'); }else{ document.write(''); } //-->
スマホやPCの画面など、光る画面を1日中見ている現代人。小学生でも視力が低下して眼鏡をかける子どもが増えているといいます。
さまざまな身体の不調を抱えているとしたら、それは目の疲れから来る「自律神経の乱れ」が原因かもしれません。今回は目の疲れをとる方法を、眼科医の森岡清史さんが解説します。
イライラしたり、不安を感じたりしがち。目覚めたときに身体がだるい、肩や首がつねにこっている。夕方になると頭がぼんやりして回らなくなる。いくら寝ても、眠気がとれない……。
もしあなたが、PCやスマホなどの「画面が光るもの」を日常的に使っているならば、それらの不調はもしかすると、“目”が引き起こしているのかもしれません。
私たち現代人は、朝起きてから夜眠るまで、つねに目から「光る情報」を吸収しています。暇さえあればスマホをいじっている、という人も多いでしょう。これは人類の歴史上はじめてのことですが、光るものを見続けるというのは、目にとっては非常に過酷なことです。
PCやスマホの画面を長時間見ていると、目のまわりの筋肉が緊張してかたくなります。目のまわりの筋肉がかたくなると、目のまわりの血流が悪くなり、目のまわりが冷えます。その状態では、交感神経が過剰に働いて、顔面から首の筋肉が緊張し、脳への血流が制限されてしまいます。
そのようにして交感神経が働きっぱなしになると、イライラしたり、疲れたり、不安になったり、のぼせたりすることがあります。眠りも浅くなりがちで、いくら眠ってもすっきりしません。
「眼精疲労」が起こっているとき、目には何が起きているのでしょうか。
目はものを見ようとするとき、レンズの役目をしている水晶体を厚くしたり、薄くしたりすることで、ピントを調節しています。その作業を行っているのは「毛様体筋」という小さな筋肉です。毛様体筋は、近くのものを見るときに、きゅっと縮まることによって、レンズとなる水晶体を厚くして、ピントを合わせます。
「縮まる」ということは、「緊張する」ということ。つまりスマホのゲームに夢中になっていたり、PCで集中的に作業をしているときには、眼球の位置を固定しているため、毛様体筋は緊張し続けることになります。
自律神経という言葉を聞いたことはあるでしょうか。それは、消化器や呼吸器、循環器などの活動をコントロールするために24時間働き続けている神経です。
興奮しているときに働く「交感神経」と、リラックスしているときに働く「副交感神経」とにわかれ、この2つの神経が、シーソーのようにバランスを取りながら、血圧や心拍数を上げたり下げたりしています。
このバランスが乱れると、身体にさまざまな不調が現れるのですが、実はこの自律神経に深くかかわっているのが「目のまわりの細胞」です。
視点を近距離で合わせたままにして、毛様体筋をこわばらせ続けると、「緊張しろ」という交感神経のスイッチが入りっぱなしになります。その状態が続くと、目だけではなく全身に「頭が痛い」「肩がこる」「だるい」「胃が痛い」「イライラする」「集中できない」などの問題が起こってくるのです。
さらに、眼精疲労によってストレスがたまり、交感神経が優位に働き続ければ、消化器系の機能も弱まり、胃の働きや腸の蠕動運動が悪くなります。悪化すると、ストレス性の胃潰瘍にもなることも。
仕事ではPC、私生活ではスマホ……など、画面を見続けている現代人の多くが、眼精疲労、またはその予備軍といえるのです。
手元が見えにくい、目が疲れているなどの「眼精疲労」の原因はひとつ、「近くのもの」をずっと見続けているから。もちろんそれは視力低下の原因にもなります。
足腰が固まってしまったときにストレッチをするのと同様で、目の筋肉もストレッチが必要です。一番手っ取り早くて簡単な方法は「遠くの景色を眺める」こと。
昔からよくいわれてきたことですが、これは遠くを眺めていると毛様体筋がリラックスしてきて、ピントの調節力が回復するのです。高台やマンションに住んでいる人は、ときどき窓の外を眺める習慣を持つと良いでしょう。
なかなか普段の生活の中で遠くの景色を見る機会がない、という人におすすめなのが『見える力がよみがえる 立体 遠近トレーニング』。
本書には「高精細アナグリフ写真」といって、専用の赤青シートを使って写真を見るだけで遠くを見ているのと同じ効果が得られる写真が掲載されています。
見てみると驚く人が多いのですが、はるか遠くの山並みや大都市が、まるで数キロ先にあるかのように再現されており、擬似的に「遠くの景色」を見ることにより、目の筋肉をストレッチすることができるのです。
人生100年時代に突入した今、100歳まで使える目を保ちつづけることは、私たちの生活の質に大きく影響を与えます。目のケアを習慣にして、身体の内側から元気になりましょう。
※本記事は、サンクチュアリ出版WEBマガジンに2018年12月5日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。