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  • “ほのぼのしていると急転直下” 小学生の日常を描く連作短編『僕の神さま』:読書メーター 2020年9月の注目本ランキング

    2020年10月10日
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    ほんのひきだし編集部
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    日本最大級の書評サイトで「今 注目度No.1の本」

    約100万人のユーザーを抱え、2,500万件以上の感想・レビューが投稿されている「読書メーター」。

    このランキングでは、そんな読書メーターで「今注目が集まっている本」を紹介します! “次に読む一冊”を見つける参考にどうぞ。

     

    先月注目を集めた本【第1位】はこれだ!!

    9月の第1位は、芦沢央さんの『僕の神さま』です。

    僕の神さま
    著者:芦沢央
    発売日:2020年08月
    発行所:KADOKAWA
    価格:1,760円(税込)
    ISBNコード:9784041097786

    『僕の神さま』は、必ず正しい答えを導き出すことから“神さま”と慕われている水谷くんと、彼のことを一番知っている同級生の〈僕〉、2人の小学生を中心に描く物語。「春の作り方」「夏の『自由』研究」「作戦会議は秋の秘密」「冬に真実は伝えない」、そしてエピローグ「春休みの答え合わせ」からなる連作ミステリーです。

    描かれているのは彼らの日常ですが、本の帯には「あなたは後悔するかもしれない。第一話で読むのをやめればよかった、と。」いう不穏な文字が……。

    最後まで読ん(でしまっ)た読者の皆さんは、どんな感想を持ったのでしょうか? その一部をご紹介します。

    1話でほのぼのとしていると急転直下。2話以降どんどん形相が変わり、水谷くんに対して不気味ささえ覚え、彼を形成した家庭環境も気になり出す。知識がどれだけ豊富にあろうが経験に勝る物はない。少年の取った行動に危うさと脆さを感じ、正義と紙一重の残酷さに慄く。

    (ユーザー名:よつば)

    普通のミステリとは違った味わい。最初は子供らしい話。でもそれ以降は、まだ子供なのに大人の世界に触れてしまったような、子供の頃に大人向けの飲み物を飲んだような苦い感覚が残った。それほど気付いたら子供目線で読んでいたのだと思う。未熟さへの葛藤、その痛々しさと切なさがギュッと伝わってきた。現実を知ってしまう重み、それはきっと水谷くんも感じていたんじゃないかな。

    (ユーザー名:buchipanda3)

    読み進めるにつれ、子供だけで解決するには重いものになっていく。季節が廻り、再び春が来たとき、二人の関係は、思いは…。さらっと読めてもさすがの芦沢作品。「子供」という枷と「大人」にはまだ遠い彼らに、読み手には苦いものやつかみどころのない何かがざらりと残る。

    (ユーザー名:aquamarine)

    なお、ランキング トップ10は下記のとおりです。

    それぞれのレビューも、ぜひ読書メーターでチェックしてみてくださいね。

    ※集計期間:2020年9月1日(火)~30日(水)。期間中の本の登録数・レビュー投稿数を集計。

    第1位『僕の神さま』(芦沢央/KADOKAWA)
    第2位『二百十番館にようこそ』(加納朋子/文藝春秋)
    第3位『やわらかい砂のうえ』(寺地はるな/祥伝社)
    第4位『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(青柳碧人/双葉社)
    第5位『四畳半タイムマシンブルース』(森見登美彦、原案:上田誠/KADOKAWA)
    第6位『楽園の烏』(阿部智里/文藝春秋)
    第7位『スキマワラシ』(恩田陸/集英社)
    第8位『破局』(遠野遥/河出書房新社)
    第9位『あきない世傳 金と銀(9)淵泉篇』(高田郁/ハルキ文庫)
    第10位『満月珈琲店の星詠み』(望月麻衣/文春文庫)

    それでは、次回もお楽しみに!!

     

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