• fluct

  • 食べやすく、見た目も味も楽しめる!簡単・おいしい介護食の新バイブル

    2019年03月11日
    くらす
    ほんのひきだし編集部
    Pocket

    噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん
    著者:クリコ 阿部仁子
    発売日:2019年01月
    発行所:講談社
    価格:1,404円(税込)
    ISBNコード:9784065143278

    NHK朝ドラ『まんぷく』の主人公がしばしば口にするキーワードは「食べることが一番大事」。あたりまえと思われますが、高齢者にとっては食べることは大仕事。「噛めない」だけでなく、「誤嚥(ごえん)」にも気をつけなければいけません。なにしろ「誤嚥」は「窒息」や「肺炎」を引き起こすことにもなるからです。急増している高齢者の肺炎、日本人の死因の第3位にあがっている肺炎に注意してし過ぎることはありません。

     

    基本を知っておこう

    高齢になると「食べること」自体に変化が生じます。この本では7つの注意点をあげています。誤嚥を避けるためにも知っておく必要があります。

    1.筋力が落ち、飲み込む力が衰える。
    2.ものを噛む力が衰える。
    3.唾液の分泌量が減る。
    4.味覚が衰える。
    5.のどの渇きに気づきにくくなる。
    6.消化力が落ちる。
    7.大腸の働きが低下する。

    食べる力の衰えや変化に応じるためには食品(食材)にも気を配る必要があります。この本では、誤嚥性肺炎を予防するための食品の見分けかたもあがっています。

    1.バラバラになる食べ物:おから、ひき肉、かまぼこ、こんにゃく、レンコン、ピーナッツ、寒天など。
    2.サラサラした食べ物:水やお茶、ジュース、汁物などの液体。
    3.パサパサした食べ物:パン、カステラなどスポンジ状のもの。
    4.不揃いに切ったもの:1つひとつの大きさが不揃い、または硬さが違う食材が混ざっている。
    5.ペタペタ張りつくもの:薄切りにしたきゅうり、ワカメ、海苔、最中の皮、ウエハース、餅など。
    6.噛むと中から汁(液体)がじゅわーっと出てくるもの:煮物のがんもどき、高野豆腐、果物など。
    (「バラ・サラ・パサ、切る・ペタ・じゅわー」と覚えるといいそうです)

     

    見た目アップで食欲増加

    以上のことをふまえて著者が研究し、完成したものがこの本のレシピです。
    「噛まずに飲み込める流動食」から「舌と上あごでつぶして食べられる、少し形のあるやわらかいもの」を中心として工夫されたレシピ、どんな料理(できばえ)だろうと、ページを開いていきます……。
    すると、ドーンと目に飛び込んできたのが次の2つ。

    ※画像はすべて、クリックすると拡大して表示されます。

    「やさしい煮込みハンバーグ」と「えび風味いっぱい ふわふわ♡えびフライ」のできばえの見事なこと! 質感あふれるできばえに、これがすり身なの?とうなってしまいます。

    「えびすり身」の作り方はというと、
    「むきえびにはんぺんなどを加えてフードプロセッサーにかける⇒絞り出し袋に入れて、えびの形に絞り出す」
    というもの。幾度かやってみるとすぐに慣れます(下ごしらえは本書を参考に)。

     

    「ベース素材」にする「シート肉」と「ピュレ」を

    肉らしい形を留めた(?)ハンバーグには、あらかじめ用意した「シート肉」を使います。シート肉とは「ひき肉にすりおろしたじゃがいもや麩などを加えてフードプロセッサーにかけた肉だねを、薄切り肉の形に形成したもの」です。牛、豚、鶏のすべてで作れ、まとめて作って冷凍しておけます。

    シート肉は加熱してもやわらかく、肉の代用として使えます(酢豚、鶏のから揚げ、シューマイなどで使えます。レシピ付きです)。
    著者が「ベース素材」と呼んでいるものの1つです。

    この本のレシピで素晴らしいのは、肉料理だけでなく、スープ、サラダ、茶碗蒸し、デザートまですべてがキレイに、「おいしそうに」調理されていることです。
    どれも食欲をそそります。どんなに栄養があって食べやすくとも、それだけでは食欲をそそりません。「人は料理を目で食べている」という話もあるくらい、視覚は味覚に大きな影響を及ぼしています。

    食べ進むには見た目がとても重要なのです。よく空腹が最良の調味料とはいいますが、「見た目」もそれにおとらず重要な食欲増進剤なのです。

    このレシピではフードプロセッサーが大活躍していますが、もう1つプロセッサーで作り、冷凍しておける「ベース素材」があります。

    「ピュレ」です。
    「かぼちゃ」「にんじん」「ほうれんそう」「ミックスきのこ」「玉ねぎ」の5種が紹介されていますが、自分の工夫で(セロリ、アスパラガスなど)種類はいくらでも増やせるでしょう。

    「野菜のピュレにいろいろな食材を組み合わせる」のがおすすめ。これを作りおきしておいて、主食からデザートまで利用します。

     

    食べることをあきらめない。「おいしい」がずっと続く未来を

    口腔底ガンという口の中の病気で噛む力を失った夫に、「何の料理かわからない、病院で出されていたミキサーにかけられた食事」を食べさせたくない。その強い思いから生まれたこの本には著者の愛情があふれています。まさしく「愛情は最高の調味料」でしょう。

    家族と一緒に食べる「幸せ」に向けての著者の奮闘ぶりもこの本に記されています。読んだ人が自分なりのアレンジをする参考にもなる記録です。そしてまた著書が読者と分けあいたかった「幸せ」を感じられるレシピ本なのだと思います。

    最後に基礎知識の一覧表です。

    (レビュアー:野中幸宏)


    ※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2019年2月19日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




    タグ
    Pocket

  • 広告用

    20190320
  • GoogleAd:007

  • ページの先頭に戻る