーム内容の面白さのほか、外出自粛のため家庭でゲームに費やす時間が増えたことなどが、人気を博した要因とみられます。
ゲーム攻略本ジャンルでは、第17位の『ポケットモンスター ソード・シールド 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略+ガラル図鑑』が、上記2作品に次ぐ売れ行きとなっています。
第9位の『世界一美味しい手抜きごはん』(単行本実用第1位)、第12位の『人は話し方が9割』(単行本ビジネス第1位)と第19位の『「繊細さん」の本』などは、新型コロナウイルスによる環境変化で注目された「おうち時間」「コミュニケーション」に関する書籍です。在宅時間の増加や外出自粛で自炊ニーズが増えたほか、人との物理的接触が制限される中、コミュニケーション方法や人間関係への悩みを抱える人たちが増えてきたと推測されます。
▼『世界一美味しい手抜きごはん』は、昨年9月のピークの次に、外出自粛期間である4月に売上を伸ばしました(日販 オープンネットワークWIN調べ)
▼『人は話し方が9割』は3月から軒並み売上を拡大し、今も売れ続けています(日販 オープンネットワークWIN調べ)
11月末時点で、『世界一美味しい手抜きごはん』の累計発行部数は23刷・63万部。1~11月までで、約25万部を発行したそうです。『人は話し方が9割』は累計20刷40万部に達し、近く5万部を重版する予定です(21刷45万部)。
『「繊細さん」の本』は、年初の累計14刷7万9000部から累計26刷45万部まで拡大。今年4月放送の「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)への著者出演から火が付きました。その後もメディア露出のほか、新聞・電車広告などの宣伝展開で、今も売れ続けています。
年間トップ2の作品を筆頭に、上半期ベストセラー(総合)にランクインした書籍も、年間ベストセラーで順調にランク内に着地しています。
第7位に入ったのは、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。昨年11月に「Yahoo!ニュース」本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞を受賞し、今年3月に放送された「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)への著者出演などで売上が伸長。5月29日発表の上半期ベストセラーでは総合第4位、累計発行部数は52万部を超えていました。
11月30日現在の発行部数は、26刷58万5,000部にまで伸長し、新潮社は「書店員さんに熱い応援をいただいたおかげ」とコメントしています。
上半期の総合第11位から、年間では第8位にランクアップした『ケーキの切れない非行少年たち』(新書ノンフィクション第1位)は、年初の段階ですでに40万部のベストセラーとなっていた作品です。11月25日現在では、29刷61万部と今年は20万部超の売り伸ばしとなりました。
売上が伸長したのは、新潮社の漫画サイト「くらげバンチ」での漫画版の連載開始と、そのタイミングでフルカバーの漫画帯に変更したことが要因だそうです。これにより、従来は新書になじみのない層への認知が進み、それから10万部以上の増刷になったそうです。
ちなみに、現在放映中のTVドラマ「さくらの親子丼」(フジテレビ系)の第3回放送(10月31日)の中で、同書が登場しました。
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・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」を受賞
上半期第5位だった、田中みな実さんの初写真集『Sincerely yours…』は第15位に。坂道シリーズのアイドルを抑え、上半期ベストセラーに続き、写真集では第1位を獲得しました。上半期第15位で今回第16位となった『FACTFULNESS』は、2年連続で年間ベストセラー総合ランキング入り(2019年は第9位)を果たしました。
いじめから子どもを守ることを目的に編纂された『こども六法』は第11位。今年初めの累計発行部数は、10刷35万冊でしたが、11月30日時点では19刷64万部と倍近く売り伸ばしています。
弘文堂によると、今年1月放送の「世界一受けたい授業」での紹介は、刊行以来最大の反響だったそうです。さらに全国放送に加えて、関西ローカル番組「ちちんぷいぷい」(MBS)などローカルのテレビ・ラジオで取り上げられ、知名度を徐々に拡大していきました。
▼メディア効果によって、今年1月は断トツの売上となっています(日販 オープンネットワークWIN調べ)
2019年8月から2020年10月までの返品率は、弘文堂によると、なんと1.6%だそうです。書店店頭で大事にじっくり売られていることがうかがえます。同社は「本書の意義を汲んでくださった書店員の方々のおかげです。また今年は『親子で学べる本』の需要が高まりました。
今年一番読まれた小説は、第14位の『流浪の月』(単行本フィクション第1位)となりました。凪良ゆうさん初の一般文芸作品として書店員の間で話題となり、2020年本屋大賞を受賞。累計発行部数は8刷37万部となっています。
4月の本屋大賞発表後から10月末までの売上冊数の推移(日販オープンネットワークWIN)をみると、2019年受賞の『そして、バトンは渡された』や2018年受賞『かがみの孤城』とほぼ同等。コロナ禍で制限された営業活動というハンデを背負いながらも、売れ行きは健闘しています。