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  • スパゲッティは「鍋」で茹でないほうがおいしい!?意外な麺料理の裏技が満載

    2019年10月14日
    くらす
    世永玲生:講談社BOOK倶楽部
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    麺の科学
    著者:山田昌治
    発売日:2019年07月
    発行所:講談社
    価格:1,100円(税込)
    ISBNコード:9784065167458

    みなさん、麺類は好きですか? 週に何回麺類を食べますか?

    麺類の魅力は、ずばり多様性ですよね。

    「麺」のパートだけピックアップしても「喉越し」、「歯ごたえ」、「香り」と異なる知覚によって生成された様々な麺が存在します。
    さらに、それらは「ソース」や、「スープ」、「具材」との組み合わせで無限の風景を描き始めます。

    食感や香りに関わる各種パラメータには、「加水率」や、「かん水の種類」、「麺帯の製法」、「麺の太さ」、「麺のカットの形状」、「麺の熟成」、そして「調理方法」等々が関係しています。

    これらは、麺ラバーズの人々の間では常識でしょう。

    ですが、それが「何故」なのかは、それについては、自家製麺を行っているような超麺ラバーズな人でも、ちゃんとした理由は知っていないのではないでしょうか?

    この『麺の科学』は、それらについての「何故」について、様々な視点から触れることができる1冊です。

    「ヤツらはラーメンを食べているんじゃない。情報を食べているんだ」

    とは、有名なラーメン漫画のセリフですが、

    「情報と一緒に食べる麺類は美味しい」
    のも、麺ラバーズな人々皆が同意するところでしょう。

     

    情報と一緒に食べると麺類はさらに美味しい

    目の前に出された一杯、一皿の麺類。それらの視覚情報に事前知識が加わり、高まる期待の中。

    「ちゅるり」「ずるずる」

    香り、歯ごたえ、のど越し、スープやソースとのマリアージュが更に追い打ちをかけ、一杯、一皿の宇宙を遊泳しつつ、着地。完食。

    これらの素晴らしい麺体験をより彩り深くするのが『麺の科学』なのです。

    それでは本の内容をいくつか紹介していきましょう。

     

    麺の原料と原料の歴史

    第1章では、麺の原料の歴史とともに、小麦粉、蕎麦粉、片栗粉、そしてタピオカ粉や米粉といった麺の素材となる原料を科学的な視点から、それぞれの性質と併せて解説します。

    特におもしろかったのは「米粉」の項目。米粉はその原料となる米の種類や製法によって、「上新粉」「白玉粉」「乳児粉」と、用途も様々な米粉へと加工されるのですが、近年の研究によって見いだされた新製法によって

    「今食べているものとは一線を画する」

    米粉麺が生まれることを著者は予言しています。

    これはつまり、タイ料理のクイッティアオやパッタイ、ベトナム料理のフォーなどもさらに進化するってこと!?!?!とアジアの麺料理も大好きな僕は思わず興奮してしまいました。

    余談ですが、僕が最も好きなつけ麺屋さんは、麺に昆布粉を練り込んでいます。
    この本をきっかけに調べてみると、乾燥したコンブは水分を吸収すると膨張するという性質をもち、医学にもそれらは応用されているそうです。

    なるほど、あの独特のモチモチ感はこういうことなのか!

    「麺は科学なり」思わず納得してしまいました。

     

    麺の栄養学

    第2章と3章では、うどん、そば、中華麺、素麺、冷や麦、パスタ、ライスヌードルといった麺の種類と、それぞれの麺の栄養について触れられています。

    「日本そばのアミノ酸スコアって84で、麺類ではダントツに高いんだ!」

    といった情報や、血糖値を高めないための方法など、麺との上手な付き合い方を知ることができます。

    本章では、低炭水化物ダイエットにも触れられており、麺の栄養から、それぞれのGI値、そしてデンプンからグルコースに変換されて体内に吸収する仕組みも解説されています。

    実は僕、7ヵ月で痩せた10kgをお気に入りのラーメン屋を新規に見つけてしまったために、たった1ヵ月でリバウンドしてしまったことがあります。

    この本にその前に出会っていれば……。

     

    科学の力で麺を美味しく

    第4章は著者のこれまでの研究で編み出した、様々な「麺」を美味しく作る「裏技」集です。
    著者の味覚に基づいたトライ&エラーと、科学的な分析の組み合わせで生み出された、素麺、うどん、チルドうどん、冷凍うどん、乾燥麺、パスタなどの美味しい作り方を解説します。

    ・スパゲッティの乾麺はフライパンで茹でると最強。

    ・冷凍麺の解凍は電子レンジのほうがコシが出る。

    この2つの「裏技」だけでも、この本を購読して良かったなぁと感じるかと思います。
    しかも、それぞれの裏技には、その理由とデータで解説がされており、腑に落ち度も満点です。
    特に冷凍うどんの解凍の裏技は、目からウロコです。

    他にも様々な麺料理の裏技が記されています。
    麺つゆや、麺料理に使う脂を簡単に美味しくする裏技についても触れられており、自分で麺料理を作る人には大変参考になる章です。

    この章だけで、75ページが割かれ、ある意味本著の主役とも言えるでしょう。

    最終章の「麺の科学NG集」は著者のトライ&エラーを集めた章です。

    さて、『麺の科学』は麺の素材や調理方法に関して、科学的な側面から綴っています。

    また、著者が大学の研究室で行っている、さまざまな食品の風味や香り、食感などの研究から蓄積されたデータや、体験からも「麺」を解剖しています。

    そして、研究の過程で出会った「食の匠」からの秘伝の話や、著者が試行錯誤をくりかえして見出した調理の「裏技」等々も著されており、「麺について知りたい」、「食べたい」、という人だけではなく、「もっと美味しく作りたい」という人までカバーしていて、幅広い麺ラバーズに対応できる内容が満載です。

    更に、麺の歴史や麺の素材まで科学的に掘り下げた本著は、まさに麺の宇宙を描いた創世記的な一冊。

    読み進めるたびに、あなたの「麺生活」を豊かにしてくれることでしょう。飽くなき著者の麺への愛情と実践、長年の研究、そして匠たちへの取材を通して蓄積された知識・データの集大成である『麺の科学』。

    「麺好き」なあなたの手元において絶対に損はありません。

    (レビュアー:世永玲生)


    ※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2019年9月5日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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