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1992年に刊行し累計40万部超をセールスした『食べて治す医学大事典』。東洋医学、現代医学、最新栄養学の知識に基づき、身近な食材を使って健康を保つ方法を解説した“食養生の大辞典”です。
刊行から26年の月日が経った2018年11月。本書の内容を全面改訂した『最新 食べて治す医学大事典』が発売されました。
ほんのひきだしでは全3回にわたって、本書の魅力や改訂版の制作裏に迫ります。
第1回目は改訂に踏み切った際のエピソードと本書の概要について、主婦と生活社編集部の黒坂潔さんに文章を寄せていただきました。
『食べて治す医学大事典』の出版から四半世紀。
出荷止めから10年ほどが経過したあとも、読者から編集部や販売部への購入希望・復刊希望の電話はやむことがありませんでした(例:以前買った本がボロボロになったので買い換えたい。最新の情報になったものがあったら買いなおしたい。子どもが独立するので持たせてやりたい。友人・知人のために購入したい…などなど)。
読者の皆様のこの本へ寄せる思いを、編集部ではしっかりと受け止めてきました。販売部から編集部へ、復刊の要請は再三あったものの、当時のような大型本の予算・体制を組むことは難しかったため、編集部ではずっと二の足を踏んでいたのです。
しかし、この種の本を制作できる医学情報に精通したスタッフもほどなくいなくなることが予想されたため、もはやギリギリのタイミングということで、編集部は全面改訂を決断しました。
改訂作業に要した時間は2年強。伝統的な漢方医学がベースになっているとはいえ、医学的な研究が進んだ結果、現代には合わない方法や、避けたほうがよい方法が判明してきます。
そのためネタの完全差し替えや表現の調整、注記文の追加など、新たに編集製作しなおす形で、『最新 食べて治す医学大事典』は誕生したのです。
私たちの体と健康は、普段口にしている食べものによって維持されています。食べものの偏りや不足は、不健康や病気をまねく元。
逆にいえば、食べものによって体の不調も治せるということです。これを医食同源(もともとは薬食同源)といい、東洋医学の基本的な考え方となっています。
本書はその精神にのっとり、医食同源の知識をベースに、民間療法や最新の栄養学をもとりいれて「食の総合医学書」であることを目指しました。
飽食の時代と呼ばれて久しく、食べることがかえって健康を損ねる結果となっている現代。がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、肥満、骨粗しょう症など、現代人を悩ます病気のすべてが食生活に関連しているといえます。
こんな時代だからこそ、医食同源の知恵を活用して、あなた自身やご家族の健康回復、維持増進に役立ててほしい。本書は、そんな思いを込めて編集制作した医学事典です。
食材が持つ薬効の例として「お茶」をご紹介します。お茶といえばひと休みのリラックス効果がまず頭に浮かびますが、これは、うまみや甘みの成分である「テアニン」が持つ効果。
テアニンは煎茶や玉露に豊富に含まれる成分で、リラックスした際に現れる脳波の一種「α波」を増大させるのです。
また、安い番茶には「ポリサッカライド」という成分が含まれ、これにより血糖値を下げる効果が期待できます。さらに、お茶の渋み成分の「タンニン」には収れん作用があるため、鎮痛や下痢に有効で、また抗ガン作用も確認されています。
玉露は50~60度に冷ましたお湯を注いでから2~3分後、煎茶は約80度に冷ましたお湯を注いでから約1分後、番茶・ほうじ茶は100度の熱湯を注いでから約30秒後がおいしく飲めて、健康効果も期待できる目安です。
緑茶だけでなく、黒ゴマを煎じた「黒ゴマ茶」は便秘や乾燥肌に効果があったり、「柿の葉茶」には高血圧や動脈硬化を予防する作用があったり、「ヨモギ茶」には滋養強壮の効果があったりするので、体調や症状にあわせて、さまざまな「お茶」を試すとよいでしょう。(本書の308ページ、544ページで詳しく紹介しています)。
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主婦と生活社 編集部 黒坂 潔
次回は、現代人を悩ませる体調不良に効く食養生についてレポートします。