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そのものズバリのタイトルで、中高年層を中心に多くの人に読まれている『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』。著者は、青山学院大学駅伝チームなどの運動指導で知られる、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんです。
医師の監修のもと、糖尿病などの疾病や膝・肩・腰の痛み、寝たきり予防など、それぞれの悩みや症状に合った、効果的なエクササイズを収録。運動が苦手な人にもわかりやすい内容で、発売3か月で7刷10万部と順調に版を重ねています。
そんな本書について、編集を担当した日経BP社「日経グッデイ」の竹内靖朗さんに、くわしくお話を伺いました。
日経BP社「日経グッデイ」編集 竹内靖朗さん
――タイトルで、本のねらいが一目でわかりますね。
私が所属する「日経グッデイ」は健康・医療に関する情報サイトですが、以前から中野ジェームズ修一さんにお願いしている健康術の連載が人気で、本を出したいねというお話をしていました。その最初の打ち合わせで、中野さんからこの『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』というタイトルを提案されたんです。
中野さんはアスリートのフィジカルトレーナーとして知られていますが、一般の方向けの運動指導もされています。そんな中野さんのもとには、「医師から運動しなさいと言われたけれど、何をすればいいのかわからない」「忙しくて運動する時間がない」という方がたくさん相談に来られるそうです。
本書は、そういう人が「最初に読む本」を作れば喜ばれるのではないかと企画したもの。タイトルで「まさに自分のことだ」と手に取ってくださる方も多いようです。
――「医学的に正しい運動」もコンセプトのひとつですね。
中野さんは、日頃から生活習慣病の人の運動指導を手掛けていて、多くの知識とノウハウをお持ちの方。
また「医学的に正しい運動」の指針となるのは、各学会が出しているガイドラインです。本書のエクササイズはそのガイドラインをベースに考案されていて、監修を慶應義塾大学の田畑尚吾先生にお願いしています。
――糖尿病などの疾病や肩こり・腰痛などの痛みのほか、寝たきり予防やぽっこりお腹、慢性疲労などについても触れられているので、自分の悩みに合わせてトレーニングすることができますね。
症状ごとの章立てにしているのも、中野さんのアイデアです。中野さんは本づくりに関しても、「こうやったらわかりやすいんじゃないか」と、どんどんアイデアを出してくださいました。
たとえば医師から「糖尿病予備軍ですよ。運動してください」と言われても、それがどういう状態なのか、なぜ運動した方がいいのかがわからないと、なかなか始められませんよね。
本書では病気や体の仕組みなど、“理屈”の部分を解説したうえで「まずやるべきこと」がわかるようになっていますので、納得して運動に取り組んでいただけるのだと思います。
――確かに「なぜ必要なのか、どんな効果があるのか」がわかると、トレーニングにも前向きになれそうです。
そして、運動は続けないと意味がありません。
挫折しがちなポイントや運動を続けるための工夫など、中野さんがこれまでの指導の中で培ってきた知見が盛り込まれていることも、説得力につながっているのではないでしょうか。
――本書は「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系)で取り上げられ話題となりましたが、そこでも「血糖値を下げる運動」が紹介されていましたね。
中野さんは糖尿病の予防を重視されているのですが、それは、糖尿病は一度なってしまうと元の生活に戻ることができないからなんです。
糖尿病の予防には、血糖値を下げることが大切。いまや「国民病」ともいわれる糖尿病ですが、定期的に運動を行なうことで、血糖値が下がりやすい体質に改善することができます。
血糖値は食後に上がるので、そのタイミングで有酸素運動をすると効果的なのですが、「食後に毎回30分ウォーキングをする」というのはなかなかハードルが高いですよね。その点、中野さんが考案した運動は、家の中でもできて、筋肉を鍛えることで、糖の消費量を高めることができるんです。
▼「金スマ」で紹介されたエクササイズはこちら。糖尿病対策では、スクワットや膝上げと有酸素運動を組み合わせたエクササイズを紹介しています。
――どこでも、しかも短時間でできるのはうれしいですね。
実は糖尿病予防で紹介しているのは、タクシー運転手のために考えられたエクササイズなんですよ。タクシー運転手の方は当然移動は全部車で、長時間座ったままの仕事なので、糖尿病になる人が多い。そこで、タクシー会社と製薬会社に依頼されて、中野さんが考案した運動法がもとになっています。
椅子を使っているのは、上体を支えると深く腰を沈められるから。タクシーの場合は、ドアを開けてそのドアとタクシーの屋根に手をかければ、その場でできるようになっています。
血糖値が高い人はもちろん、運動不足の人にぴったりのエクササイズですので、ぜひみなさんに知っていただきたいですね。
――肩こりの解消については、動きを伴った「動的ストレッチ」が効果的だそうですね。
筋肉をゆっくり伸ばす「静的ストレッチ」では、縮んだ状態を緩めることはできても緊張をほぐすことはできません。血行を良くして代謝を高めるためには、手足を積極的に動かす「動的ストレッチ」が有効です。
一方、腰痛対策には静的ストレッチがおすすめ。たくさん種類があるので、その中から「効いているな」と実感できるものを重点的にやってみてください。人によって柔らかい筋肉、硬くなってしまっている筋肉は違います。自分に合ったストレッチをやるとすごく気持ちがいいので、ぜひ試していただきたいですね。
――ストレッチとはいえ、やってみるとなかなかハードなものもありそうです……。
そうですね(笑)。本書では「この運動が難しい場合は、こうしましょう」という提案もしていますので、参考になさってください。
ただ、効果が期待できる運動は、「楽ちん」ではないんですよ。
最近は健康への意識が高く、知識をお持ちの方も多いので、「これ一つだけやれば健康になる」とか「楽してやせる」という本はさほど受け入れられないように感じています。本書で紹介している運動も、続けていただければ、「楽ではないからこそ効く」ということを実感していただけるのではないかと思います。
――本書を読むと、運動の大切さを学べるのはもちろん、「体を動かすのは楽しいよ」というメッセージが伝わってくるようです。
本書は運動が苦手な人はもちろん、運動の習慣がある方からも「腑に落ちた」という感想をいただいています。きちんとしたエビデンスがあるからこそ、「いままでの常識が間違っていたことに気付いた」とか、改めて「運動は楽しい」「体にいいことがいっぱいあると感じた」という声が寄せられているのもうれしいですね。
――エクササイズは動画で動きを確認することもできるので、運動が苦手な人でも取り組みやすいですね。
本書の購入者特典として、Webやスマホで見られる、中野さんによる解説動画をご用意しています。イラストでも運動の方法は紹介しているのですが、やはり動画で見た方がわかりやすいと好評をいただいています。ぜひあわせてご活用ください。
【目次】
第1章 医師に「運動しなさい」と言われたらまず何をやる?
糖尿病/メタボリックシンドローム/高血圧/脂質異常症
第2章 肩・腰・膝の痛みを根本から治す
肩こり/腰痛/変形性膝関節症
第3章 将来の寝たきりを防ぐには?
ロコモティブシンドローム/骨粗鬆症
第4章 寝ても取れない疲れを取るには?
慢性疲労/抑うつ状態
第5章 久しぶりに運動する人が陥る落とし穴
第6章 「ぽっこりお腹」は運動で解消できる?
第7章 ウォーキングを習慣化して健康な体をつくる
第8章 トレーナーが実践する1日14品目食事術
第9章 Q&Aで学ぶ 「効果的な運動」とは?〈日経BPブックナビ『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』より〉