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5月29日に2020年上半期ベストセラーが発表されました(集計期間:2019年11月24日~2020年5月23日)。
集計期間中には、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため全国的に外出自粛が広まり、各家庭の在宅時間が大幅に増加。その影響を受けてか、総合第1位・第2位となった小説版『鬼滅の刃』2作品のほか、『田中みな実1st写真集 Sincerely yours…』(第5位)、『乃木坂46写真集 乃木撮 VOL.02』(第17位)、ゲーム攻略本『ポケットモンスター ソード・シールド 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略+ガラル図鑑』(第9位)といった、“おうち時間”を楽しめるエンターテインメント色の強い書籍がランキング上位を占めました。
加えて、第8位の『はじめてのやせ筋トレ』、第12位『世界一美味しい手抜きごはん』は、ともに発売から1年も経過していますが、今なお売れ続けています。特に『世界一美味しい手抜きごはん』は、今年4月に、販売ピークとなった昨年9月に続く売れ行きに(日販 オープンネットワークWIN調べ)。在宅時間の増加による運動不足の解消、自炊の増加というニーズを反映しているとみられます。
小・中・高等学校などの臨時休校によって学習参考書の売り上げが伸びていることは、すでに多くのメディアで伝えられています。今回発表されたコロナ禍でのランキングは、“楽しさ”や“健康”など、在宅ニーズを満たす本を求める傾向が浮き彫りになったといえそうです。
上半期ランキングの第1位・第2位を独占したのは、人気コミック「鬼滅の刃」の小説版、『鬼滅の刃 片羽の蝶』と『鬼滅の刃 しあわせの花』。原作漫画の本編では語られなかったエピソードを収録した両作品は、発売以降、「めざましテレビ」(フジテレビ系)などのメディアで取り上げられ、多くのファンに支持されました。5月29日現在で2冊合計の累計発行部数は176万部を突破しています。
7月には、ファン待望の小説版第3弾『鬼滅の刃 風の道しるべ』が、JUMP j BOOKS史上最大規模の初版70万部で発売されることが決まっています。
第4位は、英国で暮らす親子の成長を描いた、ブレイディみかこさんの『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。「Yahoo!ニュース」本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞、ビジネス書グランプリ2020第5位、第73回毎日出版文化賞特別賞などを受賞し、累計発行部数は52万部を超えました。
特に売上を伸ばしたのは2020年3月。7日に「王様のブランチ」(TBS系)と「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)に紹介されたことで、翌日には前週同日の約13.8倍の売上を記録(日販 オープンネットワークWIN調べ)。3月ほどではありませんが、4、5月もよく売れました。
6月にはブレイディみかこさんのエッセイ集も発売される予定で、さらなる売れ行きが見込めそうです。
第5位は、女優業も好調なフリーアナウンサー・田中みな実さんの初めての写真集『Sincerely yours…』。坂道シリーズのアイドルを抑え、写真集では第1位を獲得しました。
累計発行部数60万部という大ヒットの背景には、女性ファンの獲得が挙げられます。写真集は一般的に男性読者の方がかなり多いなか、同書は女性比率が約4割と高く、なかでも20代女性が大きなシェアを占めています。「あざとかわいい女性芸能人調査」(ゼネラルリサーチ)で堂々第1位を獲得した田中みな実さんの、美容や健康に対するストイックな姿勢に憧れる女性が増えたことが要因の一つとみられています。
第1位となったのは、総合第13位に入った本屋大賞受賞作『流浪の月』。著者の凪良ゆうさん初の一般文芸作品として書店員の間で話題となり、2020年本屋大賞を受賞。発行部数は37万部にまできています。
ミステリーランキング3冠獲得の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は第4位、直木賞受賞作『熱源』は第6位と、文学賞受賞作が上位を占めました。
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2019年の年間ベストセラーで総合第9位を獲得した『FACTFULNESS』がビジネスジャンルトップに(総合第15位)。データをもとに世界を正しく見る習慣を唱えた同作は、主力の読者層である20代に加えて、40~50代にまで読者を広げたことで大きなヒットにつながりました。
5月22日には「あさイチ」(NHK総合)のプレミアムトークに翻訳者の関美和さんが登場し、さらに売上を伸ばしています。
ビジネスジャンルの傾向としては、『人は話し方が9割』『学びを結果に変えるアウトプット大全』『超一流の雑談力』といった、アウトプットがテーマの書籍が目立ちます。
総合第6位にランクインした『こども六法』は、いじめから子どもを守ることを目的に編纂された「六法」。子どもに買い与えるだけでなく、子どもと一緒に学びたいという親世代の新たな需要を喚起させたことで、累計発行部数58万部の大ヒットとなりました。
爆発的な人気を誇る「おしりたんてい」シリーズは、『おしりたんてい ラッキーキャットはだれのてに!』が児童書ジャンル第2位 、『おしりたんてい かいとうとねらわれたはなよめ』が第10位に。シリーズ累計発行部数は800万部を突破し、読み物やアニメコミックなど、さまざまなメディアに展開されています。
「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」で2連覇を果たした「ざんねんないきもの事典」のシリーズでは、児童書ジャンルでも『もっとざんねんないきもの事典』が第4位、シリーズ第1弾『ざんねんないきもの事典』が第7位にランクイン。
同シリーズは、5月26日に第5弾『さらにざんねんないきもの事典』が発売されたばかりです。
人気ゲーム「ポケットモンスター」と「あつまれ どうぶつの森」の攻略本が首位争いでデッドヒートを繰り広げた結果、20代から40代まで幅広い層で売上を伸ばした『ポケットモンスター ソード・シールド 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略+ガラル図鑑』(総合第9位)が第1位を獲得しました。
「あつまれ どうぶつの森」の人気も負けず劣らずで、4月下旬に発売されたばかりの『あつまれ どうぶつの森 ザ・コンプリートガイド』が、わずか1か月で第2位に。こちらも、巣ごもり消費需要の高まりを示す結果となりました。
昨春のアニメ放送をきっかけに爆発的な売れ行きとなっている『鬼滅の刃』が首位を獲得。5月13日には最新20巻が発売され、初日に完売店が相次ぎました。
5月18日発売の「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載は終了しましたが、7月には第21巻の通常版・特装版が発売されるほか、10月には劇場版アニメの公開が予定されています。