'); }else{ document.write(''); } //-->
いま、ビジネス書の売れ行きが好調です。
上記は、毎月発表される「書店店頭売上前年比調査」(日販調べ)の推移。
3月から4月を中心に、コロナウイルス感染症の流行によって書店休業が相次ぎました。それがピークとなった4月こそ前年比90.0%という実績でしたが、5月には107.7%まで回復し、6月に入ってからも勢いが落ちていません。
6月1日~6月13日までのPOS売上を見てみると、前年比110.8%の好実績に。全体売上に占めるシェアも回復しており、同期間の占有率は4月から0.6ポイント拡大しました(占有率3.7%→4.3%)。
好調の要因は何なのでしょうか?
5月22日放送の「あさイチ」(NHK総合)で特集が組まれ、『FACTFULNESS』が大ブレイクしたものの、それ以外でベストセラーランキングの総合部門で首位争いを繰り広げるような大型タイトルは見当たりません。
6月に入ってからの売上データを、もう少しくわしく見てみましょう。ここからは速報値データを含めた、6月1日~6月15日の売上で検証します(日販 オープンネットワークWIN調べ)。
期間内に売上が発生した(つまり1冊以上売れた)のは10,341点。2019年の同時期と比較すると92.0%で、やや減少しています。つまり「(前年よりも)いろいろなタイトルが幅広く売れている」というわけではなさそうです。
続いて、この10,341点を冊数が多い順に並べ、前年同時期のデータと比較してみました。
トップ~各順位までの合計売上冊数
・第10位まで … 前年比 115%
・第20位まで … 前年比 114%
・第100位まで … 前年比 114%
・第500位まで … 前年比 107%
・第1000位まで … 前年比 105%
このことから、突出して売れている大型タイトルはないものの、「ランキング上位のタイトルが売上を牽引している」ことが見えてきます。
次に、売上冊数トップ10のタイトルと、主なパブリシティを見てみます。パブリシティ情報は、集計期間内の「全国紙の記事掲載実績」「広告・東京キー局での放送実績」です。
6月13日放送の「王様のブランチ」(TBS系)で取り上げられ、『「育ちがいい人」だけが知っていること』が大きく動いていますが、期間内にはパブリシティがなかったものもあります。
ここで注目したのが「YouTube」です。これら10タイトルに共通する特徴を探したところ、そのうち半数近くが「中田敦彦のYouTube大学」に取り上げられていることがわかりました。『「繊細さん」の本』『FACTFULNESS』『嫌われる勇気』『漫画 バビロン大富豪の教え』の4冊です。
第2位に入った『「繊細さん」の本』は、6月11日に動画がアップされています。同書の売れ行きを見てみると、動画が公開された翌日12日以降に売上が跳ねているのがよくわかります。
また、YouTubeでの露出は「影響が長期にわたる」のも特徴の一つ。2月中旬に同チャンネルで取り上げられた、『漫画 バビロン大富豪の教え』の動向を見てみましょう。
『漫画 バビロン大富豪の教え』は2月17日から3日連続で、計3本の動画が公開されています。
『漫画 バビロン大富豪の教え』は、電車の車内広告など、先ほどの表に記載した以外のパブリシティも積極的に行なわれています。そういった要素もありますが、動画公開後に売上が跳ね、そこから売上のペースが落ちていません。
ことビジネス書については、以前から「YouTubeでの露出が売上に繋がる」といわれていました。
外出自粛期間中、YouTubeをはじめ動画配信サイトは大きく再生回数を増やしています。これによって過去のコンテンツにも目が向けられたことが、ビジネス書の売上に大きな影響を及ぼしているといえそうです。
・ビジネス書で振り返る2018年:好調が続くビジネス書ジャンル その理由は?