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ネットやSNSの発達で、医療や健康に関する情報は身近なものになりつつあります。でも「本当に信じていい?」「何かあやしい気がする」と思うものも。そこで「見極める目」を持つことが必要な時代になりました。多くの具体例から、見抜くポイントを紹介した『教養としての健康情報 「それ」本当に信じていいですか?』から学びましょう。
ダイエット関連の番組や記事などを見ると、研究データなどの紹介としてグラフが表示されていることがよくあります。こうしたグラフを見るときに、見るのは、「数値」ではなく「軸」です。見過ごされがちな縦軸・横軸には、実はそのグラフの本当の意味を知るために重要な、情報が入っているんです。
例えば、あるダイエット法を行った前後での体重の変化を示している場合です。通常、縦軸の単位はキログラムですよね。しかし、もしこれがグラム単位で書かれていたとしたらどうでしょう。1kg痩せた、と書かれているのと1000g痩せた、と書かれている場合では、後者のほうが効果ありそうに感じてしまいそうです。
また、キログラム単位で書かれていたとしても、身長160cm、体重150kgのかなり大柄な人が5kg痩せるのと、身長160cm、60kgの普通体型の人が5kg痩せるのとでは、数字上は同じ変化でもその意味は大きく違います。
こうした偏りを考慮した指標としてBMI(体格指数)というものがあります。もし縦軸の単位をBMIで表示している研究があったとしたら、慎重に効果を検証しようとしており、結果を信頼してもよいのかもしれない、ということが感じ取れます。
またもうひとつ、縦軸の途中に「2重の波線」が入っていないかどうかを見ることも重要なポイントです。波線は「省略(抜粋)」を表しています。「グラフは全体ではなく、ある範囲だけを抜粋しています」、というメッセージです。
以下に示した2つの図を見てください。
体重90kgの人が1kgだけ痩せたような場合は、全体を棒グラフで示すと、上の図ではほとんど変化がないような見た目になります。
一方で下図のように途中を省略し、体重85kgから90kgまでを抜粋して表示した場合、1kg減っただけでも、まるで2割体重が減ったかのような印象を受けます。
波線による省略は、「わずかだけれども意味のある変化」を示すためのテクニックとしては意義のあるものですので「使ってはいけない」ものではありません。しかし一方で、意味があるかどうかは不明な変化を、意味があるように印象付けるために使われることもあります。
グラフの縦軸に波線が表示された図を目にしたら、一度冷静になって、本当に意味がある結果なのかどうかを考えてみたほうがいいかもしれません。
プロの見極め術
• グラフを見るときには、数値より前に「軸」に注目。
• ポイントは「単位」と「波線」に気を付けること
出典元:https://kurashinohon.jp/1027.html
※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2019年4月19日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。
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