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約100万人のユーザーを抱え、2,400万件以上の感想・レビューが投稿されている「読書メーター」。
このランキングでは、そんな読書メーターで「今注目が集まっている本」をご紹介します! “次に読む一冊”を見つける参考にどうぞ。
2月のランキング第1位は、昨年12月に発売された『黒鳥の湖』。『愚者の毒』『骨を弔う』などで知られる宇佐美まことさんのミステリー小説です。
妻と娘とともに満ち足りた生活を送る、不動産会社の社長・財前彰太。しかし、世間を騒がせている女性拉致事件の手口が「18年前に自分が関わった“ある事件”」に瓜二つであると気付いたことから、翳りが差し始めます……。
〈白は色が混ざるとすぐ濁るけれど、黒は何色を混ぜても黒のまま〉。一度差した翳りが、一滴落とされた“黒”のようにとどまり、じわじわと広がっていく本作。読者からは、こんなレビューが寄せられています。
絶対に打ち明けられぬ秘密を抱えてきた夫婦、反抗期では済まされぬほどの変異を見せる娘。壊れ行く家族の真実とは一体何なのかを主軸に、宇佐美さんらしく思いもよらぬ繋がりで読ませる長編。
(ユーザー名:Yoko Omoto)
程度の差こそあれ、どんな人間の心にも黒い部分はあるだろう、読了後思う。素直だった娘の変貌と失踪は自分への因果応報…… 財前はずっと心に引っかかっていた過去の罪と向き合うことになる。その後発覚するのは裏切り、最低な男たちの所業、偽善。周りの偽善者たちの正体を明かしていく見事な伏線の回収に読む手が止まらない。その事実に打ちのめされながら、捨てるものと手放せない大切なものを見極める財前。「黒はありとあらゆる色が重なり合った色である」に唸る。そして黒いやつほど白い仮面をつけているものだ。宇佐美さん、今作も面白かった。
(ユーザー名:miww)
過去は細い糸で数珠つなぎになっている。「自因自果」この言葉の意味に真実はあるのか。何かがおかしい薄気味悪さに違和感を抱きながらもじわじわ進行する物語。善意だと信じる悪意もある。誰もが心の中に隠し持ってる昏い部分をミステリに盛り込んでくる上手さはさすが宇佐美さん。ある程度推理出来るところもあるけれど、謎解きだけでない善悪や人生の悲哀に重きをおいて描いているところがいい。ただ、何の落ち度もない無垢な少女を苦しめ傷つけたことは悲しく腹立たしいし許せない。宇佐美さんらしいひとすじの光あるラストが余韻に浸らせる。
(ユーザー名:mii22.)
なお、ランキング トップ10は下記のとおり。
ヨシタケシンスケさんの新作絵本『もしものせかい』や、待望の文庫化となった『ルビンの壺が割れた』、映画「メッセージ」の原作者による最新作『息吹』などがランクインしました。
※集計期間:2020年2月1日(土)~29日(土)。期間中の本の登録数・レビュー投稿数を集計。
第1位『黒鳥の湖』(宇佐美まこと/祥伝社)
第2位『もしものせかい』(ヨシタケシンスケ/赤ちゃんとママ社)
第3位『リメンバー』(五十嵐貴久/幻冬舎文庫)
第4位『ルビンの壺が割れた』(宿野かほる/新潮文庫)
第5位『息吹』(テッド・チャン/早川書房)
第6位『活版印刷三日月堂 小さな折り紙』(ほしおさなえ/ポプラ文庫)
第7位『イマジン?』(有川ひろ/幻冬舎)
第8位『雲を紡ぐ』(伊吹有喜/文藝春秋)
第9位『風間教場』(長岡弘樹/小学館)
第10位『わたしの美しい庭』(凪良ゆう/ポプラ社)
それでは、次回もお楽しみに!!
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