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  • 『女帝 小池百合子』を買ったのは、どういう人たちなのか?

    2020年06月22日
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    古幡瑞穂(日販 マーケティング部)
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    2017年の東京都議選前に“隠し球”として出版された、小池百合子〈ファースト〉写真集『小池百合子写真集 YURiKO KOiKE 1992-2017』。

    そのときの購買データからは、写真集としては異例のクラスタが見え、品格あるステキな年齢の重ね方・生き方を求める人たちにとっての、「ロールモデルとしての小池百合子」の存在が強く見えました。

    YURiKO KOiKE 1992ー2017
    著者:鴨志田孝一
    発売日:2017年06月
    発行所:双葉社
    価格:2,222円(税込)
    ISBNコード:9784575312744

    『小池百合子写真集』の読者は、AKB48渡辺麻友の写真集を買っている!?――小池百合子“ファースト”写真集を買っているのはどんな人たちか

    そして、今。東京都知事選を前に『女帝 小池百合子』が売れています。どんな売れ方をし、どんな人に読まれているのでしょうか。

    女帝小池百合子
    著者:石井妙子
    発売日:2020年05月
    発行所:文藝春秋
    価格:1,650円(税込)
    ISBNコード:9784163912301

     

    『女帝 小池百合子』は首都圏で売れている

    『女帝 小池百合子』は、首都圏1都3県での動きが非常にいいのが特徴です。首都圏の店舗の売上シェアは、全体の50%以上。これが『FACTFULNESS』だと、45%程度まで下がります(※『FACTFULNESS』の読者傾向はこちら)。

    そもそも販売戦略や店頭在庫も首都圏に寄っているはずですが、とはいえ都民・近隣県民からの関心の高さを感じる数字です。

    続いて、読者層です。

    男女比は、男性65%・女性35%。男性では60代以上の購入者が多くなっています。写真集のときは70代が多かったのですが、それに比べて今回は、男性の60代以下の読者が増えている印象です。

    また、併読本を調べてみると、発売直後ということもあり、「月刊文藝春秋」を定期的に購入している人が多くみられました。

     

    併読本には政治家の自伝・評伝が多数 なかでも注目は?

    『女帝 小池百合子』を購入した方が、過去1年以内に購入した本をランキングにしてみました。

    ベスト10は次のとおり。政治家の自伝や評伝などが多く並んでおり、政治や経済に対する関心の高さを感じます。また、週刊誌を定期的に購入している人も多いようです。

    『女帝 小池百合子』購入者の併読本
    ・第1位『反日種族主義』(李栄薫/文藝春秋)
    ・第2位『ペスト』(アルベール・カミュ/新潮社)
    ・第3位『独ソ戦』(大木毅/岩波書店)
    ・第4位『無敗の男』(常井健一/文藝春秋)
    ・第5位「月刊文藝春秋」(文藝春秋)
    ・第6位『言い訳』(塙宣之/集英社)
    ・第7位『日本社会のしくみ』(小熊英二/講談社)
    ・ 〃 『猫を棄てる』(村上春樹/文藝春秋)
    ・第9位『世界のニュースを日本人は何も知らない』(谷本真由美/ワニブックス)
    ・第10位『上級国民/下級国民』(橘玲/小学館)

    では最後に、読者の併読本から気になる本をいくつかご紹介します。

    原節子の真実
    著者:石井妙子
    発売日:2019年02月
    発行所:新潮社
    価格:781円(税込)
    ISBNコード:9784101372525

    『女帝 小池百合子』の著者・石井妙子さんに興味を持った方も多いようで、彼女の著書が動き始めています。『原節子の真実』は、刊行当時に新潮ドキュメント賞を受賞した話題作。日本映画史上の大きな謎といわれる原節子の姿を、取材によって描き出しています。同じく石井さんによる『日本の血脈』もよく売れているようです。

    吉本興業史
    著者:竹中功
    発売日:2020年06月
    発行所:KADOKAWA
    価格:990円(税込)
    ISBNコード:9784040823539

    著者は、古くから吉本興業の内部で活躍し、月刊誌「マンスリーよしもと」初代編集長もつとめた“伝説の広報”。ファミリー企業だった吉本興業は、なぜ「ブラック企業」と糾弾を受けるまでになってしまったのか? 組織を解剖しつつ、吉本興業の行く先を占います。

    〈嘘〉の政治史
    著者:五百旗頭薫
    発売日:2020年03月
    発行所:中央公論新社
    価格:1,650円(税込)
    ISBNコード:9784121101051

    政治家のつく「嘘」が恒常的な話題になりつつありますが、著者は「絶対的な権力ではないからこそ嘘が必要なのだ」と言います。嘘には害があり、危険な嘘もある。政治家が嘘をつくのは、今に始まったことではなさそうです。

    世界中の政治に「嘘」が蔓延する中、私たちはそれにどう付き合っていけばいいのでしょう。

    樺美智子、安保闘争に斃れた東大生
    著者:江刺昭子
    発売日:2020年06月
    発行所:河出書房新社
    価格:1,078円(税込)
    ISBNコード:9784309417554

    3月に封切られた「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」。コロナウイルス感染症流行による映画館休業などもありましたが、この時代を生きた人々、話題になった人々の評伝に注目が集まっています。

    国会議事堂に突入し、22歳で亡くなった樺美智子さんもその一人。伝説となった少女は、いったいどういう人だったのでしょうか。

    ならずもの
    著者:森功
    発売日:2020年05月
    発行所:講談社
    価格:1,870円(税込)
    ISBNコード:9784065202807

    「Yahoo! JAPAN」創業者・井上雅博さんの人生をひもときつつ、創成期からの日本のインターネットの歴史を描いた一冊。1,000億円という膨大な資産を手にした井上さんは、自らについて語ることなく、2017年にカーレースの事故で若くして亡くなります。

    Yahoo!、ソフトバンクグループが大きくなっていった歴史が、裏面から読み解けます。

    最近の注目本を並べてみたら、どことなく昭和の香り漂うラインアップになりました。『女帝 小池百合子』読者層の平均年齢が高いことも理由でしょうが、この機会に若い世代がもっと“今”に興味を持ち、過去から学ぶべき時ではないかと思います。

    7月5日(日)の東京都知事選に向け、候補者への関心が高まっています。まだまだ“日常”が完全に戻ってきたとはいえず不安が続くなか、どんな選挙戦が繰り広げられるのでしょうか。各候補者の横顔を本で知ることも、政治参加の一つなのかもしれません。

    ※「HONZ」で2020年6月15日に公開された記事に、一部編集を加えています。
    ※書籍の売上シェアは「日販 オープンネットワークWIN調べ」、購入者クラスタ分析は「日販 WIN+調べ」です。

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