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刊行から26年の月日を経て全面改訂された『食べて治す医学大事典』。ほんのひきだしでは全3回にわたって、本書の魅力や改訂版の制作裏に迫ります。
第2回となる今回は「現代人を悩ませる体調不良に効く食養生」について、主婦と生活社編集部の黒坂潔さんに文章を寄せていただきました。
体調がすぐれないとき、病気のとき、身近な食べものがクスリになる! をテーマに、「東洋医学」「現代医学」「最新栄養学」の知識を結集した“一家に一冊”の総合家庭の医学書。
日々さまざまなストレスに囲まれて生きている私たち。そのせいで体調不良をきたすことがあり、なかでも代表的なものとして、慢性疲労、不眠、便秘などがあげられます。
実は、そうした不調は、食べ物によって改善できることを知っていましたか? 今回は医者やクスリに頼るのではなく、食べもので症状を改善する方法をご紹介します。
「疲れた」という症状は、多かれ少なかれ誰にでも起こる生理的な現象で、病気ではありません。疲労は体が休息を要求しているサインと考えればよいでしょう。
しかしこのサインをきちんと受け止めないと、疲労が蓄積して慢性疲労に変わり、体調を崩したり、病気に対する抵抗力が弱まったりして、思わぬ病気を引き込む結果になりかねません。
一般的な疲労回復には睡眠をしっかりとるのが一番です。無理なら少しずつ仮眠をとるなど、出来る範囲で体を休める努力を。食生活の面では、良質のたんぱく質やビタミン、ミネラルなど疲労回復に効果のある食事を積極的にとりましょう。
疲れがたまり、倦怠感や脱力感に悩まされた場合に効果大なのが「しょうが汁」。しょうがの辛み成分であるジンゲロンやショウガオールは、すぐれた殺菌力を持つとともに、食欲を増進させる働きがあります。
そのため食欲不振に効くほか、かぜ、頭痛、下痢などの症状にもとても効果があります。
作り方は、とても簡単。しょうがのおろし汁に、にんにくのおろし汁も加えて熱湯を注いで飲むだけ。胃がじょうぶになるうえ全身の倦怠感がとれます(本書の105~110ページで詳しく紹介しています)。
なかなか寝つかれない、夜中に何度も目覚めてしまう、熟睡感がない…、そんな症状が習慣的、慢性的に続く場合が不眠症です。
ストレスを多く抱えている現代人には、あてはまる人も多いのでは。睡眠薬を処方してもらうほどでは、というとき、試してほしいのが「にんにく酒」。
にんにくは、全身の血行を良くし、からだをあたためて眠りを誘う作用があるほか、不眠の原因となる強い疲労感をとり去るはたらきもあります。また適量の酒も、眠りを促すのに役立ちます。
酒のアルコール分には、毛細血管を広げ血液の循環をよくして、神経の緊張や興奮をときほぐすはたらきがあるためです。
不眠に悩む人には、にんにく酒が特におすすめです。ただし、刺激が強いので、胃腸の弱い人は飲みすぎないように注意しましょう。イラストにもありますが、1回にスプーン1杯分を、1日数回飲むようにします(本書の198~201ページで詳しく紹介しています)。
便秘の人の約2/3は、弛緩性タイプの便秘で腸の蠕動(ぜんどう)運動が弱いといわれています。そこで必要なのが食物繊維。食物繊維をたっぷり摂ると便のかさが増え、これが刺激となって腸の運動がおこりやすくなるのです。
食物繊維の豊富な食材のなかで、便秘解消のために特におすすめしたいのが「りんごのおろし汁」。
皮つきのままのりんごをおろしたものがよく効きますが、これにニンジンをプラスするとさらに効果が上がります。どちらも食物繊維のべクチンを含み、便の状態がよくなるので、下痢の人にも効果的です。
りんごとニンジンを皮つきのまますりおろし、それぞれのしぼり汁をさかずき1杯ずつ混ぜ合わせ、朝食の30分前に飲むのがポイント(本書の170~175ページで詳しく紹介しています)。習慣化していきましょう!
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主婦と生活社 編集部 黒坂 潔
次回の最終回は、春キャベツや新ごぼうなど、これから入手できる旬の野菜・食材の効用について紹介します。